白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

ロラン・バルトなど読んで

2009-11-02 | 日常、思うこと
「自分が姿を消しても、あとに悲しみひとつ残さないと
 思うのではない。
 たしかに死亡記事は出るだろう。わたしにはむしろ、
 そうしたわたしのための喪(それは確かにあるだろう)
 を通じてこそ、他人の生が変わりなく続いてゆくさまが
 見えるのだ。
 誰もがいつものように働き、いつものように楽しみ、
 いつもながらの問題を抱え、いつもの場所に出入りし、
 いつもの友を訪ねているさまが見えるのだ。
 彼らの生活の裏側では、何一つ変わることがないだろう。
 狂的なまでの「服従」の承認である愛(わたしは絶対的に
 あの人を必要としている)から、残酷にも、正反対の
 立場が出現する。
 誰ひとり、本当に私を必要としているものはいないのだ」





ロラン・バルト、恋愛のディスクール。
これは、確かに、僕が死なないでいる理由のひとつ。
幸福なるものへの復讐として生き続けてやろうということ。
けれど、そうした情念は、だんだん、静かになってきた。
それは決して、自殺に近づいたということではない。
生きる者のエゴにたいして、それはとても失礼なことだ。





他人の迷惑になりたくない、というのなら、
おまえは本当に今までだれの助けも借りずに生きてきた、と
言うのか、という詰問にこたえられない。






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どうにも乾いた砂人形のように風化しながら東京駅を
過ぎ、過ぎ、過ぎる。
天井、格子、マトリックス、流体力学、蕎麦屋の庭、
斜影にとどめて。
ゆうべの空に星は流れず、焦点定まらぬ双眼にぼやけ
雲の渦、星あれれ、二倍に見える。






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今後の予定、
11月3日@池袋、スタインウェイ。
11月6日@表参道、日本随一のフルーティストと
どうやら演奏することになるらしい、その経歴を見て、
軽く、目眩。
11月7日に大阪入り、11月8日に京都四条烏丸で
ほんの少し演奏して、
11月9日に和歌山へ入る、
久々のリッツ・カールトン。





汐留、赤坂、青山と商談を梯子して疲れた、寝よう。






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