はじめてのお見合い

一昨日のこと、仕事を終えて帰宅し、
黒エビスを飲んで寛いでいた僕のところへ、
母が何やら含みのあるような様相でやってきた。
いったい何用かと尋ねてみると、こんな答えが帰ってきた。




母の友人の知人の娘＠２３歳音大卒声楽専攻、
現在家事手伝いというひとがいて、
大学時代にジャズピアノに目覚め、
大学卒業の後に１年間京都の専門学校で
ジャズを学んだ後、帰郷してきたらしい。
現在は実家暮らしのようなのだが、周囲に
趣味を共有して相談できるような人がいないため、
誰かジャズの話の出来るひとがいないだろうか、と
自分の母に相談したのだそうだ。





彼女の母親が、それならこんな話を聞いたことがある、
といって出した名前が、僕の名前だったそうで、
母の友人を通して、こちらにオファーがきた、と
いうわけである。
何でも、部屋が余っていたために自宅を改造して
専用の音楽室を造った、というのだから、
相当なお嬢様なのだろう。
僕はこういう話には大抵美人局疑惑を持つのであるが、
M安との邂逅の一件もあること、
また、出所がしっかりとした話でもあることから、
話を聞くぐらいならいいよ、と、母に伝えた。




ところが昨日の夜になってみると、うちの母と先方の母が
親同士で子供の携帯電話の番号を交換していたことが判明、
最初はジャズの演奏活動についての諸々の相談ということで
あったはずが、何故か友人から始めよう、というような
話になっていた。





やられた、と思ったのも後の祭り、
まさにこれはお見合いのセッティングである。
親抜きで行われる出会い系お見合いというのがあるとは
聞いていたが、自分の親にこれをやられるとは思わなかった。
しかし、親に話が違う、というのも大人気ないことであるし、
何よりも先方の顔が立たなくなる。
しぶしぶながら、受け容れることにした。
夜、パトリシアにこの件を話してみると、ドキドキやないすか、
１回経験するんも悪くないじゃないですか、と一蹴された。
そんなもんか、と思いながら、マッカランを呷った。




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今日、引きこもっている２００４NWコンマスに日光の恩恵を
与えるべく、彼を連れ出してドライブに出かけた。
道中、いろいろ複雑な思いに駆られる色恋沙汰の話をしつつ
多度町にある多度大社を参詣し、養老天命反転地を巡って
大垣に出、名物柿羊羹と水まんじゅうを購い、互いの土産とし、
岐阜羽島へと出ようとしたところで、携帯が鳴った。
件の彼女である。




コンビニに車を止めて電話をすると、
品位がありながらもフランクな口調とまろやかで涼しげな
やや高めの声が、耳元から聞こえてきた。
美人の声である。
言われるがまま、来週日曜に一緒に飲みにいくことになった。
傍らの２００４コンマスが、僕を呪詛していたような気がした。





このお見合いの結果は追ってご報告申し上げます。
乞うご期待。