今から25年ほど前、タモリが深夜番組で
「誰にでも出来るチック・コリア」という
密室芸を披露したことがある。
何のことはない、ピアノの白鍵部分を適当に弾く、
というもので、
4拍子を念頭に置き、一小節に1和音を当てはめ、
左手でミ・ラ・レ、半音上がったファ・ラ・ミ、
この四度間隔の和音を一小節ずつ交代に弾き、
右手で跳ねるようにして、白鍵を適当に弾くと、
チックコリアの音使いに聞こえる、というわけだ。
理論解釈をすれば、旋律的に見れば、Eのフリジアンと
Fのリディアンのモードを交互に弾いていることになり、
和声的に見れば、トニックとドミナントの裏を
交互に動いている、ということになるだろうか。
しかし、そんなことを全く知らなかったとしても、
上のような形で演奏してやれば、「それっぽく聴こえる」。
ぼくの場合はこれを応用して、
コルトレーンチェンジの考え方を応用したり、
短三度・二度、長三度・減二度、という具合に
転調を進めたりしてやる。
あるキーに対する、コンビネーション・オブ・
ディミニッシュスケールの、下から4つ分の音を
テトラ構造と捉えて、
その音型を転調に合わせて動かしたり、
あるいは動かさずに多調・複調へとすすめたり、
反行させたりする。
左手は転調しながら、右手は元のキーで演奏する。
すると、より一層、チック・コリアっぽくなる。
************************
昨年の今頃は、ケツメイシなる和製似非ヒップ・ホップ
グループによる「さくら」とかいう曲が随分流行したが、
あの曲のサビの部分、
D♭→E♭(onD♭)→Cm→Fm→D♭→E♭→A♭→Fm
という進行は、非常に明快、黒人R&Bから白人産業ロック、
和製Jポップ、ジャズ・フュージョンの類に至るまで
さまざまのジャンル、さまざまのアーティストによって
使われてきた、コード進行の定石である。
これと並んで有名な進行といえば、
D→A→Bm→G
あたりになるだろうか。
ケツメイシの「さくら」を歌ってもっとも似合うであろう
アーティストには小田和正がいる。
小田和正の曲には、こうした4、5、3、6、(4,5,1)
F→GonF→Em→Am→(F→G→C)
のパターンを持つ曲が数多く見られる。
つまり、このコード進行に乗せて、
「君に会いたい 待ち焦がーれて
この胸の中 張り裂けそうに」
などと適当に歌えば、小田和正っぽい音になる。
もはや60歳になんなんとする、団塊世代の筆頭
昭和22年生まれの小田和正が、未だにあの声と
「君に会いたい 君を抱きたい
凍えた胸が 溶け出すように」
などという歌詞を作り、歌ってしまえる感性を
失っていないことは驚嘆に値することであり、
彼と同世代の歌い手たち、例えば細川たかし、森進一、
井上陽水、南こうせつなどが小田の曲を歌っても
なにかの罰ゲームにしか聞こえないだろうことは
明白だろうが。
よほどお盛んなのだろうか。
ポイントは、上記のコード進行に合わせて、
「君に会いたい」の部分を、例えばドドレレミミミ、
というふうに、メロディを上行させること。
まあ、こんな感じだろうか。
ドドレレミミミ、ミミミミーレレ、
シシドドレレレ、レレレレードド
これに、さっきのような7文字で出来たラブリーな詩を
乗せてみれば、小田和正っぽいサウンドが出来上がる。
歌い方は、単音はスタッカート気味に歌い、
伸ばすところはきちんと伸ばす。
***************************
矢野顕子の場合は、少しややこしい。
ジャズの理論を知っているほうがやりやすいだろう。
例えば、
(歌詞) そんなー まいにちの はじまり
というふうに、文字数が3,5,4、となるように
適当に歌詞を準備する。
おなじー ゆめーみて いたのに
いつも あいたくて ないてた
ひとり ぼーっちの ゆうぐれ
と、いった具合。
これに、Am9→D7♭9→G7→CM7、という感じで
コードをつけ、鼻にかかった声で
始めの3文字は上がるように、次の5文字は上から
下へ落ちるように歌う(ここでややはにかみ、発音も
あいまいに)。
そして、最後の4文字はオクターブ上で近い音程で歌う。
例えば、
ドレミー ラソミレド シシドファ♯
ぐらいで歌ってみるといいかもしれない。
************************
キース・ジャレットの場合は、ピアノを前に、
「にぃにぃ、デュフヴーン、あー、にゃー、でぃでぃでぃ」
とうなりながら、
椅子から立ち上がって腰をグラインド、
あるいはピストン運動させて「ピアノとやってるつもりで」
恍惚の表情を浮かべてやれば、見掛けだけは真似できます。
音使いまで真似することはおそらく不可能でしょう。
このほかにも、特徴がとらえやすいアーティスト
(トム・ウェイツなど)はまねがしやすい。
鈴木宗男衆院議員とヒューザーの小島社長と
阪大文学部の藤田教授の話し方は
イントネーションやアクセントの位置が同じなので
話す速度と声の高さを変えれば、3人分の真似が出来る。
インチキボサノヴァやインチキカンツォーネ、
インチキ日本民謡、インチキ外国語などは
節回しと発音とイントネーションの流れに気をつければ
簡単に出来るはず。
ちなみに、物真似の能力は、耳の能力、あるいは
音楽的な聴力・再現力の高さに比例しています。
「誰にでも出来るチック・コリア」という
密室芸を披露したことがある。
何のことはない、ピアノの白鍵部分を適当に弾く、
というもので、
4拍子を念頭に置き、一小節に1和音を当てはめ、
左手でミ・ラ・レ、半音上がったファ・ラ・ミ、
この四度間隔の和音を一小節ずつ交代に弾き、
右手で跳ねるようにして、白鍵を適当に弾くと、
チックコリアの音使いに聞こえる、というわけだ。
理論解釈をすれば、旋律的に見れば、Eのフリジアンと
Fのリディアンのモードを交互に弾いていることになり、
和声的に見れば、トニックとドミナントの裏を
交互に動いている、ということになるだろうか。
しかし、そんなことを全く知らなかったとしても、
上のような形で演奏してやれば、「それっぽく聴こえる」。
ぼくの場合はこれを応用して、
コルトレーンチェンジの考え方を応用したり、
短三度・二度、長三度・減二度、という具合に
転調を進めたりしてやる。
あるキーに対する、コンビネーション・オブ・
ディミニッシュスケールの、下から4つ分の音を
テトラ構造と捉えて、
その音型を転調に合わせて動かしたり、
あるいは動かさずに多調・複調へとすすめたり、
反行させたりする。
左手は転調しながら、右手は元のキーで演奏する。
すると、より一層、チック・コリアっぽくなる。
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昨年の今頃は、ケツメイシなる和製似非ヒップ・ホップ
グループによる「さくら」とかいう曲が随分流行したが、
あの曲のサビの部分、
D♭→E♭(onD♭)→Cm→Fm→D♭→E♭→A♭→Fm
という進行は、非常に明快、黒人R&Bから白人産業ロック、
和製Jポップ、ジャズ・フュージョンの類に至るまで
さまざまのジャンル、さまざまのアーティストによって
使われてきた、コード進行の定石である。
これと並んで有名な進行といえば、
D→A→Bm→G
あたりになるだろうか。
ケツメイシの「さくら」を歌ってもっとも似合うであろう
アーティストには小田和正がいる。
小田和正の曲には、こうした4、5、3、6、(4,5,1)
F→GonF→Em→Am→(F→G→C)
のパターンを持つ曲が数多く見られる。
つまり、このコード進行に乗せて、
「君に会いたい 待ち焦がーれて
この胸の中 張り裂けそうに」
などと適当に歌えば、小田和正っぽい音になる。
もはや60歳になんなんとする、団塊世代の筆頭
昭和22年生まれの小田和正が、未だにあの声と
「君に会いたい 君を抱きたい
凍えた胸が 溶け出すように」
などという歌詞を作り、歌ってしまえる感性を
失っていないことは驚嘆に値することであり、
彼と同世代の歌い手たち、例えば細川たかし、森進一、
井上陽水、南こうせつなどが小田の曲を歌っても
なにかの罰ゲームにしか聞こえないだろうことは
明白だろうが。
よほどお盛んなのだろうか。
ポイントは、上記のコード進行に合わせて、
「君に会いたい」の部分を、例えばドドレレミミミ、
というふうに、メロディを上行させること。
まあ、こんな感じだろうか。
ドドレレミミミ、ミミミミーレレ、
シシドドレレレ、レレレレードド
これに、さっきのような7文字で出来たラブリーな詩を
乗せてみれば、小田和正っぽいサウンドが出来上がる。
歌い方は、単音はスタッカート気味に歌い、
伸ばすところはきちんと伸ばす。
***************************
矢野顕子の場合は、少しややこしい。
ジャズの理論を知っているほうがやりやすいだろう。
例えば、
(歌詞) そんなー まいにちの はじまり
というふうに、文字数が3,5,4、となるように
適当に歌詞を準備する。
おなじー ゆめーみて いたのに
いつも あいたくて ないてた
ひとり ぼーっちの ゆうぐれ
と、いった具合。
これに、Am9→D7♭9→G7→CM7、という感じで
コードをつけ、鼻にかかった声で
始めの3文字は上がるように、次の5文字は上から
下へ落ちるように歌う(ここでややはにかみ、発音も
あいまいに)。
そして、最後の4文字はオクターブ上で近い音程で歌う。
例えば、
ドレミー ラソミレド シシドファ♯
ぐらいで歌ってみるといいかもしれない。
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キース・ジャレットの場合は、ピアノを前に、
「にぃにぃ、デュフヴーン、あー、にゃー、でぃでぃでぃ」
とうなりながら、
椅子から立ち上がって腰をグラインド、
あるいはピストン運動させて「ピアノとやってるつもりで」
恍惚の表情を浮かべてやれば、見掛けだけは真似できます。
音使いまで真似することはおそらく不可能でしょう。
このほかにも、特徴がとらえやすいアーティスト
(トム・ウェイツなど)はまねがしやすい。
鈴木宗男衆院議員とヒューザーの小島社長と
阪大文学部の藤田教授の話し方は
イントネーションやアクセントの位置が同じなので
話す速度と声の高さを変えれば、3人分の真似が出来る。
インチキボサノヴァやインチキカンツォーネ、
インチキ日本民謡、インチキ外国語などは
節回しと発音とイントネーションの流れに気をつければ
簡単に出来るはず。
ちなみに、物真似の能力は、耳の能力、あるいは
音楽的な聴力・再現力の高さに比例しています。
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