10月16日(日曜日)、米国14州目のフルとなるミシガン州のデトロイトマラソンを走る。
デトロイト到着は前日の正午近く。ニューヨーク~デトロイトの距離は、普通なら飛行機で移動するところだが、今回は経費削減のエコ遠征を目論んでいたので、グレイハウンドの夜行バスを利用することにした。
まず、金曜日の夜10時にニューヨークを出発し、翌土曜日の朝7時にオハイオ州クリーブランド到着。ここまでが9時間。クリーブランドでデトロイト行きのバスに乗り換えて4時間。だいたいお昼頃に到着するので、EXPOにはちょうど間に合うという計算である。
そうしてEXPO会場に向かいゼッケンを受け取り、会場で地元MJR(ミシガンJランナーズ)のコスメル前村さん夫妻、Yoshiさん、Opa!さん、ニューヨークから遠征のMiho姫(もちろん飛行機で到着)と合流。グリークタウンでのランチに始まり、MLBデトロイト・タイガースの本拠地コメリカパーク→うわさのYoshiミュージアム、と中味の濃いデトロイト観光を満喫し、上々の盛り上がりのうちにレース当日の朝を迎えた。
コースの途中で国境を越えるフルマラソンということで、カナダ、アメリカ両国の国歌が斉唱され、午前7時、まだ暗い中をスタート。今回の作戦は途中までマイル8分20秒程度のペースで様子を見て、中盤から8分~8分10秒台のロングスパートをかけて逃げ切る、という青写真だった。
Mile 01: 8分30秒
Mile 02: 9分30秒(18分00秒)
Mile 03: 8分56秒(26分56秒)
Mile 04: 7分04秒(34分00秒)
Mile 05: 8分21秒(42分21秒)
まずは序盤戦。1マイル目の入りは想定通り。2マイル目で時間がかかっているが、体感ではほとんどイーブンだったので、おそらく距離表示がずれていたのではないか、と思われる。3マイル目はデトロイト・リバーを越えるアンバサダー・ブリッジの上り。かなり大きな吊り橋で、ニューヨークのヴェラザノ・ブリッジに匹敵するイメージ。この橋の頂上が「ご来光ポイント」。曇り空だったが、遠くの地平線が赤く染まっている光景はなかなか幻想的だった。4マイル目は橋の下り。あまり脚を使わないように気をつけたつもりだったが、7分04秒。こんなに速いはずはないので、おそらくここでも距離表示のずれがあるかもしれない。橋を渡っている間は、かなりの強風が吹いていた。
橋を渡り切ったところで、カナダ側の街ウィンザーに入る。ここからデトロイト・リバー沿いを東に向かうコースとなるが、早朝にもかかわらず、カナダならではのマイルドでアットホームな応援で盛り上がっていた。5マイルの通過タイムは42分21秒。マイル8分20秒台ということで、ここまでは青写真通り。
Mile 06: 8分00秒(50分21秒)
Mile 07: 8分04秒(58分25秒)
Mile 08: 8分01秒(1時間06分26秒)
Mile 09: 8分09秒(1時間14分35秒)
Mile 10: 8分14秒(1時間22分49秒)
Mile 11: 8分11秒(1時間31分00秒)
Mile 12: 8分03秒(1時間39分03秒)
Mile 13: 8分10秒(1時間47分13秒)
HALF: 1時間48分05秒
6マイル目ですこし小雨がパラついてきたがすぐにおさまる。天気予報では雨だったが、レース中はおおむね曇りで、本格的な雨にならなかったのは幸いだった。
7マイル過ぎでウィンザー・トンネルに突入。思い切り下っていくので、ここでも脚を使いすぎないようにリラックスして走る。トンネルの途中でカナダとアメリカの国境を示す両国の国旗が描かれた壁を過ぎると、今度は上り。ものすごく湿度が上がり、汗だくになりながら、デトロイト側の地上に脱出した。
トンネルを出てからの応援はなかなか賑やかで気分も盛り上がり、このまま快調に飛ばしていく。中盤からロングスパートのつもりが、実際はすでに6マイル目から8分に近い速度でペースアップしており、ちょっとスパートのタイミングが早すぎるようにも思えたが、勢いも大事ということで、このままのペースで中盤を押し切ることにした。ハーフの通過タイムは1時間48分05秒。このままイーブンなら3時間36分台、と上々のペース。
Mile 14: 8分06秒(1時間55分19秒)
Mile 15: 8分02秒(2時間03分21秒)
Mile 16: 8分11秒(2時間11分32秒)
Mile 17: 8分19秒(2時間19分51秒)
Mile 18: 8分13秒(2時間28分04秒)
Mile 19: 8分19秒(2時間36分23秒)
Mile 20: 8分18秒(2時間44分41秒)
ウィンザー・トンネルを越えてからのダウンタウン地区、およびハーフを過ぎて東側の近郊住宅地をまっすぐに伸びるコースはほとんどフラットなので、脚が生きてさえいればイーブンに近いペースを維持できる。インディアンヴィレッジを通過する17~18マイルでやや疲れを感じ始めたため、ここでエナジー・グミを補給。ベルアイルという川中島へつながるマッカーサー・ブリッジを渡り終える20マイルまで、8分10秒台のイーブンペースで押していった。
もしこのままのペースで最後まで押し切ることができたなら、少なくとも3時間39分台は出ていただろう。そうなれば2013年、55歳でのボストン・クウォリファイが確定・・・ということになっていたはずだが、そうはうまくいかないのがマラソンの難しさ。試練はあまりにも急に訪れた。
Mile 21: 8分35秒(2時間53分16秒)
Mile 22: 8分53秒(3時間02分10秒)
Mile 23: 9分01秒(3時間11分11秒)
Mile 24: 9分10秒(3時間20分21秒)
Mile 25: 9分44秒(3時間30分05秒)
Mile 26: 9分25秒(3時間39分30秒)
21マイル目で突然やってきたエネルギー切れ。それまでのペースは決して飛ばし過ぎとは思えなかったのだが、あるいは一瞬そう思ったように、仕掛けるのが少々早すぎたのかもしれない。せめて10マイルくらいまで我慢したほうがよかったのかもしれないが、こういうペースコントロールはプロでさえなかなか上手くいかないのだから、素人が失敗しても仕方がない。過ぎた時間は戻らないので、ここからどれだけ粘れるか、そのことだけに集中する。
ベルアイルを1周して、帰りのマッカーサー・ブリッジの苦しいこと。たいした坂ではないはずなのに、拷問のように感じる。橋を渡ると西に折れて、デトロイト中心街に向かうホームストレッチ。24マイルの表示を過ぎると私設のビールエイドに出くわす。もちろん、手にとって味見する余裕などまったくない。25マイル。短くも急な坂を上る途中で、一瞬脚が止まりかける。なんとなく意識も朦朧としてくる。いつ倒れてもおかしくないような精神状態。そして最後の1マイル。もう時計を見るゆとりもなく、何を思うこともなく、上がらない脚で必死にゴールに向かっていく。もしかしたら、もしかしたら、最低限自己ベストは確保できるかもしれないという、かすかな望みを命綱にしながら・・・
Finish Time 3時間41分23秒。
自己歴代1位。
どうにか逃げ切った!
わずか13秒だが、2009年10月シカゴマラソンの自己ベスト(3:41:36)を2年ぶりに更新!
それにしても危なかった。10点差のリードを1点差まで追い上げられたような気分。
フルマラソンというのは、最後まで何が起きるかわからない。
・・・と、32回もフルを走っていながら、改めて思い知らされた。
さて、3週間後はニューヨークシティマラソン。
正直言うと、今年はお祭りを楽しむ気分ではない。
悲願の3時間40分切りは、ぜひとも今年中に達成したい、という強い気持ちがある。
余興はほどほどに、あくまでレース本番を最優先して、調整していくつもりだ。
★EXPO会場でゼッケンをP/U後、参加賞シャツを着て記念撮影。
★アメリカ、カナダ両国の国旗を背景に1枚。スタートまで、あと14時間37分52秒・・・を示すカウントダウンのデジタル時計が見える。
★スタート会場にて。それにしても濃い面々が集まったものだ。
★アメリカ、カナダ両国の国旗が掲げられたフィニッシュ・ゲート。
★バンクーバー以来、5ヶ月ぶりのフルマラソンを完走。
★デトロイトを象徴するGMルネッサンスセンターのビル群を背景にデザインされた完走メダル。
★デトロイト・タイガースの本拠地コメリカパークにて。テキサス・レンジャーズに敗れ、ワールドシリーズ出場は逃したものの、今年はア・リーグ中地区を制覇。
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