375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

【大会レポート】第11回飛ぶ豚マラソン(3) レース編

2009年05月08日 | 大会レポート 2009

★思い思いの被りものや仮装に身を包んだ給水ボランティアたち。
(From the Gallery of Flying Pig Marathon Official Site)

5月3日(日曜日)、いよいよ飛ぶ豚マラソン(Flying Pig Marathon)」の当日を迎えた。1月ロックンロール・アリゾナマラソン、3月シャムロック・マラソンに続く今年3本目のフルマラソン。コースは起伏が多く、かなり厳しいとの評判があったものの、4月の練習では自己最高の300kmを走り込んでいたので、ただでは転ぶつもりはなかった。ラン仲間たちとの前夜祭で気持ちも盛り上がっていたし、心身ともにコンディションは上々だった。

当日の朝は小雨模様。だが、傘を必要とするほどでもない。同じホテルに泊まっていたあざらしさんとロビーで待ち合わせ、およそ15分ほど歩き、NFLシンシナティ・ベンガルズの本拠地ポールブラウン・スタジアムの南側に位置するスタートエリアに到着。当初の打ちあわせ通り、そこのエリートコラルで、Tomokoさん、コスメル前村さんと落ち合い、写真を撮ったりしてスタートまでのひとときを楽しんだ。

エリートコラルと言っても、2時間10分を切るようなケニアの招待選手がいるわけではないので、ちょっと速ければ誰でもエリートって感覚。それでもちょっと身分不相応な場所を陣取ってしまったせいか、スタートの合図が鳴ってしばらくの間は、周囲のランナーに思いっきり抜かされ続けた。

以下、マイルごとのラップ。

01mile  8分56秒
02mile  8分56秒 (17分48秒)
03mile  8分53秒 (26分31秒)
04mile  8分42秒 (35分23秒)
05mile  8分29秒 (43分52秒)
06mile  8分32秒 (52分24秒)

朝6時半スタートという、通勤前の「おはようラン」並みの早い時間だったので、まだ体が目覚めておらず、序盤はスローな展開。1mile地点でオハイオ川を渡り、いったんケンタッキー州に侵入する。隠れた観光地として知られるコヴィントンの街並みを通過し、3mile地点で再びオハイオ川の橋越え。ここから6mile地点までがシンシナティのダウンタウン地区で、比較的平坦なコースになり、ペースもようやくマイル8分30秒前後まで上がってきて、このままランナーズ・ハイに突入するかに見えた。

ところが…。

07mile  9分29秒 (1時間01分53秒)・・・上り区間
08mile  9分04秒 (1時間10分57秒)・・・上り区間
09mile  8分33秒 (1時間19分30秒)
10mile  8分37秒 (1時間28分07秒)
11mile  7分42秒 (1時間35分49秒)
12mile  8分23秒 (1時間44分12秒)
13mile  8分37秒 (1時間52分49秒)

噂に聞いたとおり、6mile地点からの上りはキツかった。ニューヨークシティ・マラソンでのクーンズボロ橋もかくやと思わせるような勾配がいつ果てるともなく続く。8mile地点を過ぎて、ようやく道が平らになり、これで終わったかと思いきや、曲がり角を折れるとまた上り、という感じで精神的にもなかなかタフな攻撃が続いた。

ラップタイムは一気に9分台に落ち、「とても記録どころではない。サブ4を確保できれば上出来」という気持ちになる。「4時間以内ならOK」と考えると、ここからは肩の力も抜け、上りでは無理をせず、下りでは快適に飛ばすという自然なリズムにまかせる走りができるようになった。結果的にはこれが後半へのエネルギー保存につながったのかもしれない。

中間地点の通過タイムは1時間53分39秒。最近のマラソンとしては3分くらいペースが遅く、この時点では自己ベスト更新の望みはいったんあきらめていたのである。

14mile  8分27秒 (2時間01分16秒)
15mile  8分25秒 (2時間09分41秒)
16mile  8分31秒 (2時間18分12秒)
17mile  8分37秒 (2時間26分49秒)
18mile  8分42秒 (2時間35分31秒)
19mile  8分43秒 (2時間44分14秒)
20mile  8分39秒 (2時間52分53秒)

ヤマ場は越えたものの、コースは相変わらず細かなアップダウンが続く。それでもマイル8分30秒前後のペースを維持できたのは、比較的天候が涼しく、体力の消耗が少なかったのと、行く先々で、豚の被り物や着ぐるみなどに身を包んだ応援風景に出会えるのが楽しかった、というのもあるかもしれない。

そうこうするうちに、一度は遥か前方に遠のいていた3時間45分のペーサーの持つプラカードが視界に入ってきて、頑張れば追いつけそうになってきた。決して無理にペースを上げているわけではなかったが、徐々に息を吹き返してきた感じがする。15mileあたりで、ついにペーサーと肩を並べた。

彼(Daveという男性のペーサー)はガーミンを見ながらペースを調整し、周囲のランナーとコミュニケーションを取りながら余裕のある走りをしていたので、このまま一緒についていけば大丈夫、という安心感があった。いつもなら疲れが出てくる18mileから20mile地点あたりの正念場も、彼について走ったおかげで乗り切ることができたようなものだ。

20mile地点の通過タイム、2時間52分53秒。

自己ベスト達成時より2分ほど遅いペースだが、どうにか3時間50分は切れそうな見通しが出てきた。
しかし実際は、予想を遥かに超えたフィニッシュ・タイムが待ち受けていたのである。

21mile  8分28秒 (3時間01分21秒)
22mile  8分14秒 (3時間09分35秒)
23mile  8分13秒 (3時間17分48秒)
24mile  8分59秒 (3時間26分47秒)
25mile  8分30秒 (3時間35分17秒)
26mile  8分47秒 (3時間44分04秒)

20mile地点を過ぎてからのラスト・クォーター。4楽章の交響曲で言えば最終楽章にあたるこの区間は、いつもなら息も絶え絶えになってペースダウンするところだ。さしずめチャイコフスキーの「悲愴」のような終わり方をするのが常だったが、今回は一味違うドラマティックな展開が待ち受けていた。

21mileのラップを8分28秒で乗り切ると、なんとここから23mile地点にかけてマイル8分10秒台にペースアップ。マラソン生活で初めて、30kmを越えてから起死回生のランナーズ・ハイが訪れた。まさに「飛ぶ豚マジック」とも言うべき、不思議な瞬間。それでも、まだこの時点ではペーサーのDaveからさほど離れない位置を確保している。本当のラスト・スパートにはまだ早い、というか、そもそもフルマラソンでラスト・スパートなどやったことがなかったのである。

さすがに24mileあたりになると疲労を感じ始めてきたが、いつものマラソンほど深刻ではない。Daveも後ろを振り向いて、「先に行っていいぞ!」と檄を飛ばしてくれた。

そして満を持した25mile地点。ここでDaveに別れを告げ、最後の1mileを全力疾走。
行く手にMLBシンシナティ・レッズの本拠地グレート・アメリカン・ボールパークが見えてくると、感無量の思いがこみ上げてきた。

「FINISH LINE」ならぬ「FINISH SWINE」までの最後のホームストレッチ。次第に高まる沿道の大歓声に応え、ゴールゲートに飛び込んでいく。

手元の時計に表示されたタイムは
→→→3時間44分43秒

な・なんと、昨年11月のニューヨークシティ・マラソン(3時間47分22秒)を上回る、自己ベストを達成した。
わずか2分39秒の短縮ではあるが、長年目標としていた3時間45分を切る、大きな一歩。

前半ハーフ(1時間53分39秒)よりも後半ハーフ(1時間51分04秒)のほうが速いというネガティブスプリットも今回が初体験だ。おそらく、2007年9月にサブ4を達成して以来、最高のレースではなかろうか。

とは言え、「もう一度走るか?」と聞かれたら、ちょっと答えに迷うほどの難コース。
おそらくこれが最初で最後になるだろうけれど、本当に「走っておいてよかった」と思える大会だった。


★まだ薄暗い午前6時、エリートコラルに集まった「飛ぶ豚四銃士」の面々。


★お互いの家宝になりそうな2ショット。


★見事年代別3位に入賞したTomokoさん。


★見事ボストン・クォリファイを達成したコスメル前村さん(右)も加わって、お祝いのポーズ。


★ホテルに戻り男性3人で記念撮影。あざらしさん(中央)は初マラソンで見事サブ4を達成した。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (KOTTBULLAR)
2009-05-09 12:12:04
ナイスランでしたね。
終盤に元気なのは走っていてもとても楽しいし「好走感」がありますよねっ。

ところで、↓↓現地で放送されたものがアップされてるようなのですが、20~23秒ぐらいのところにミナコヴィッチさん、映ってません?

http://www.youtube.com/watch?v=LnAfE2m2rwc
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Unknown (ミナコヴィッチ)
2009-05-10 09:45:29
おっ、一瞬映ってますね~。
よく見つけて下さいました♪

今回は前半が飛ばそうにも飛ばせない難コースだったことが、
後半へのエネルギー保存に役立ったという
「ケガの功名レース」でしたね。

マラソンはやはり「前半はちょっと遅すぎるかな」
くらいのほうが、いいのかもしれません。
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