今回の山行、予定していた涸沢は紅葉が10日前にピークを迎えてしまった
との情報から、同じ2泊3日で、蝶ヶ岳、常念岳の周回コースへと
変更いたしました。
出発は10月4日(日)
前日は午後9時に就寝すべくベッドに入ったのですが、入った途端
友人より電話(汗)
悩みを抱える友に「明日早いから」と言えるわけなく、
就寝は午後10時となる(汗)
睡眠4時間で、午前3時過ぎに家を出て、関越道から長野道に入り、
安曇野インターで降り三俣登山口の駐車場に着いたのは午前6時半。
本来の駐車場は満車のようで、停めたのは本駐車場から600mほど手前の
臨時駐車場。ここも満車寸前。
たぶん前日か前々日に入山して、この日(日曜日)に帰る車がほとんどだと思います。
登山口は本駐車場から更に20分歩いたところ。
用意してきた登山届を提出し、いざ出発。
今日は蝶ヶ岳山頂のヒュッテまで。
登山口と山頂の標高差は1300m強。
今まで1日で登った標高差は1000mだったので、
果たして登り切れるのか、多少不安有り(汗)
烏川に架かる吊り橋を渡ります。まあまあの揺れ具合(笑)
橋の上から上流を撮ったところ。
橋の真下。紅葉はピーク少し前といった感じ。
鮮やかさがいま一つかな。
登山口から0.8kmところにある水場。
「最後の水場」って、蝶ヶ岳までここから5.6kmもあるのに(汗)
「ゴジラみたいな木」
愛称ゴジさん、だそうな。
このコースで登る人にとってはアイドルみたいな存在らしく、
蝶が岳ヒュッテではゴジさんイラストのグッズが多種売られていました。
(私はスタッフバッグを購入)
樹林帯を歩きます。
写真では分からないけど、斜度もそこそこの道をとにかく登りつづけます。
長丁場なのでゆっくりゆっくりね。
道中の楽しみはところどころの紅葉と、この季節ならではの赤い実、たまにキノコ。
ここで、ちょこっとご紹介。
クロツリバナ
分かりません。
分かりません(汗)
今年は8月9月と雨が多かったせいか、キノコが多い気がしますわ。
ガマズミの類かな。
ツルリンドウ
ゴゼンタチバナ
マイヅルソウ
コケモモ
ナナカマド
登山口から2時間ほどの『まめうち平』で軽く休憩。
途中の道標。
「3.9kチョリソ、2.5kプー」って何?(笑)
樹林帯の登りはまだまだ続きます。
行き会う人はほとんどが下山の人。
途中ガレ場も有り、斜度もきつくなります。
聞いてはいたけど、本当に延々と樹林帯の登りで、我慢の登山といった感じ。
いつも以上にヘロヘロです(汗)
登山口から何度か小休憩をとりながら、6時間近くかかって、
ようやく、本当に、よ~~~やく視界が開けてきました。
翌日歩く予定の稜線と、その先に聳える常念岳がお目見えです(超嬉)
ほどなく蝶ヶ岳山頂に到着。
標準コースタイム5時間のところを6時間ちょっとかかってますが、、
「おおおお、何、この景色。スゲー スゲー スゲーよぉぉ~~~~~」
穂高に大キレットに槍がクッキリ!
標高差1300mを登り切った疲れも吹っ飛ぶような展望に、
フルフルと涙が出そうになる私(←これホント)
左に槍ヶ岳、右に常念岳を背景にした蝶ヶ岳ヒュッテ。す、素晴らしぃーーーーーーーっ
凄いよ~~、カッチョええよ~~~~
でも、それでも実際に疲れが吹っ飛ぶことは無く、写真もそこそこにヒュッテへ(←情けない)
こちらのヒュッテは個室も有りだけど、室料15,000円が宿泊代に上乗せされるので
それは贅沢過ぎるということで今回は大部屋です。
大部屋はこんな感じ。
スペースごとにカーテンで仕切られていて、簡易個室と言えなくも無し。
私らの寝床はここ。山小屋で初の大部屋。狭いけどなかなかじゃないですか。
涸沢あたりだと繁忙期は布団1枚に3人ということもあるそうだから、
それを考えたら天国かもです。
蝶ヶ岳ヒュッテは吹き曝しの稜線上に建ってることもあって、
思っていたよりずっと寒く、ダウンを着こんでカイロを貼付。
時刻は午後2時過ぎ。自炊室でカップスープとパンの簡単昼食。
こんなんでも美味しいんだわ。
胃袋が満たされ身体が温まったところで、しばし昼寝(笑)
夕食前に起きて、外へ。めちゃ寒いです。
午後5時20分の安曇野側の景色。
雲海とグラデーションの空の色がとても綺麗でありました。
夕食は午後5時半。
同じテーブルの端に「なんか背の高い人がいるなぁ」と思って2度見したら、
NHKのグレートトラバース で有名な田中陽希さんでビックリ。
山の上で知らない人はいないだろうという超有名人、
ご一緒できるなんて、なんてラッキー。
現在は2百名山ひと筆書きの行程中だったんですね。
翌10月5日(月)
朝食は午前5時半。
嬉しいことにまたもや田中さんが同テーブルで、しかも目の前。
迷惑にならない程度に少しお話させていただいたところ、
昨日は霞沢岳から来て、この日は常念岳~大天井岳(おてんしょうだけ)
~燕岳(つばくろだけ)という予定だそう。
私らは常念まででやっとなのに、「常念までは3時間かからないかな」って、
ホント凄すぎ(汗)
「田中さんも凄いけど、その田中さんに同行し撮影する方も凄いですよね」と
言うと、「はい。あれが出来るのは日本に2、3人しかいないと思います」と。
やっぱスタッフもそんな凄い人なのか~~
田中さんは私のくだらない質問にもひとつひとつ考えながら答えてくださって、
なんとも真面目で素敵な方だなぁと思いましたです。
どうか2百名山ひと筆書きが、無事成功されますように。
この日の日の出は全体的にガスがかかり見られず。
でも、ガスの早い動きが面白く、しばらく見ていると、
荒波から龍が飛び立つような光景が現れ、ちょっと鳥肌。
上空のガスが切れて、広がる美しい空と雲。
昨日撮り忘れた山頂の道標。蝶ヶ岳山頂@2,677m
青空の下には山並みがクッキリ。槍ヶ岳もポッチリ♪
このポーズは「風が強くて寒いんだよぉ~」ということを表現しているそうです(笑)
大キレットのあたりに雲がかかってるのが残念ではありますが、
気持ちの良い登山日和。
時刻は午前7時過ぎ。いざ、常念岳へ出発です。
少し歩き、斜め後ろを振り返れば、明神、前穂、吊り尾根、奥穂、涸沢カール、北穂ときて、
下には梓川。
それはもう、盆と正月が一度に来た感じとでも言いましょうか(笑)
写真右の美しい姿のお山が常念岳。
北アルプスの名峰たちに見守られての稜線歩き、幸せです~~♪
常念岳から三俣へと下る尾根道は雲海の中へ。
急角度になっているところが前常念だと思います。
三角のピークは蝶槍。
快適な稜線歩きが1時間ほど続き、樹林帯へ入ります。
鞍部の小さな池。映る青空とダケカンバの白い幹が綺麗です。
シュシュにしたいような、この可愛いボンボンは(たぶん)マルバダケブキの綿毛。
小さなピークをいくつか超えると、常念岳がすぐ近く(のよう)に見えてきます。
樹林帯を抜けて、ハイマツとのコラボが美しいクロマメノキの草紅葉がお目見え。
クロマメノキの実。黒というより青ですね。
ゴツゴツした岩稜帯に入りました。谷の向こうには雲を押しとどめるような槍ヶ岳。
奥の頂が常念岳山頂。
あとひと息、に見えるけど、ここからが長かった(汗)
途中の鞍部で昼休憩。
メニューはおなじみパンとカップラーメン。
シンガポール風ラクサってのが、かなり美味しかったです。
槍ヶ岳はずっと姿を見せていてくれました。
姿が見えるだけでテンションが上がる槍ヶ岳。
来年か、そのまた来年か、おばあさんになる前に、いつか絶対登ってみたいです。
山頂直下。振り返ると、アップダウンを繰り返しながら歩いてきた蝶ヶ岳からの道がよく見えます。
なんて冷静に書いてるけど、この時、私はすんごいヘロヘロ(汗)
でもって、常念岳山頂@2,857m
常念岳は日本百名山のひとつです。
「イエ~~イ」(笑)
あんなにヘロヘロだったのに。ホント現金というか何というか(笑)
ここで、しばし休憩。
出発から山頂までコースタイム5時間のところ、6時間ちょっとかかってます。
休憩が多かったからということにしておこう(汗)
山頂からの眺め。
北には、田中陽希さんがもう到着、もしくは通過しているのではないかと思われる
大天井岳もよく見えます。
今夜のお宿は、山頂から標高400mを下った、常念岳と横通岳の鞍部に
建つ常念小屋。
少し歩くと真下に見えてくる常念小屋。正面が横通岳。
鞍部までメッチャ急斜面で、一瞬「うぉっ」ってなるけど、
登山道はつづら折りになってるので怖さは感じません。
が、折り返している分、小屋が見えているのになかなか着かないのが辛いとこ(汗)
常念小屋到着は午後3時少し前。
小屋の中は宿泊客、テント泊客、立ち寄り客など、たくさんの人で
溢れていました。
月曜日の平日なのに、さすが百名山直下の小屋の賑わいは凄いもんですね。
案内されたのは四畳半ほどの部屋。
他のお客さん(男女)二人と同室でしたが、寝る時以外はほとんど
食堂やラウンジにいるので、窮屈さはさほど感じず。
自炊スペースでコーヒーを淹れます。
山の上は沸点が低いからコーヒーには最適(笑)
隣の談話室でコーヒーを飲みながら山雑誌や漫画の『岳』を読み、
夕食までの時間を過ごし、
夕食は午後5時半。
家庭的なお味でとても美味しかったです♪
常念小屋ではポットに入ったお湯とお茶が自由にいただけるので
お茶飲みの私にとっては有難き事この上なしで、本や雑誌類も豊富で
空き時間をゆったりと心地よく過ごすことが出来ました。
常念小屋で買ったグッズはバンダナとスタッフバッグ。
(ゴジさんイラストのは蝶ヶ岳のグッズです)
バンダナは山小屋のグッズにしておくのが勿体ないような秀逸なデザインだと思います。
2、3枚買ってくれば良かったと後悔する私(汗)
翌10月6日(火)
午前5時、小屋の東側で日の出を待ちます。
この日は無風で寒さもさほど感じず。
先客の後ろから白み始めた空を撮ってみたら、ちょっといい感じ。
ほどなく、水平線じゃなく地平線、いや雲海線?の上がオレンジ色になってきました。
道標がお墓っぽくて、なんかドラマチックだな、と思ったり。
雲海に浮かぶ八ヶ岳のシルエットが美しい。
一番左が蓼科山ですね。綺麗なコニーデ型で分かりやすい。
富士山は残念ながら手前の山陰になって、この場所からは見えません。
正面には浅間山。噴煙が上がってます。
午前5時40分。お日様が昇ってきました。ありがたや~
無事帰りつくことが出来ますようにと手を合わせ、小屋に戻ります。
三々五々小屋に戻る宿泊客。小屋の向こうには朝日に照らされた槍穂高。
なんて贅沢な風景なんでしょうか。
朝食をいただき、小休憩&準備をして、
午前7時、三俣登山口に向けて出発です。
常念岳の山頂近くまで1時間近く登り、
分岐から三俣方面へ向かいます(振り返って撮ったところ)
ここから三俣登山口までは標高差約1500m。
標準コースタイムは6時間弱。
長い長い下りの始まりです。
このガレ場の先は、見えないけどハイマツ帯になっていて、
ハイマツの間の細い道を歩いていると、「ん?鳩?」
いや、、「雷鳥じゃん!!!」
慌ててカメラを構えるも雷鳥はすぐハイマツ帯に入ってしまい、
撮れたのはこの一枚(汗)
白と茶褐色が半々くらいの雷鳥さん、お分かりいただけますでしょうか(分かんねぇって)
初めて会えた雷鳥。メッチャ嬉しかった。
でもその場に羽が一本落ちていて、もしかして私との遭遇に驚いて
抜けちゃったのかなって。
雷鳥にとってはストレスですもんね、きっと(汗)
斜め後ろを見ると、昨日蝶ヶ岳から歩いてきた道、その向こうに穂高、
そのまた向こうに乗鞍、そして、静かに噴煙を上げる御嶽山まで、、
うう、やっぱいいわ、お山は。キツイけど、いいわ。
んで、「この眺めをバックに撮ってちょ」と岩に腰かけポーズをとったら、
とたんにガスが上がってくるというタイミングの悪さ(汗)
そこから少し下ると、
前常念岳のピークというか出っ張り?(下から見たところ)
三俣登山口から登ると「常念山頂だ」と思ってしまうという前常念岳。
安曇野あたりから常念岳として見られている山体のほとんどは前常念岳なのだそう。
赤い屋根の小屋は緊急避難用の石室です。
この先は岩々の急斜面。1時間ほど続きます。
この間が、この日一番キツイというか少々怖かったです。
常念小屋で、「この道を下りに使う場合は相談ください」という旨の張り紙がしてあり、
ダンナが聞きにいくと、70代以上の人には止めた方がいいと指導しているとのこと。
転倒して顔中血だらけになる人が少なくないのだとか(汗)
下りは怖いけど、登ってくる人を見ると、登りは登りでまたえらくキツそうでありました。
岩場では、カメラは斜め掛けにしているとバランスが悪く、
ガンガン岩にあたってしまうのでザックに仕舞っています。
そろそろ樹林帯に入るかなというところでホッとひと息ついてカメラを取り出しました。
このあたりから眺める山間は黄葉が見頃でした。
この後は、延々と樹林帯の下り。
途中、結構な急斜面もありましたが、幾重にも折り返しているので
キツくは無く、ただただ長いなと(汗)
あともう少しというところで、ダンナも私も水分が底をつき、
無いと分かると余計喉の渇きを覚えるもので、そしたら、
沢がお目見え(超嬉)
飲用の表示は無かったけどガブガブいっちゃいました。
良い子は真似しないでね。
ほどなく、蝶ヶ岳と常念岳の分岐地点、文字通りの三俣分岐に到着。
長かったぁ~~~
無事帰ってこれて良かった~~
思わずダンナとハイタッチしちゃいました。
たぶん初めてだと思う(笑)
常念岳の分岐から約7時間かかって車を駐めた臨時駐車場に到着。
下りの道で私たちを追い抜いたのは、ただ一人でございました。
私たちが早かったからでは決してなく、単に他に下ってる人がいなかったからだと思われ(笑)
いきなり年季の入ったブーティエル(笑)
靴擦れやあたるところ等全くなく、よく頑張ってくれました。
こんな風に、私たちが3日かけた、三俣~蝶ヶ岳~常念岳~三俣という周回コースを
日帰りでやっちゃう強者もいるんですよね。凄すぎだわ。
というか、私たちがヘタレすぎるのか(汗)
でも、ヘタレだって楽しいものは楽しい。
これからも、ヘタレなりに無理なく安全に楽しく登りたいと思います