今年の夏の旅は、やっぱり東北だろうと、
まだ行ったことの無い青森へ8月21日から2泊3日で行ってまいりました。
往復飛行機です。
本当は車か新幹線で、のどかな景色を眺めながら行きたかったんだけど、
先日、ひたちなかへ行く途中に見た、ブルーシートで覆われた屋根の光景だけで
心臓がバクバクしちまった私なので、ひとっ飛びしてしまおうと(汗)
羽田7:35発で青森空港8:55着。
空港でレンタカーを借りて、自動車配送サービスというのを
事前に予約しておいた津軽五所川原駅へ。
車で効率よく巡りたいけど、田園風景の中を走る津軽鉄道(通称津鉄)にも
絶対乗りたいという私みたいな人に嬉しいサービス。
http://tsutetsu.web.infoseek.co.jp/service/jidousyakaisou.html
タクシーの運転手さんがレンタカーを終点の津軽中里駅まで
配送しておいてくれるんです。料金3,500円也。
津軽五所川原駅のホームにて。列車の名前は『走れメロス号』。
冬のストーブ列車で有名な津軽鉄道。
この季節の車内には津軽金山焼きの風鈴がチリンチリンと鳴り、
津軽弁と標準語が表裏になったリンゴ型のカードがユラユラ。
手作り感がええですわ。
乗車するときに乗務員さんが「切符のお買い忘れはございませんか~」と
呼びかけてるんですが、これ、普通は「切符を拝見いたしま~す」
なんだろうなと。奥ゆかしいですね、津軽のお人は。
車内ではトレインアテンダントの綺麗なおねえさんが
お客さんとゆる~くコミュニケーションをとりながら津軽の観光案内や
PRに努めておりました。
津軽鉄道が復興支援のため発売した義援金はがき(3枚・500円)のモデルは
このアテンダントさん達。
義援金はがきは、吉永小百合さんをモデルにしたJR東日本の
『大人の休日倶楽部』のパロディで、JRから、「余り派手に宣伝してもらっちゃ困る」
と言われちゃったそうな(笑)
そんなお話をしてくださったアテンダントさん、この義援金ハガキも紹介しただけで
席にいらしたときには「如何ですか?」とか直接のセールスは皆無。
「ハガキ買いたいんですけど」って、いつ切り出そうかと悩んだくらい(笑)
ホント、奥ゆかしいです。
車窓から眺める風景はほとんどがこんな感じ。
津軽平野をガタンゴトン♪
始発の津軽五所川原から終点の津軽中里まで約40分。
もっともっと乗っていたかったよ~~~~。
駅で車に乗り換え北上し、向かうは竜飛岬。
途中、お昼休憩を十三湖のほとりにて。
しじみで有名な十三湖。だだっ広いです。
湖のすぐ近くにある『しじみ亭奈良屋』にて、しじみづくしの御膳。
美味でした。
特にしじみラーメンが美味しかったので、お土産として購入。
突端に見えるのが竜飛岬です。
♪ごらん あれが竜飛岬 北のはずれと~~♪(←お約束)
海の色が凄~く綺麗でした。
途中イカ焼きを買い食いして(←メチャ旨)、
こちらは竜飛崎の展望台からの眺め。360度の大パノラマでした。
海の向こうにうっすらと見える北海道までの距離は約20キロ。
龍飛埼灯台。意外と小振りなんですね。
ランプがたくさんのイカ釣り漁船。
夜の漁を見てみたかったです。
竜飛岬の東に位置する高野崎は迫力の断崖絶壁。
頑張って長い階段を下りてきたところ。
服が膨らんでいるのは風のせいです。肉は入っていません。念のため(汗)
この時、時刻は15:30。
あとはただひたすらに南下して宿を目指します。
お宿は2泊とも八甲田山中にある酸ヶ湯温泉旅館。
自販機有り、剥製の飾り有りのロビー、この混沌さがgoodです。
お部屋や廊下はもっと湯治場ぽく質素なのかと思ったら、
普通の旅館という感じでちょっと意外(笑)
1日目の夕食。滋味溢れる山の幸たっぷり。
二日目は海の幸たっぷり。
どちらも素朴なお味で美味しゅうございました。
この宿に泊まりたかった理由は何と言っても、総ヒバ造りの千人風呂。
私が撮ったんじゃありません(笑)
撮影厳禁と貼り紙がしてあったので、パンフを写しました。
酸ヶ湯の歴史は300年。
なんで300年も前、八甲田山の麓という人里から遠く離れた場所に、
こんな大きなお風呂がつくられたのか不思議でなりませんが、
仄暗い風呂場に立ちこめる硫黄の匂い、長い年月を経た木の温もり、白濁の湯、
千人風呂は期待してた以上に素晴らしかったです。
ただし強酸性の湯なので、湯船で顔をザブザブすると
目がエライことになっちゃいますぜ(←やっちゃった人)
ちなみに千人風呂は混浴。
私はさすがに混浴に入る勇気はなく、でも夜と朝の1時間ずつ設けられた
女性専用タイムでは飽きたらず、夜中にダンナを盾にして(←必要なし?w)入りに行ったら
誰もおらず、千人風呂独り占め(正しくは二人占め)状態。
極楽でございました。
朝食は大広間でバイキング。
テーブルの埋まり具合を見ると、日曜月曜の泊まりにもかかわらず、
ほぼ満杯。人気あるんですね。
二日目の目的地は奥入瀬渓谷。
その前に、途中にある2つの沼に立ち寄り。
その名も地獄沼。
水中で90度の強酸性の熱湯が湧き出ているため、水面には湯気が立っています。
手を入れてみたら本当に熱かったです(笑)
こちらは睡蓮沼。
立ちこめた霧のせいか、とても神秘的な雰囲気の沼でした。
十和田湖です。
気持ちは「奥入瀬!奥入瀬!」だったので、
十和田湖では有名な乙女の像を見ることもなく、下流の奥入瀬の入り口へ
バスで向かいました。
渓流散策は下流から上流へ。ここは私たちが出発点とした石ヶ戸(いしげど)。
『石ヶ戸』は方言で、『岩屋』を意味するのだとか。
コンクリの塊に見えるのは一枚岩です。
渓流沿いの遊歩道をテクテクと十和田湖に向かい遡ります。
全部歩くと約14キロ。メインとなる石ヶ戸~子の口(ねのくち)で9キロ。
私たちが歩いたのは途中バスに乗ったので約5、6キロでしょうか(汗)
この日はあいにくの曇り空でしたが、川や滝の撮影には
シャッタースピードが遅くできるので最適。
ただし、三脚は使わないため、ブレはご愛敬ということで(汗)
では、奥入瀬の流れを何点か。
見ての通り、水面と遊歩道の高さが近いのが奥入瀬の特徴。
水かさが一定しているから、川の中の岩に苔が生え、それがまた
独特の景観をつくりあげているんですね。
流れは、ところどころ激しい箇所もありますが、全体的に穏やかで、
訪れるものを拒まず、優しく受け入れてくれるように感じました。
そして、鬱蒼とした木々に隠れ、パッと見は分からないんですが、
川の両側は高低差のある崖が続いており、
上からの水がいくつもの滝となって川に流れ込んでいます。
以下は代表的な滝です。
白布の滝。
千筋の滝。
九段の滝。
雲井の滝。
どの滝もそれぞれに様相が異なり、見飽きることはありませんが、
圧巻は、こちらの銚子大滝。
それはまるで、森の中に突如現れた水のベール。
上からの眺めは、ドレスの裾が広がっているよう。
この時、幸運にも私たち以外誰もおらず、この景観と、水音と、
肌にあたる水しぶきを、しばしの間堪能させてもらいました。
奥入瀬渓流、本当に美しかったです。
十和田湖に戻って、お土産を買いながらいただいたのは、
秋田名物きりたんぽ。
なんで『きりたんぽ』?って思ったら、
十和田湖は青森と秋田両県にまたがってたんですね~。
きりたんぽは甘めのタレが美味しかったです。♪
そういえば、昨日五所川原駅近くのコンビニで買ったお赤飯もほんのり甘くて、
東京者には軽くショックだったけど、それが意外と美味しくて、
ちょっとメカラウロコでしたわ(笑)
きりたんぽが思った以上にお腹にずっしりで、
お昼は抜きで、奥入瀬渓流ホテルにてティータイム。
『森のアップルパイ』(手前/1,200円)と『幸福林檎のミルフィーユ』(奥/1,000円)
当然ながら、Appleづくし(笑) 美味でした♪
特に『幸福林檎のミルフィーユ』は、本当に「幸せ~」という美味しさでございました。
宿への帰路、立ち寄ったのが、
800年以上前に既に湯治小屋があったという蔦温泉旅館。
酸ヶ湯温泉旅館と同じく、こちらも山の中の一軒宿です。
『泉響の湯』というこのお風呂は、湯船が源泉の上につくられているので、
下からお湯がポコポコ湧き出ているんです。
管などを通さない新鮮そのもののお湯。
酸ヶ湯と同じ八甲田山麓にある温泉ですが、こちらは無色無臭の単純泉。
源泉の種類が違うんですね。
『泉響の湯』という名は、井上靖氏がここを訪れたとき詠まれた『泉響颯颯』という
言葉から付けられたそうです。
お風呂はもちろん、廊下や階段もとても風情がありました。
ちなみに、40年ほど前に岡本おさみ氏が新婚旅行でここを訪れ、
そのイメージを元に書いた詩に吉田拓郎氏が曲をつけたものが、
あの『旅の宿』とのこと。
♪浴衣の君は ススキのかんざし♪
もう1泊できたら、ここに泊まってみたかったです。
旅館はブナの森に囲まれていて、近くには7つの沼を巡る小径があります。
時間があれば全部歩きたかったのですが、既に夕暮れ近くになっていたため、
行ったのは旅館からほど近い菅沼まで。
菅沼は、倒木が緑の水の中に眠っている、ひっそりと美しい沼でした。
紅葉の季節もさぞかし綺麗でしょうね。
3日目は朝から小雨混じり。
晴れてたら八甲田山のロープウエイに乗ってみるつもりだったけど、
こんなお天気なので、遠くから眺めるだけ。
なので、気ままにドライブしながら、あちらこちらに寄ってみました。
まずは、青森県立美術館。
美術館の地下へと続くアプローチから、この独特さ。
直方体が複雑に入り組んでいるようなこの美術館、
行きたいところに容易に辿り着きません。
何度スタッフの人に尋ねたか(汗)
壁は外も中も全部真っ白。
雪に覆われた小径で迷子になってるような気分になりましたが、
それも狙いのひとつなんじゃないかって思ったりして。
建物自体も、壁にしつられた案内の文字も、スタッフの制服も、
全てに強いこだわりを持った美術館ですね。
建築と一体化した奈良美智氏の『あおもり犬』は高さ8、5m。
つい、ツンツンしちゃいます(笑)
奈良美智氏はARABAKIでのコラボTシャツを手がけた方。
吉井ファンにも馴染みがありますよね。
前から見ると、うっすら微笑んで見えるのが、
後ろからは、やたら悲しげ。不思議ですね。
館内では、青森出身の棟方志功、寺山修司、奈良美智氏らの作品を鑑賞。
皆とにかく個性的で見飽きることがなく、観光で立ち寄るのでは、時間が全然足りません(汗)
特にこちら、奈良美智氏の『ニューソウルハウス』周辺は何度もうろついて、
ちょっと不審者風だったかも(笑)
(写真は美術館のサイトから拝借しました)
お昼は、ダンナが絶対食べたいと言っていた『つゆやきそば』を
食べに黒石市へ。
つゆやきそばでは、ちょっと有名らしい妙光というお店です。
いわゆる、B級グルメのつゆやきそば。
これは、20数年前に、焼きそばを間違えてラーメンのスープの中に
入れちゃったことから始まったものなんだそうです。
ラーメンでもなく、焼きそばでもなく、でも口の中に広がるのは
慣れ親しんだ味と香り。
お値段650円也。とても美味しゅうございました♪
こちらは同じ黒石市の『こみせ通り』
こみせは、藩政時代から今に残るアーケイド状の通路で、
こうしてまとまった形で残っているのは全国でも例が無いのだそうです。
古い建造物に飾られた子供たちの将来の夢。
素敵ですね、過去と未来の融合。
お次は、
今日もやっぱり温泉(笑)
雨の中、両側に林檎畑の続く道を黒石温泉郷へ向かって走ります。
目指すは、四方を山に囲まれているという青荷温泉。
温泉への往く道には津軽弁のひとこと看板が続きます。
「ワギ見なって」は「脇見運転するなよ」かな?(笑)
ランプの宿として有名な青荷温泉は本当に山の中にありました。
こちらは脱衣所のランプ。
部屋にも電気が引かれてないそうです。
入らせてもらった2つのお風呂はどちらもスッキリとした佇まい。
お湯は無色無臭の単純泉。
格子の窓の向こうに見える緑が素敵な温泉でした。
そして、空港に行く時間を考え、時計とにらめっこしながら
立ち寄ったのが弘前市街。
歴史のありそうな洋館が街のあちらこちらに。
弘前は洋館の街なんですね~。
こちらは、日本キリスト教団弘前教会。色もデザインも素敵です~~~。
もっとじっくり見たかった~(泣)
こちらは青森銀行記念館。
車を駐めることが出来ず、車中から見学(汗)
ここにも奈良美智氏の作品が。
『AtoZ Memorial Dog』 2006年夏に弘前で開催されたAtoZ展、
それを記念し2007年秋に設置された作品なのだそうです。
高さ3m、全長4、5m。
夕食は津軽三味線を聴きながらと思って、演奏タイムのあるお店に入ったけど、
残念ながら、演奏が始まる時間には青森空港へ行っていなければならず、
食事のみとなりまして、
あとでアップルパイを買い食いするつもりだったので、注文したのは、
けの汁とか、シャモロックの唐揚げとか、嶽きみとか、イカメンチとか、
当地ならではものばかりを1人前ずつ6皿のみ。どれも量は少なめです。
なかなかの味ではあったけど、お酒も頼まず、これで5,900円はちと高いな~と。
津軽三味線の演奏が聴ければ、また違った感想になったんでしょうけどね(汗)
で、食べたかったアップルパイはどこの店も、みな売り切れ(泣)
それに加え、雨は強くなるし、
青森空港へ行く途中カーナビが調子悪くなり、道に迷って焦りまくるしで、
旅の終わりはちょっと残念なカンジじゃんと思ったら、
空港の“CHANDOLA(チャンドラ)”という出店で買い食いした『生りんごワッフル』が
メチャ美味しくて、店じまい直前、残っていたワッフルを全部お買い上げ。
といっても4個だけど(笑)
いや、ホント、美味しかったです、これ。
ああ、幸せ(笑)
素晴らしい景色に、温泉に、美味しいもの満載だった青森の旅、
最後はやっぱりアップルよね~。