[映画紹介]
ご存知、先のアカデミー賞で
作品賞・監督賞・主演女優賞・オリジナル脚本賞・編集賞と
主要5部門で受賞した「2024年度ベスト1の映画」。
カンヌ国際映画祭でもパルムドールを獲得。
ニューヨークでストリップダンサーをしている
“アニー”ことアノーラは、
客で来店した、同じロシア系の若者、イヴァンに気に入られる。
住いを訪ねてみると、
ものすごい豪邸。
実はロシアの財閥の御曹司だったのだ。
彼がロシアに帰るまでの7日間、
1万5千ドルで“契約彼女”になったアニーは、
パーティーにショッピング、贅沢三昧の日々を過ごすが、
休暇の締めくくりに行ったラスベガスの教会で
衝動的に結婚してしまう。
しかし、息子が“娼婦”と結婚したと噂を聞いたロシアの両親が
結婚を無しにすべく、男たちを送り込んできた。
酔って所在不明のイヴァンを探し回る最中、
イヴァンの両親がロシアから到着。
結婚無効の手続きは、
結婚した現地、ラスベガスでしか出来ないため、
一堂、チャーター機でラスベガスに乗り込むが・・・
前半、アノーラとバカ息子・イヴァンのご乱行は、
金まみれ、セックスまみれで、
観ていて苦痛だった。
しかし、後半、ロシア人たちが乗り込んで来ると、
俄然面白くなる。
屈強な男たちに対抗して闘うアノーラが
けなげで、可愛く見えるからだ。
若い薄幸な女性が、
自らの幸せを勝ち取ろうと
全力で奮闘する等身大の生き様は共感できる。
ラストはほろ苦く、余韻がある。
周囲のロシア人たちや
アノーラのストリッパー仲間も
よく描かれている。
とにかく、後半は面白くて、時間を忘れる。
波乱万丈ノンストップの勢いで、
その勢いのまま、
アカデミー賞では5冠を獲得。
最近のアカデミー賞は、
「パラサイト」「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」など、
勢いに乗ったものが勝ち、の傾向がある。
作品賞に必要な「品格」など、もはや誰も問題にしないらしい。
だから、これらの映画を作品賞に選んだ反省は
後からやって来るだろう。
アノーラを演ずるのは、映画の実績はそれほどない、
新人扱いのマイキー・マディソン。
一生に一度巡って来るか分からない大役を見事に演じ切り、
アカデミー賞主演女優賞を勝ち取った。
監督のショーン・ベイカーは、一人で
オリジナル脚本賞・編集賞を含む4冠の離れ業。
つまり、この映画、
ショーン・ベイカーの才覚で成り立っている。
あの名作「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」(2017)の監督だから、
まぐれではないと分かる。
5段階評価の「4」。
拡大上映中。
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