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独裁者の延命

2022年10月14日 23時00分00秒 | 政治関係

中国共産党大会が16日から始まるが、
益々独裁の方向に進んでいる。

というのは、習近平国家主席が3期目の続投をするための
規約改正がされようとしているからだ。


中国共産党は、国家主席は2期10年まで
という決まりを鄧小平が作った。
これは、毛沢東のような独裁者を再び出さないための安全装置を意図したもの。
前国家主席の胡錦濤もこのルールに従って、
2012年の党大会で退陣し、
後任の習近平に政権をバトンタッチした。
その先人の知恵が生んだ良き伝統を
習近平はやすやすと破ろうとしている。

中国共産党は、
もう一つ、指導者は68歳以上は引退するという慣例もあった。
これは世代交代を促進し、長期政権を阻止するためのものだ。
習近平は現在69歳。
当然、身を引くべきなのに、これも破ろうとしている。

その上、「二つの確立」として、
「習氏の党中央・全党の核心としての地位」
「習氏の思想の指導的地位」
の確立を意味するものを
党規約に明記し、
習氏への絶対的忠誠を党内に求める規定がされようとしている。

党規約に盛り込まれている指導思想で
個人の名前に「思想」がついているのは
「建国の父」とされる毛沢東の「毛沢東思想」だけだが、
「習近平思想」が党規約に明記される予定だという。
個人崇拝を党の規約で決めるというのだから、
ただごとではない。

こうして習氏の体制が5年、場合によっては10年続く。
10年後といえば、2032年だ。
その間に世界はどう動くのか。

習は「中国の夢」を語り、
「中華帝国」の再興を目指す人だ。
そのために、「一国二制度」の約束を破って香港を吸収し、
台湾を狙い、場合によっては沖縄まで狙っている。
つまり、21世紀は中国が世界の騒乱の中心になる世紀なのだ。

中国の憲法は、中国共産党の指導による、としている。
つまり、党規約の方が憲法より上だ。
その党規約で個人崇拝を決めるとは。
中国共産党の人々は何とも思わないのか。
中国の人民は行動を起こさないのか。

2020年に実施されたロシアの憲法改正も異常だ。
プーチン大統領の任期の「リセット」がされたからだ。

憲法改正前のプーチン大統領の任期(2期12年)は、
2024年までだった。
ところが、憲法改正によってこれまでの任期をリセット、
つまり無かったことにして、
新たに最長2期12年、
2036年まで大統領職に就けることにしたのだ。

更に、大統領の権限が強化され、
議会が承認した首相を解任する権限や、
大統領経験者には不逮捕特権適用、
大統領経験者は終身上院議員とする、
という滅茶苦茶な改悪がなされた。

異常な憲法改正だが、
国民投票の結果、
約78%の賛成で承認された。
大規模な改正であったにもかかわらず、
コロナ下、国民的議論がなされないまま短期間で成立した。

憲法改正の結果、
2000年の大統領就任から
実に36年間も実質的な権力を持ち続けることになる。
その権限の強化の結果が
今のウクライナ侵略につながったといっても過言ではないだろう。

「権力が長引けば、腐敗につながる」
というのは、歴史的に証明され、教訓としている。
だから、民主的な各国は権力に制限をつけている。
アメリカ合衆国の大統領2期8年はよく知られているし、
守られている。
韓国大統領の1期5年は異論はあるが、
仮にその任期を変更する憲法改正が行われたとしても、
その改正をした時の大統領には適用されない、
という予防策を講じている。

独裁者はその統治期間を長引かせたい、というのは当然だ。
だから、弾圧をする。
独裁国家の人民は悲惨で不自由な生活を強いられる。

ひるがえって、日本を見てみよう。
日本共産党の志位和夫
共産党のトップである委員長として22年の歳月を重ねていることをご存じだろうか。


というより、共産党のトップはそもそも長い。
委員長のポストが設けられた昭和45年以降、
委員長をつとめたのは
宮本顕治、不破哲三、村上弘、志位和夫の4人しかいない。
終戦直後の昭和20年から45年までの間、
トップだった書記長職をつとめた徳田球一、野坂参三を加えても77年間で6人。
うち村上は病気を理由に1年半で退任しているから、
実際は5人がトップだった。

なぜ長期にやれるのか。
選挙で負けても、他の政党のように、
責任を取って辞任することはないからだ。

そもそも、一般党員はトップを選べない
中央委員会なる組織が委員長を選ぶ。
中央委員と准中央委員は党大会で選挙によって選出される。
しかし、中央委員会が候補者を推薦する制度だというから、笑える。
代議員(選挙人)も自由に候補者を自薦も含めて推薦することができるが、
前例は少ない。
つまり、代議員そのものが党中央によって統制されている。
中央委員会総会(年2回以上開催)が最高決議機関だが、
常任幹部会や書記局、中央機関紙編集委員会などが
日常的な指導や事務をつかさどる。
総会から総会のあいだ中央委員会の職務をおこなうのは幹部会で、
幹部会の職務を日常的に遂行するのは常任幹部会。
つまり、中央委員会の日常的任務をになう機関は常任幹部会であり、
幹部会委員長が党首として扱われている。

他の政党が、選挙に負けて責任をとって辞任したり、
党員が参加した党首選で選ばれたりするのは、
権力にとっての弱点だと思っているのだろう。
他の政党とは様相が異なり、
党組織の中での権力闘争によって、
党首となるのだ。
つまり、独裁制
日本共産党も、中国共産党やロシアと体質は同じだ。
根本に共産主義という、
既に滅亡した思想の残滓が残っているとしか言いようがない。

会社のトップもそうだが、
あまりに長期にわたって社長が変わらない会社の先は見えている。
後継者を育てるのが最後の仕事だと言われている。
それを怠ると、「老害」と呼ばれる。
共産党は老害の温床だ。



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