[書籍紹介]
安生正得意の科学パニックもの。
「レッドリスト」とは、1964年に
IUCN(国際自然保護連合)が作成した
絶滅危惧種のリスト。
危うい種を赤い紙に印刷したことから、
そう呼ばれた。
人類がそのリストに追加され、滅亡に至る危機を描く。
都内で次々と不可解な事件が起こる。
六本木では、大量の吸血ヒルが発生し、死亡者が出る。
劇症の患者が運び込まれた病院では、
赤痢、破傷風、狂犬病といった感染症が診断され、
患者はなすすべもなく、苦しみながら、相次いで死亡する。
一方、浄水場では、バラバラ死体が発見され、
池には、吸血ヒルが大量に繁殖する。
それに関連して、
地下鉄構内にネズミに食われた切断死体があふれる。
一連の事件に対して、厚生労働省職員の降旗一郎は、
国立感染症研究所の都築裕博士と共に原因究明を命じられる。
責任転嫁する上司や失策続きの政府に翻弄されながらも、
必死に感染源を探す二人。
次々と前代未聞の事態が発生し
都民はパニックに陥る。
最後は、富士の樹海から
ヒルと病源菌を運んだコウモリが
都会という環境の中で、
急速に進化し、肉食に変わり、
地下でネズミと闘った後、
地上に出て、アメ横で人々を襲う。
地下にコロニーを作ったコウモリの駆除をしようとするが、
思うに任せない。
生物進化研究学者の村上は、
我々は、生物の短期間での進化を目撃しているといい、
コウモリと人類の戦いで、
人類が絶滅の危機を迎えている、と恫喝する。
最後は、機動隊とコウモリ軍団との壮絶な戦闘が始まる。
「生存者ゼロ」では、
北海道でのシロアリとの闘争、
「ホワイトバグ」では、福岡でのクマムシに似た新生物との闘争、
そして、今度は東京丸の内でのコウモリとの闘争。
少々ワンパターンの感あり。
安生正流の地球における生物の絶滅の歴史は注目される。
これまで地球上に出現した生物の『種』のうち
99.9パーセントは絶滅した
ヒトの人口は現在77億4千万人ほどだが、
生き物一種でこれほどの個体数となって
世界中に分布する中形~大形動物は地球の歴史上かってない。
ただ、物語を織りなす人物たちは、
あまり魅力的に描かれていないのが欠点。
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