[映画紹介]
2014年、夏。
イギリスの片田舎の老人ホームで暮らす
バーナードとレネの老夫婦は、
互いに寄り添いながら人生最期の日々を過ごしていた。
バーナードはノルマンディー上陸作戦70周年の
記念式典に参加することを望むが、
申し込みが遅れたために団体では参加できなくなってしまった。
長年連れ添ったレネは、
戦時中に1度目の、そして今回は2度目の“はなればなれ”を決意し、
「あなたは、行くべきよ」と力強く背中を押す。
そこで、バーナードは、老人ホームに秘密で一人でフランスに旅立つ。
やがて、行方不明になったことが発覚し、
89歳の退役軍人がDデイ記念行事のために
老人ホ-ムを抜け出したとして、
マスコミが「大脱走」(The Great Escaper =原題)と
報道する騒ぎとなる。(実話)
一方、単身ドーバー海峡を渡ったバーナードは、
記念行事から離れ、
亡くなった戦友に託された、“最後の任務”を完遂するために、
ある場所に向かう・・・。
思い出の地に向かうバーナードの心の中に去来する
上陸作戦の時の苛酷な記憶が胸を揺さぶる。
それと、戦時中知り合ったレネとの若い頃の思い出。
70年の歳月を隔てて、
戦争と恋愛という、
バーナードの二つの人生体験が蘇る。
バーナードは式典位参加の6か月後に逝去、
レネも後を追うように数日後に亡くなった。
バーナードを演ずるのは、マイケル・ケイン。
レネを演ずるのは、グレンダ・ジャクソン。
若い頃のマイケル・ケイン↓。
若い頃のグレンダ・ジャクソン↓。
マイケル・ケインは、
「ハンナとその姉妹」(1986)「サイダーハウス・ルール」(1999)で
アカデミー賞助演男優賞を受賞。
グレンダ・ジャクソンは、
「恋する女たち」(1969)と「ウィークエンド・ラブ」(1973)で
アカデミー主演女優賞を受賞
共にオスカーを2度受賞した名優の
「愛と哀しみのエリザベス」(1975)以来50年ぶりの共演。
グレンダ・ジャクソンはこの映画に出演した後、
昨年6月15日に87歳で逝去。
マイケル・ケインも本作で引退を表明している。
名優の最後の姿を観る作品だが、
表情、たたずまいで人生が語られ、
名優とはこういうものかと心に深く刻まれる。
退役軍人との出会いや、敵であったドイツ兵との和解、
老人ホームに勤める年の離れたスタッフとの交流なども描かれ、
愛という絆の深さを心に刻む、
自然に涙が浮かぶ良作である。
監督はオリバー・パーカー。
5段階評価の「4」。
TOHOシネマズシャンテで上映中。
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