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ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』

2022年09月03日 23時00分00秒 | 映画関係

[ドラマ紹介]

今年6月29日から8月18日まで
韓国のケーブルテレビENAチャンネルで放送された弁護士ドラマを
Netflixが配信し、大ヒットしている。
全16話。
放送期間は8週間なので、日本なら全8話だが、
韓国では1週間に2話放送されるので、全16話になる。
このドラマの場合、水曜日と木曜日に放送された。

ウ・ヨンウという女性弁護士が主人公。
子供の頃から父の影響で法律条文をそらんじ、
ロースクールを首席で卒業、
司法試験もほぼ満点だったが、
就職がかなわなかったのは、
ヨンウが自閉スペクトラム症だったので、
書類選考でことごとく落とされたためだ。
法律事務所ハンバダだけが採用したのは、
代表の判断だった。
(そのわけは、後で判明する。)

チームの一員となったヨンウは、
難しい案件を担当する中、
豊富な法律知識と条文の暗唱力で、
次々に勝訴に導く。

ヨンウは自閉症者独特の行動を取る。
たとえば、人の発言を反復したり、
自己紹介に決まり文句を付けたり、
部屋に入る時、指で3秒数えたり、
クジラやイルカをこよなく愛し、
その知識を話しだすと止まらない。

話は基本的に一話完結で、
一つの裁判が描かれる。
(二話にわたるものが3つある。)
夫をアイロンで殴打して殺人罪に問われた老女、
結婚式でウエディングドレスが脱げてしまったことへの損害賠償、
ヨンウと同じ自閉スペクトラム症の青年が兄を殺してしまった事件、
3兄弟の遺産相続を巡る争い、
ATMの札入れカセットを巡る技術流出裁判、
脱北者の傷害事件、
自動車道路で分断された村の訴訟、
塾の生徒を山に連れ出して遊ばせてしまった青年、
障害女性に対する準強制性交で罪を問われた青年、
宝くじの分配約束を巡る訴訟、
社内結婚した妻に対するリストラ、
道路を通っただけで拝観料を取られた訴訟、
大手通販サイトがハッキングされ、名簿が流出した事件
どの事件も軽いように見えながら、
韓国の社会的テーマを扱っている。

これに対して、ヨンウが解決策をひらめいた時、
一陣の風がヨンウの髪をゆらし、
背景にクジラやイルカが飛翔する映像が流れる。
良心派弁護士の慰労会の屋上の空を
クジラが飛んだり、
随所で海洋哺乳類の映像がCGで合成される。
ある時など、法廷をクジラが通りすぎる。

そのヨンウの行動をパク・ウンビン(29歳)が実にチャーミングに演ずる。
難役を見事に造形した。
作品の成功は、ひとえにパク・ウンビンの演技の魅力に尽きる。

16話を貫く太い筋として、
ヨンウと事務所のアシスタント、イ・ジュノとの恋の行方が描かれる。
ジュノを演ずるカン・テオ(28歳)が絵に描いたような好青年で、
表情、演技共に魅力的。

もう一つの貫く筋として、
ヨンウの出生の秘密がある。
ヨンウの父親はソウル大の法学部を出ているにもかかわらず、
しがないキンパ(のり巻き)食堂を営んでおり、
そのわけも途中で明かされる。

更に発展して、ハンダバとテサンというライバル事務所の確執、
テサンの代表テ・スミの法務長官就任の問題もある。
テ・スミを演ずるチン・ギョンがすごくきれいだ。

上司や同期の弁護士、幼なじみや
居酒屋の店主など、
ヨンウの周囲の人間関係がうるわしい。
みんな良い人々で、
裁判も貧しい人、辛い立場の人に寄り添う内容、
一話終わるたびに、
ほくほくと心が暖かくなる

脚本はムン・ジウォン
監督はユ・インシク
日韓のドラマの差は、脚本の力にある、
というのが私の見解。
脚本家にお金を出し、才能を集めなければ、
日韓の差は縮まらない。

全部観るのに、18時間43分かかり、
なかなかの決意が必要だが、
観終わって後悔はない。
むしろ、もう終わってしまったかと、
ウ・ヨンウ・ロスのような気持ちになった。



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