茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

釜の“鳴り”と湯

2005-06-23 23:53:11 | 茶道マメ知識
 昨日、釜の基本知識のお話をしたので、続きで私が釜と湯(水)について素敵だなと思ったエピソードをひとつ。

 釜の中底には“鳴り”という細工があるのをご存知だろうか。
底に小さな金属の丸い塊をくっつける細工で、湯が沸騰してくるといい音がするようになっている。どうも適当にくっつければいいというわけではなく、いい音を出すには技術が必要らしい。今度機会があれば釜の中を覗いてみて欲しい。

 ところで、湯の加減は通常ぶくぶくと沸いてくる泡の大きさと湯気で判断でき、先生によると特に泡はその大きさで魚眼⇒数珠⇒峰の嵐との呼び名があるそうだ。見たことがないとイメージがわきにくいとは思うけれど、要は、温度が高くなるに従って徐々に細かい泡になっていく、ということ。
炉の場合は“峰の嵐”、風炉の場合は水を足して“数珠”の湯加減でお茶を点てるとよいのだそうだ。

 湯の加減は更に釜の“鳴り”でもわかる。釜にもよるがお湯が沸いてくると耳心地よい音が聞こえてくる。
でも、“鳴り”は湯加減を知るというより、温度によって変化する美しい音を楽しむという意味合いで作られたものだと私は思っている。泡の大きさにまで粋な呼び名をつける位だから、昔の人はただ湯を沸かすだけでなく、耳でも楽しむことを忘れなかったんだろうなあ、素敵だなあと思う。

 炉のお稽古で、亭主が釜の蓋を開けたり閉めたり、湯を茶碗に注いだりする時の湯音や湯気の立つ様子が私は好きである。なんだかほっとする。
 そして、夏のお点前で、茶碗に入った水を唐銅建水に空ける時、わざと高いところから少しずつ水を落として涼しげな音を楽しむというお点前がある。私はその音が大好きで、自分でお点前する時もいい音を出すようにして楽しんでいる。その音を聞いて先生が“ああ、いい音ね、涼しいわね”と言ってくれた時はうれしくなる。
湯(水)はお茶を点てるのに大切なものだが、それ以外の部分でも大活躍、お茶は五感で楽しむものだ、とつくづく思う。
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