珠城りょうの退団公演 桜嵐記
太平記で有名なお話
楠木正成の嫡子、楠木正行の死ぬと分かりつつも武士の子であるが由の宿命に付き従い滅びをよしとして受け入れ戦う
珠城りょうの集大成にふさわしい
上田久美子先生、作、演出
南北朝という混沌とした時代
一つの時代の終わりを美しくも切なく
しかし強く激しく美しく生き
そして死んで行った者たちのお話
一目千本と言われる吉野山の桜
南朝という存在のもの哀しい吉野の侘び住まいが一瞬だけ華やぐ
燃えるような桜が下から上へと次から次へと咲き誇る
そんな吉野の桜が死に行く若者たちの人生と交錯しより一層この舞台を盛り上がる
上田久美子先生の演出がまたまた憎い
わかっている物語の終わりも先生の演出でなんとも美しい
美しい桜の如く楠木正行と日野俊基の息女の弁内侍との淡い恋
後村上天皇は正行に弁内侍を妻とするよう勧める
しかし正行は弁内侍を想うがゆえに戦いで命を落とすであろう身で契りを交わすわけにはいかないと拒む
想うがゆえの正行の切ない決断
狂おしく嵐のように舞散る桜の花びら
桜の嵐の中を正行は己の選んだ道に向かって付き進む
私は以前から太平記はなんとなく知ってはいたが南北朝の動乱期は苦手だった
こんなにも美しい南北朝の終焉を見たことがなかったから
さすがは宝塚
こんな小難しい南北朝のお話をこんなにも美しい舞台にしてしまうとは
今回も宝塚歌劇団、月組の皆様
素晴らしい舞台をありがとうございます