忘れ物
靴下は片方しかないものがタンスに入っている…
引き出しをひっくり返して神経衰弱のように合わせれば揃うかもしれない。
帽子や傘は安いものを買わなければ、置き忘れるのでキリがない。
リップクリームは、大掃除の時になると何本も出てくる。
子供の頃の手袋は、すぐそれぞれに旅立つ。
消しゴムは途中で無惨な姿となり、天寿をまっとうすることなく何処かに旅立つ。
いくらでもあげ続けることが出来る。
ADHDと言われる「注意欠如多動症」によく見られる「物の旅立ち」である。
子供の頃に目立った「多動」は、随分落ち着きをみせるが、この「不注意」に関しては、しっかりと残るサザエさんが多い。
しかし落ち着いている多動も、他の人に比べると、そのエンジンは、軽自動車とトラックくらい違うだろう。
町内会の役員を毎年引き受け、自治会長も兼任して、県議会議員顔負けの看板を誇る爺さんを
私は知っている。
みんなに好かれているその爺さんが来ると
場が明るくなり、盛り上がる。
子供達にも目を配り、毎朝黄色い旗を持って横断歩道に立つ。
しかし家では「鍵を忘れた」「靴下がない」「やりっ放しの片付け知らん」かもしれない
このアンバランスがいいんです!
不注意も多動も…叱られて治るものでは決してありません。
工夫をすれば少しは「マシ」になります。
「工夫」が必要なのです。
自然に身につくことはありません。
まして叱られたり、矯正を繰り返されると
ただ性格が悪くなるだけです。
ある程度まで工夫で乗り越え、後は助けてもらう!
人に助けてもらえるような子に育てれば、頼り頼られる豊かな人間関係に包まれ、あの黄色い旗の爺さんのような幸せな人生を送ることが出来るのだ。