想われるより想った方が楽……であるかと。
想われるより想った方が楽、
好かれるより好いた方が楽、
愛されるより愛した方が楽、と。
少年時代、ある女の子を好きになって、
そんでもって告白してフラれて大失恋という、
そんな甘酸っぱくもすごく青臭くて、
でも振り返れば非常にキショい経験をしたのだが(一応)、
その経験がいまの俺様の土壌にあるわけで、
それからいろいろ経験してきた(一応)けど、
やっぱり想ってた方が楽だな、と。
やっぱり好きになったもの勝ち、と。
一方通行の恋愛は楽なのだ。
好き好き好き~、と、道なりに進めばいいんだから。
が、気のない相手に好かれるほど辛いものはない。
反対車線から中央分離帯を飛び越えて逆走してくるんだもの、困ったものである。
当時は「もーイヤ!」とコリゴリしたもんだが、
彼女を想って切なくなったりしょんぼりしたりと、
バカみたいだけど、いま思えば結構楽しかったかな? と。
彼女にはいい迷惑だったろうが。
ちょっぴり間違ったらストーカーだもんな、片思いって。
想われるより想ったほうが楽なのだ。
深キョンを想う気持ちは深海より深く、
ガッキーを想う気持ちの高揚は富士山より高し。
そしていつにも増して妄想気味の晩秋の夜。
巨神兵に問うてみた。お前はどう思う? と。
「想われるより想うほうが楽? アホか」
じゃあチミは誰かを想って胸が苦しくなったとか、そんな経験ないのか?
「あるわけないやん! この世のすべての男は私を愛してるのだ、がっはっは!!」
がっはっは!! チミに聞いたのが間違ってたよ……。