多摩、ときどき山

多摩の暮らしと山のブログ

【ガイド】奥多摩/大岳山

2012-04-16 13:07:09 | ガイドのこと

15日、東京都西多摩郡檜原(ひのはら)村と奥多摩町の境に位置する、大岳山(おおたけさん・1266.5m)の個人ガイドを行いました。

三頭山
(みとうさん)御前山(ごぜんやま)とともに奥多摩三山の一つ。突き出た山頂と張り出した肩を持つ独特の山容は遠くからでもひと目でわかり、奥多摩のシンボル的な存在。山頂東側に大嶽神社・奥宮が鎮座する、由緒ある山でもあります。

今回のコースは、歴史的につながりの深い檜原村の千足
(せんぞく)から馬頭刈尾根を経て山頂へ。大嶽神社・奥宮への表参道を辿り同村白倉(しらくら)へ下る、変化に富んだ、静かな道。

・天候/曇り時々晴れ
・行程/千足-綾滝-つづら岩-馬頭刈尾根-大嶽神社・奥宮-大岳山-白倉
(所要7時間20分)

いきなりですが…
P1110212
登山口の千足に新しいトイレが!この場所には欲しいと思っていただけに、嬉しい限り。檜原村に感謝。

P1110213
下山して来た人用に、こんな道標も。

P1110250
足下にミヤマキケマン(深山黄華鬘/ケシ科)が花盛り。鮮やかな黄色が目映い。

P1110216
綾滝
(あやだき)。前日の雨の影響で、水量が豊富。

「岩盤を滑り落ちる水の流れが綾の織物を広げたようにデリケート
」(「檜原村の滝遍路/檜原村観光協会」より)なことが、この滝の魅力です。落差は17mほど。

P1110220
登山道脇の岩を覆うコケ。緑が、生き生きと見えます。

沢から尾根へ、急登を登り上げたところが馬頭刈尾根。

P1110221
つづら岩にはクライマーの姿。しばし見物。

P1110227
北西に向かうと、大岳山が姿を現します。

P1110231
大岳山荘前のアブラチャン(油瀝青/クスノキ科)。標高1170mのこの場所では、
つぼみがやっと開き始めたばかり。

大嶽神社・奥宮で参拝後…

P1110233
最後の岩場を登り…
P1110237
大岳山頂へ。日曜日ということもあり、100人近い人で賑わっていました。

P1110238
南側の眺望。気温14℃で快適。

この賑やかさも、再び檜原村側へ下山を始めるとどこへやら…大半の人が、ロープウエーがある北側の青梅市・御岳山(みたけさん)からの入・下山。私たちは静かな表参道を、白倉へと辿りました。

途中で出逢った…

P1110244
ナガバノスミレサイシン(長葉の菫細辛/スミレ科)

花は淡紫色~白色と変異が多いですが、この個体はその両方を併せ持っているよう。その他、タチツボスミレやエイザンスミレが林床を飾っていました。

この清楚な花は?

P1110246
実はこれ、シキミ(樒/シキミ科)です。

日本特有の香木として線香や抹香、仏事に用いられる常緑高木。その反面、この花から葉、茎、根に至るまですべて有毒(アニサチンを多く含む)で、特に果実は「食べると死亡する恐れがある」とのことから、植物としては唯一、「毒物及び劇物取締法」で「劇物」に指定されているそうです。実際、ブナ科のスダシイの実(食用)と間違えて食べ、死亡した例もあるとのこと。

奥多摩では、名前も姿も比較的よく似たミカン科のミヤマシキミ(深山樒)が多いため、最初はわからなかったのですが…汗。気をつけましょう。


P1110248
白倉へ下山し、大嶽神社・里宮で感謝の参拝。
















コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 増戸のサクラ 今春は… | トップ | 【ガイド】奥多摩/浅間尾根 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
拝島近辺在住のものです。 (riversider)
2012-04-18 20:58:19
拝島近辺在住のものです。
いつも拝見しておりますが、たしか2度目の書き込みです。

大岳山は、奥多摩のなかでも好きな山のひとつで、少年時代から30回くらい登っています。ほとんどのルートを試しましたが、馬頭刈尾根は長いですね。私は下ったことしかありません。それでも少々ツラかった思いが残っています。

関西勤務の折、葬儀の際「樒」を贈ることを覚えました。語源はこの花のことだったのですね。いまさらですが勉強になりました。
返信する
riversiderさん (渋谷政道)
2012-04-19 17:31:11
riversiderさん


コメントありがとうございます。
はい、前回の書き込みも覚えています。


riversiderさんも大岳山がお好きなのですね。
実は私が奥多摩へ来て初めて登った山がここで、一番思い入れのある山です。特に千足からのコースは滝、花、岩、神社…と変化に富み、大好きです。


関西では樒を葬儀の際に贈るのですか!私も初めて知りました。我が故郷広島でも、そんな習慣はなかったような…狭い日本でも知らないことばかりですね。こちらこそ勉強させていただきました。ありがとうございました。

返信する
言葉が足りませんでした。 (riversider)
2012-04-19 22:15:21
言葉が足りませんでした。
樒をつかった花かごのようなもので、関東の花輪に相当するものだと思います。
先日拝島駅前の生花店でも、「樒あります」との貼り紙を目にしました。
返信する
riversiderさん (渋谷政道)
2012-04-20 16:29:51
riversiderさん


わざわざ返信ありがとうございます。
なるほど、花かごとして贈られるのですね。


調べてみると、昔土葬した遺体を動物に荒らされないように猛毒の樒を植えたり、墓前に供えていたようですね。また「悪霊が寄りつかない」といういわれから枕飾りとして供えられたり、香木としての樒は「死臭を清める」意味で、やはり関西を中心に使われているようです。


有毒なことばかりを気にしていましたが、その香りと併せて、自然の特性を上手に利用する日本人の細やかな風習に改めて感心させられます。


とても勉強になりました。ありがとうございました。
返信する

コメントを投稿