以前にも書きましたが、どんな時に幸せを感じますか、と問われるならば、
ぼくはきっとこう答えるでしょうね。一歩一歩、春に近つく頃に自分でも春の予感を体感する時、
あるいは、トマス・マン風に言うならば、愛する者に一歩一歩近ずけるとき、文の意味は確かそんな風なことだと思いますが、そう、マンの、「トニオ・クレーゲル」の中の一文だったと思いますがそんな言葉がよみがえってまいります。
春爛漫のころよりも、寒さの冬の最後の頃に、春を予感し実感する時、じわーんとうれしいなあと思うのは何故なんでしょうねえ。
嬉しいなあ、そんな感じが今日はぼんやりと感じられました。
今年は、桜も早いそうです。
桜を撮るって、どう変化球をもって描くかを毎年考えるんですが、ううむ、
難しいですねえ。ユニークな桜のフォトって、昔見た、森山大道の桜の写真に尽きるような気がするのです。
「桜を見る会」は中止のようですが、ぼくなら、「桜をとことん撮る会」でも組織しましょうかねえなどと冗談の一つも言うのでした。
文・フォト 石郷岡まさを