山陰の米子で足立美術館を訪れた。そして再び平山郁夫の作品に出会った。この「祇園精舎」だ。釈迦の説法も実際はこんなところでこんな人々に行われたわけではないだろうが精神の世界を通して見るとこのとおりなのだろうと思わせるものがこの絵にはある。こんな清浄で美しい森は現実にはないだろうし説法を聞く人々もこんなに完成された佇まいではなかったであろうと思う。
虚の世界を現実にあるかのごとく見せる。これこそ絵の力だと思うがこの作品はその力を持っている。
この美術館は足立全康という商売で成功した富豪が創立者だが収容作品は充実している。横山大観を中心に収集してあるが他の日本画家の作品も充実している。陶器も河井寛次郎 や北大路魯山人の作品が多く収集されている。
余談だがこの入館料は2200円とかなり高い。ひょっとして日本で一番高いのではないか。しかし見終わってみると収蔵作品の充実さで決して高いとは思わなくなるから面白い。