高橋洋一氏が雇用率から日本の経済を定量的に分析しているが非常に参考になる。安倍政権に対する好き嫌いから離れて客観的な評価を行いたい場合、雇用率は説得性を持つと思うからだ。ではトランプ大統領の経済政策、特に米中貿易戦争の行方など定性的分析が多い中、定量的に検証できるものなのかと漠然と考えていたら 安達 誠司 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57506?page=3によると株価という定量分析でトランプ大統領の経済政策、特に米中貿易戦争の帰趨が判断できるという。
とくにトランプ大統領に対する好き嫌いが定性的判断に大きく判断している日本のメディアの偏向報道に日常接している我々にはこの指摘は鋭く、定量的な分析を好む人達にはありがたい。
「ノーベル経済学賞を受賞したこともある米国を代表する経済学者のポール・クルーグマン氏は、リベラル紙のコラムで「トランプ大統領の政策で米国経済はとんでもない事態に陥る」と毎回のように訴えているが、現実の米国経済は回復基調を強めている。」
トランプ大統領のことが大嫌いな著名投資家であるジョージ・ソロス氏が、トランプ大統領当選直後に米国株を大量に売り浴びせて大損した。
メディア界のみならず経済学者のポール・クルーグマン氏やジョージ・ソロス氏までが好き嫌いの感情で判断が曇っているらしい。
約3ヶ月間の株価指数のパフォーマンスを振り返ると、アメリカ、インド、オーストラリアがそのリターンがプラス、日本はわずかにマイナス(-0.5%弱なのでほとんど横ばい)であったのに対し、台湾、韓国が5%程度のマイナス、ドイツが9%弱のマイナスである。そして中国は13%弱のマイナスとなっている。
一方、株価はトランプ大統領に対する評価を正直に反映しているという。この株価による未来予見の定量的分析は第二次世界大戦時の研究「富・戦争・叡知(2010年、日本経済新聞社)バートン・ビックス著によるとさらに一層明らからしい。
第二次世界大戦 1943年2月のスターリングラードの戦いでドイツ軍が総力戦の末、ソ連軍に敗れたことが連合軍勝利の帰趨を決めた。
1940年5月終わりから6月初めにかけてのダンケルクの戦いに底打ち、1940年7月から10月にかけてのブリテンの戦いを機に英国株は上昇基調を取り戻した。つまりヨーロッパの株価はヨーロッパ戦線の2年半先を読んでいると定量的に分かるとのことらしい。
1940年5月のドイツ軍によるロッテルダム爆撃をきっかけに一方、米国の株価は2割程度下落し一進一退を繰り返し1941年9月のドイツ軍によるモスクワ攻撃開始、同年10月18日の東条英機内閣成立、そして12月8日の真珠湾攻撃によって再び暴落した。しかし1941年年末には底打ち、1942年6月初めのミッドウェイ海戦をきっかけに反転姿勢を強め、その後は堅調に推移した。つまり米国の株価はヨーロッパ戦線の1年半先を読んでいると定量的に分かるらしい。戦線と状況によって先を読む力は1.5年から2.5年と差があるということか。
「米中貿易戦争」も定量的に判断して、
「米国との(政治的な)距離が近い国ほど株価のパフォーマンスが優位で、逆に中国との(政治的な)距離感が近い国ほど株価のパフォーマンスが劣後している」
と分析している。第二次世界大戦の1.5年から2.5年とは異なり、すでに先を予見しているということか。
引用はhttps://gendai.ismedia.jp/articles/-/57506?page=3 安達 誠司 より。