まさおレポート

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小林秀雄が遠野物語を語る

2022-01-13 | 小説 音楽

Kunio Yanagita.jpg by wikipedia

柳田国男は14歳の時によそに預けられていた。体が弱いので日がな本を読んでいた。あるとき祠を見つけた。祠をあけてはいけないと言われていたが誰もいない時に祠を開けてみた。

中には白くて丸い蝋石があった。昼間に星が数十見えたことに驚いた。14歳でも昼間に星が現われることの不思議さを感じていた。異常な思いにとらわれてしまい、そのままでは頭がおかしくなりそうになった。その瞬間にヒヨドリの鋭い鳴き声で我に返った。

白くて丸い蝋石はその家のお婆さんが中風で寝ていた時に体をこすると気持ちがよいといってさすっていた。婆さんが死んだときに祠を作りそのなかに白くて丸い蝋石を入れた。

柳田国男はさらりと不思議な出来事を書いているがその怪異がその後の彼の学問を決定づけたと小林秀雄はいう。

今昔物語は今は昔ではじまる昔の物語だが遠野物語は今の時代に起こる怪異の物語だ。柳田国男はあえて怪異と述べずにさらりと書いている。その出来事を柳田国男が体験した怪異だと心から思えないと柳田国男はわからないと小林秀雄は述べている。

知のみではだめで鋭い感受性がないとこうした凄みのある民俗学はできないと小林秀雄はいう。

三島由紀夫の遠野物語と通じ合う怪異がある。


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