いわゆる第三者として二人の弁護士が調査結果を報告した。予想通りの違法性はないが不適切との結論だ。政治家として適切かどうかまで含めて報告してもらうと述べていた割には法律違反かどうかの調査に終始し知事としての適切かどうか踏み込んだ報告はなかった。
疑惑をもたれた金額の小ささと問題の大きさから過去の板野KDD事件を思い出した。同じようなせこいことをして板野氏は往生際悪く最高裁まで15年も裁判を争ったが業務上横領で懲役1年6か月執行猶予3年の有罪となった。一方舛添知事は法的には無罪となる。有罪無罪の差はあるがみっともなさはどっこいどっこいだろう。
都議会はいくらなんでも不信任決議をするだろう。さらにこれを機に政治資金規正法見直しを行ってもらいたい。政治資金規正法がざる法と呼ばれることがこれほど鮮明にわかったことは舛添知事の功績だ。
舛添知事がいつもの傲慢顔から打って変わって神妙な顔で平身低頭する姿が何回も映し出される。これってさらに見ている人の神経を逆なでするということに気がついた。自ら説明できることを弁護士にわざわざ調査させ形だけ第三者委員会をまねる作戦にでるしたたかな人が生まれ変わった気持ちで都政に尽くすなどと泣きを入れるのは極めて合わない光景でみっともない。最後まで傲然としていたほうが美学にかなう。
参考 KDD事件の経緯
1979年10月2日 - 成田空港で国際電信電話株式会社(KDD。現・KDDI)社員2人が、海外から高級ブランド品を不法に持ち込もうとして、東京税関成田支所から無申告・過少申告で摘発される。この一報は、日本経済新聞が報道、その後の後追いで、朝日新聞がKDDの乱脈経理をスクープし、警視庁・検察庁が合同捜査を開始。
10月25日 - 板野学KDD社長、事件の責任を取り辞任。
3月18日 - 松井清武郵政省電気通信監理官・日高英実同省郵務局国際業務課長の2人を、収賄容疑で逮捕、疑惑は郵政省へ拡大。
4月5日 - 警視庁、板野KDD前社長を、業務上横領容疑で逮捕、高級美術品などを押収。
1985年4月26日 - 東京地裁、板野元社長に懲役1年6ヶ月(執行猶予3年)
1994年10月 - 最高裁、板野元社長の上告を棄却、懲役10ヶ月(執行猶予2年)が確定した。