今日が誕生日で60歳になる。還暦など他人事のように感じていたのにいつのまにかその日を迎えた。同じ年の友人たちも盛んに還暦還暦といい、周りもそのようにいうので本人もそうかと思う程度で、いつもの誕生日と比べて特別感慨があるわけではない。還暦と意識するのは日本中国韓国くらいだろうか、東南アジアにも干支の残っているところはあるらしいが還暦でお祝いまではしないのではないか。中国の商の時代に始まったというから、中国文明の影響を受けた国々に残ったということだろう。
60年で一周するのは中国商の時代の60進法の影響で、もともと木星の周期が12年であることに由来し、現在でも時計の時刻にその名残が残っている。(この時計算が現代の暗号理論に深く関わっていると読んだが詳細は思い出せない)12という数字が農耕などに都合がよかったのだろう。その後の陰陽5行説や易の発達とともに四柱推命などにみられる占いの複雑な体系ができあがったという。現在でも相性をみるなどという風習でその影響が残っている。
この干支に関する占いでいえば私と同年生まれは丁亥といい、相克の年に当たる。つまりよい年周りではない。確かに戦後の焼け野原の直後に胎内に宿り、物資の極端に不足する時代に誕生したのだからこの意味では当たっている。300万人近くが誕生したこの年の子供がすべて丁亥の運命をたどったかといえば、おおざっぱにいえば当たっているかもしれない。前半は国内でもすし詰め学級、大学紛争、高度成長期に伴うストレスと家庭軽視、バブル崩壊。国際的にも米ソ冷戦ベトナム戦争、湾岸戦争と紛争の多い時代であった。しかし当たり前のことだが個人個人の運命で考えてみると千差万別といったほうが当たっている。
ある年代の時に中国思想とくに易に興味をもってその流れで安岡正篤の本をかなり読んだときがある。細木数子と晩年に結婚していろいろとマスコミに書かれたので覚えている人もいるかもしれない。この人は日本の元号をつける際のご意見番として知られていたが著作の中に「四柱推命は恐ろしいほど当たります。とくに生まれた時刻が正確にわかれば。」という一節を記憶している。その当時易を自分なりに試みたがその詩のような暗示的な文が妙に当たっていると感じた。しかし本人の努力の方がさらに影響が大きいともかかれていた。なかなかバランスのとれた考え方だと腑にに落ちたことを記憶している。しかれば、はなから占いを気にせずに、あるいは多少参考にしてもよいが、ひたすら天や神仏に祈り、努力すればそれなりに道は開けるということかと納得した。その考え方で今日まできたがそれでよかったと思っている。
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