日曜ののどかな海岸で弓を射る女がいる、珍しいが子供も遊んでいるので危ない。
眺めていると弓の弦を矢ではじいて音を出し、手に持った丸い石で響きを止めながら若い女が小さな声で歌いだした。
弓と思ったが楽器だった。懐かしいな、どこかで聴いたような、切なげな歌声がサヌール海岸を背景に続く。
カップルの男はタンブリンで拍子をとる。
「珍しい楽器だね、なんていうの」と尋ねると「ビリンバウ、ブラジル」と答えてくれた。
サヌールでブラジル民族楽器とは。「ブラジルから来たの」と重ねて問うとどこかの島の名を答えてくれたが知らない島だ。
一見日本人とも見える風貌だがカリマンタンで見受けるようなビーズの美しいタンクトップを身に着けている。
日本にもある、弓を鳴らして魔を退散させるもので、源氏物語で夕顔が死んだ後に光源氏がその儀を執り行う、何処かで通じ合うのかもしれない、いろいろな出会いがあるものだ。
ビリンバウ(ブラジルポルトガル語:Berimbau)は、ブラジルの民族楽器。打弦楽器の一種。
弓矢を棒(「バケタ」と呼ぶ)で叩くという、原始的な構造である。共鳴器として、中身をくり抜き乾燥させたヒョウタンを使用する。音程の調節は石(「ペドラ」と呼ぶ)またはコイン(ドブラウン)で行う。またカシシ(ラタン製のカゴの中に植物の種が入った楽器)を使うことも多い。
この楽器は、主にブラジルのダンスのような格闘技、カポエイラで使用される。by wiki
破魔矢