楽しいお話の機会を持った。バリの歴史の謎など深くて博い知識に感心して聞いていたらいつの間にか4時間が過ぎていた。
話が佳境に入った頃、ある人が極付のバリの不思議を披露してくれた。ある日、龍が天に昇って行くのを見た。さらに翌日の夜眠る前に再び龍が現れて天に登っていく姿を見た。
ある人がその龍に「こんにちは」といったら龍らしくない可愛い声で「こんにちわ」と愛嬌のある声を返したと笑いながら話してくれた。厳かな声でなく愛嬌のある声を発したところに不思議なリアル感がある。その人は龍を見ても全く怖いという感じがしなかったと感想を述べた。
別の人が言う。バイクで夜帰る時に途中で同行者と別れてふと気がつくとある寺院の壁に持たれていた。バイクの足を起こしていないで体で寺院の壁にもたれて立っていた。一種の夢遊状態だという。気になる同行者が戻ってきて「Aさん何してるんですか」と聞かれたが全く覚えていない。そんな体験は初めてで後にも先にも一回切りのリアルな体験談だと話してくれた。
わたしがカリマンタン帰りのバリ人男性からかつて聞いた話で、夜中に彼がバイクで走っていると巨大な犬が道の真ん中に現れたという話をこの場で披露したところ、ある人から次の話が披露された。
あるとき道の真ん中に巨大な黒い豚が横たわっていた。常々おばあちゃんからレヤックが現れたら、レヤックと同じ動きをすればレヤックの魔術から逃れることができるとお婆ちゃんに教えられていたので上着を脱いで道に横たわったら豚は消えたと。
ブラックマジックをかけられたため病気になりホワイトマジックで治療した時のエピソードとして胸の辺りからたくさんの尖った釘が出てきたという話がされた。これはかつて13年前にわたしがサヌールでAYUというマッサージのおばちゃんから聞いた話と同じだなと思いながら聞いていた。AYUも具合が悪くなってお腹から釘がいっぱい出てきたと真剣な表情で語っていたことを思い出した。
猫がそばにきて付きまとう。ふとこれはおばあちゃんではないかと「おばあちゃん」と声をかけると猫の顔がおばあちゃんになった。あとでおばあちゃんに連絡すたらやはりその猫はおばあちゃんだった。おばあちゃんの生き霊が猫になって現れたというお話が紹介された。
バリのトランスについて聞いてみた。あれはバリ人でもなる人とならない人がありトランスの家系があるようだとのことを話してくれた。後ろについて抱き抱える人は全て家族なのでその系統の家系があるのではないかとのことだった。トランスはガムランの高音やバロンの鈴の高音、ケチャの一種の過呼吸など総合的な要因でなるようだ。
また、トランスに入った人を動画撮影していた時に不思議な現象を経験したという。トランスの人をとったはずの動画が全く撮れていなかったという話で、かつて他の人からも聞いたし、わたし自身の体験でもある(20年近い古い記憶なので、あれ、あの写真が写っていないという印象的記憶だけが残っている不確かな記憶だが。)