振り向いて故郷を探そうとは思わない。行き着く先に故郷はあるはず
思えば遠くへ来たもんだ
眠れぬ夜に酒を飲み 夜汽車の汽笛聞くたびに
僕の耳に遠く近く レールの響きが過ぎてゆく
思えば遠くへ来たもんだ 振り向くたびに故郷は
思えば遠くへ来たもんだ 遠くなるような気がします
思えば遠くへ来たもんだ ここまで一人で来たけれど
思えば遠くへ来たもんだ この先どこまでゆくのやら
『誰もいないからそこを歩く』
作詩 武田鉄矢
作曲 中牟田俊夫
歌 海援隊（中牟田俊夫）
旅の途中の小さなホームには いろんな人が居て
薄暗い灯りの下で声をあげる 別れと出会いがある
人影まばらな汽車の中で 一人たばこを咥えれば
聞いたこともない歌が胸の中に つぶやきを繰り返す
誰もいないからそこを歩く 迷うことはないお前らしいよ
誰もいないからそこを歩く それがお前の生き方なんだよ
窓に流れる灯りの一つ一つには 静かな暮らしがあり
侘しい灯りにゆれる汽車の中には 語り合う人の声もない
静かな歌を口ずさんでいるけど 決して寂しいわけじゃない
それは懐かしい私の悲しみ 私のあつい想い
誰もいないからそこを歩く 振り返らずお前らしく
誰もいないからそこを歩く それがお前の生き方なんだよ
わたしの意識の周りに三つの時間が展開する。わたしの現在、イエスの時代、カメラの時代である。ロラン・バルト
写真の実在を超えて私的に重層的に視たということである。
ルソーは告白録でアルプスという大自然の中に神の啓示を見ようとし、自然との合一の体験を書く。
泡の中に解き放たれたひかり輝く白木蓮よ存在と非存在との永遠の回帰のなかに花咲き死のなかに花咲く磁力にみちた旅びとよ砕け散る塩よ眼のくらむような海の朝がたの海の森羅万象のようにすがすがしくかれらはいまやひややかな盛装に身をつつみ盛大な儀式に葬式の歯に身をゆだねている
いろいろな川やさまざまの露にうるおされ讃えられるあのたくさんの星のなかからおれはただおれの愛する星だけを選んだそしてその時からおれは夜と一緒に眠るのだ
あけぼのの流れをおしとどめるものはいないおまえは垂直に落ちる光から夜の太陽へと顛えながら流れてゆく時の流れだ
南十字星よ香りたかい燐のクローバよ 鏡のように澄みわたった空の青い霜のダイヤモンドよ磨かれた清らかな魚のきらめく銀鱗よ緑の十字架よ光放つ影のパセリよ空の調和をまもるよう運命づけられた蛍よ
夜は天のかんぬきをそっとおろした
ヴァイオリンには 月の匂いがするだろう
あのむかしの羊飼いたちの蜜のように愛は大樽をいっぱいに満たすだろう
孤独な汽車は雨といっしょに走りつづけていた
怖るべき夜が顛えわななき夜明けはすべてのグラスを酒で満たし太陽は昇って天の座席に収まった
あの気まぐれな谷間をそこにかぐわしい匂いが立ちこめただよいときおり雨をまとった鳥がゆっくり飛び過ぎた
えもいえぬ烈しい香り黄金いろの沼地荒地に茂った草むらすばらしい根っこ剣のようにするどいいばらの魔法
おれの少年時代の捨てられた根っこや消えうせた大地がいきなりおれを探しあてたようにたちこめる香りに傷ついて おれは立ちつくしていた
おれの少年時代の 捨てられた根っこや消えうせた大地が いきなりおれを探しあてたようにたちこめる香りに傷ついておれは立ちつくしていた
砂浜に足跡を刻んだばかりのなめらかでつややかな足を海が洗う
いまこそ 二羽のめくらの鳥のように
ざわめき騒ぐ海を越えて 帰ってゆこう
はるか遠い おれたちの春の巣の方へ 家へおまえは海の娘だ そうして花薄荷の従姉妹だ泳ぐおまえの肉体は 清らかな水でできている花の咲いた薔薇の木のような光が射してきたそうして砂浜と空が きらきら きらめいたたくさんのトルコ玉にきざまれた蜜蜂の群のように
夜の夢は サラダのなかに 生れかわり
おまえは 涼しい階段を昇って 会いにきた
天気がわるくて 霧につつまれた おれの城に
蒼ざめた壁の中に閉じこめられた おれの心に
雨や自然の与える 聖なる贈り物なのだ
シチュ鍋が歌をうたい 雀蜂が唸りをあげる
滝は流れ落ちて露の所業をかぞえあげるばらの茂みに水をやりばらの根をよろこばせ静けさまでが緑に染まり陽のひかりも濡れて六月はまるで蝶のように顛えていたま昼この南極の地方を海と岩の浜べからおまえはよぎって行ったひややかな正午がちょうどの空のま上にでんと居すわった時の一月の日のきびしさグラスに溢れる酒のような冷たい金色が青い空の果てまで大地をみたし染めている