まさおレポート

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ホモ・サピエンスの認知革命とウィルスそしてうつ病

2021-10-10 | 小説 音楽

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慈恵医大の近藤教授によるとサピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)から偉大なヒントをもらったという。

歴史学者・哲学者であるユヴァル・ノア・ハラリから最先端医学のヒントが生まれる。これは凄いことだなと思う。

アインシュタインがドストエフスキーから啓示を得ていた例はあるが、これほど直接的に文系書物から偉大な発見の啓示がえられるとは。

https://bunshun.jp/articles/-/38848?fbclid=IwAR25eER3txqg-KaIxiIU_xWxc24xhQcwoVyAGx17vzLocFXA5T_Zvy3JbY0&page=3


ホモ・サピエンスは、約7万年前に「認知革命」を起こし大きな集団を作ったり、宗教や文化を発展させた。これはサピエンス全史の要点の一つだ。

「認知革命」が生じた原因やメカニズムを医学的に探究していくとSITH-1がそのメカニズムの原因ではないかと近藤教授は考えた。人ヘルペスウィルスHHV-6の感染が広がり、結果SITH-1タンパク質を持つホモ・サピエンスが認知革命つまり集団化や宗教など文明を発展させていった。このような仮設を近藤教授は立てている。

SITH-1タンパク質の結果としてストレスに弱くなる。すると不安や恐怖がつよくなり、これが認知革命を起こし集団化や宗教を生み出すこととなったと解釈している。


SITH-1は不安や恐怖にどのように影響するか。不安や恐怖を強く持つ典型であるうつ病を対象に近藤教授は研究している。

健康な人とうつ病の人の血液から“SITH-1に対する抗体”を測定し比較した。SITH-1の抗体が陽性ということはその人が嗅球でSITH-1を発現していることを示す。

SITH-1陽性の人は、陰性の人と比較して、うつ病になる割合が12.2倍も高かった。うつ病になっている人の79.8%がSITH-1陽性だった。

つまり人ヘルペスウィルスHHV-6の感染が嗅球に棲みつきSITH-1を発生させ、さらにカルシウム化によりアポドーシスを生み、うつ病になるという仮説だ。


このうつ病になるというウィルスの機序が人類の偉大な文明を生み出したというのも非常に興味深い。つまりSITH-1は人類に被害をもたらすがもっと大きな貢献の働きがあるのではないかとの期待がかかっている。

ヘルペスウイルスは固有宿主の体内で一生涯にわたって潜伏感染する 宿主が元気で長生きしてくれることは、ヘルペスウイルスの生存にとって非常に有利。SITH-1はヒトの生存の役に立っている部分もあるのではないかとの期待だ。認知革命に寄与したことの医学的解明だ。


人間の弱さと脆さ、儚さを、コロナウイルスによって思い知らされる年になったが、ウイルスは知力体力ともにすぐれるネアンデルタール人に打ち勝つ原因にもなった。

神仏の善悪を超えた不思議なメカニズムを見る思いがする。


この研究は疑いもなくノーベル賞クラスだろう。近藤教授のさらなる研究が待ち遠しい。


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