まさおレポート

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「一日の終わりの詩集」 長田弘  微笑だけがのこっていた

2009-09-19 | 心の旅路・my life・詫間回想

今日は特別な日 長田 弘氏の詩の引用です。いつ読んでも素晴らしい。

「一日の終わりの詩集」 長田 弘  -微笑だけ-より部分を抜粋

街で、友人を見かけたのは、その日だった。
幼い日の表情をのこした、懐かしい友人。
長い間会っていないのに、すぐにわかった。
名を呼ぼうとしたとき、人込みにまぎれて
遠い友人の姿は、すでに消えていた。
そのとき、思い出した。
もうとうに、友人は世を去っていた。
微笑だけがのこっていた。
キンモクセイの花の匂いがした。

秋の日の終わり、たましいに
油を差すために、濃いコーヒーをすする。
そのとき気づいた。そこに彼女がいた。
うつくしい長い指をもったチェロ弾き。
長い間会っていないのに、すぐにわかった。
声をかけようとして、思いだした。
もうとうに、彼女は世を去っていた。
微笑だけがのこっていた。
弦のしずかな響きがひろがってきた。

微笑だけ。ほかには無い。
この世にひとが遺せるものは。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
微笑だけ (茶々丸)
2009-09-21 23:51:09
昨日、思い出していました、今頃だったなって。頂いたCDの写真集の中から、彼女がたくさんの笑顔を贈って励ましてくれます。あの頃のままに。
残せるものが何も無い私でも、この詩のように、微笑だけは残せるような心でいたいと思いました。
素敵な詩をありがとうございました。
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微笑だけ (masao)
2009-09-23 12:00:56
茶々様 コメントありがとう。
私こそ残せるものは何にもありませんので怒られそうです。(笑)


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