朝食後ふと眼前の窓を見上げると糸の切れた凧が浮かんでそしてすぐにどこかに去った。以前にビラの高い木の枝に引っかかった哀れな凧ではないかとそのあたりをみるとそれが無くなっている。糸が頑丈でほとんど取れる可能性がないとみていた凧が絡まった枝からとれてどこかへ去った。おそらく何重にも絡まった頑丈な糸が枝と切れて飛び去るなど奇跡に近い。今朝は喉の奥の小骨が取れたようでとても嬉しい。
最近の凧はプラスティック製で腐らない、朽ちない。鉄は錆びて朽ちるから美しいと鉄の彫刻家クマさんが言っていたがその通りで、反対に朽ちないプラスティックのごみほど醜いものは無い。堂々と高くそびえた木の枝は神聖を宿すほどに神々しく見えるが、この樹木に絡みついたプラスティックの凧は不吉の象徴に見えていた。