テレビニュースによると地球温暖化・エネルギー対策が次期大統領選の争点になっている。民主党のクリントンやオバマ氏は温室効果ガスの排出削減義務化やキャップ・アンド・トレードの導入をそろって提唱している。共和党候補のジュリアーノ氏らはエネルギー自給策に力点を置き、積極的な排出規制には言及していない。キャップ・アンド・トレードは建築物の日照権の企業間売買と同じ発想でガス排出権を売買できるというものだ。
京都議定書には未だ米国、中国、オーストラリア等の巨大排出国が調印していないというがその調印に及び腰の米国でもにわかに環境問題がクローズアップされてきた感がある。米国民は禁煙運動をとってみても理解したら反応は極端に早そうだ。「所詮選挙用のポーズさ」と皮肉っている向きも多そうだが、理解したら反応は過激とも見えるほど早い米国の動きに期待できるかな。
世界漫遊で身近に環境問題特に2回ばかり遭遇した。一回目は去年の秋(2006年)に長期ビザをとるためにバリからシンガポールに飛んだときのことだ。シンガポールの電車に乗り込んだところ空がどんよりと曇っている。曇っているというよりどす黒いといったほうが当たっている。たまたま行き先を尋ねたシンガポール人がこの空の原因を教えてくれた。インドネシアの山火事や焼き畑による煤煙がシンガポールまで流れてきてこのような天気になるということだ。シンガポール人の男はインドネシア側の無策を怒っていた。
2回目は南米のアルゼンチンにあるペルト・モレノ氷河を見に行ったときのことだ。巨大な氷の壁が目の前で地響きを立てて崩壊している。この崩壊は昔からあるのだが近年その崩壊のピッチが増しているという。その場でも何回も崩落の地響きを聞いた。さすがに一刻一刻温暖化による影響が進行していることを体感した。この氷河がどんどん縮退していくのを想像するだけで恐ろしいことになる。(後で気がついたのだが、このペルト・モレノ氷河は氷の量は減っていないそうで、不思議なこととされている)
地球は核戦争によっても絶滅まで追い込まれるが環境破壊でも間違いなく絶滅に追い込まれることが理解されだした。戦争は悲惨さが直ちに現れるが環境汚染はその目に見えないところでじわじわと進む。人間は目の前にある危機には対処するがこうした長期的な、目に見えないところでの危機の進行にはきわめて鈍感だ。皮膚感覚で気がついた時は既に時遅し。後戻りできないところまできているにちがいない。
地球の病の進行が目に見えるようにすることが切実さを感じさせるポイントだろう。マイクロソフト、グーグル、あるいはNTT,KDDI、ソフトバンクどこでもいい、有志のスポンサーが金を出して地球の温暖化が顕著に表れだしている地域の定点観測映像を常時世界に流し続けたらどうだろう。これだけブロードバンドが普及しだしている時代だ。グーグルの衛星地図情報にも驚いたが実現技術はそんなに難しいことではなかろう。世界史に残る貢献になると思うが。そしていうまでもなく企業のイメージアップに巨大な貢献をもたらす。