マチュピチュ遺跡の岩に飛んできた鳥、雀だと思うのだが自信は無い。
首が白くて頭にはストライプが入っている。肩には赤みを帯びたショールを掛けている。
つまり、インカぽいのでインカ雀と勝手に名付けよう。
普通、雀などは飛んできても数秒ですぐに何処かに行ってしまう。なによりこんなに近くには来ない。
このインカ雀は右を見たり左をみたり、あっちを向いたりこっちを向いたりと数分もの間この岩の上にとどまった。
マチュピチュの出口で杖を戻し、その横に置いてある古びた解説書を何気なくパラパラとめくるとあるページに先程のインカ雀の挿絵が描かれており、その説明にはマチュピチュの王の化身がインカ雀となって飛来するとの伝承があると記されていた。
翌日もマチュピチュ遺跡を訪れ、出口でもう一度解説書を丁寧に読み直してみたが、どこにも記憶のインカ雀の挿絵は見当たらず説明も見当たらなかった。