パイネ国立公園のアマルガ湖でフラミンゴをみた後に公園の中にあるロッジに向かった。公園内はホテルの乗り合いの小型バスでの移動でロッジに泊まるのは我々だけだ。行けども行けどもロッジらしいものは見えてこない。ただひたすら草原を走るのみだ。うまく連れて行ってくれるのか不安でガイドに何度も念を押すがニコニコして、この先の三本道のかどで降ろすからそこで待てばロッジからの迎えの車が来ているという。ようやく三本道につくとそこにはつなぎを着たおじさんが待っていた。
そこからおんぼろ車に乗り換えて大平原の中をどこまでも走る。しかし人には一人も会わない。時折羊の群れがのんびり草を喰んでいるのが見受けられるだけだ。30分ほど走っただろうか、前方の小高い丘の上にロッジが見えてきた。
チェックイン後飲み物を摂るためにレストランに行くと窓からは雲と空と夕日が織りなす壮大な一幕が始まっていた。
黄金色に染まる雲と稲妻のように横に走る日の光そして降りかかる太陽光線。ベートーベンのシンフォニー5番が聞こえてきそうだ。バチカンでみたミケランジェロの天地創造のバックにも似合いそうだ。
雲の流れが速い。瞬く間に雲は沸いてきて空全体を覆いつくす。
彼方の方角では静謐と清廉の支配する空と雲。このくらいにスケールの大きいモノトーンだと夕暮れも寂しさとは無縁だ。
さらに別の方角では薄い茜色に空が染まり引き込まれるような桃源郷を連想させる。
一夜明けての空は昨日の色彩の饗宴を忘れたかのように静かだ。白い雲と青い空のいつもの姿に戻っている。
簡単なランチをもって周辺の散策に出かけた。グアナコやニャンドゥそれに多くのグアナコらしき白骨がどこまでも続く丘に散在している。聖なる白骨である。風が強いが寒いということはなかった。