一見無関係なことも深部で繋がっている。
下記の鉄鋼生産の現状をみると電電民営化の際に眞藤さんに敗れた北原安定氏のポリシーも見直されるべきかと思う。眞藤さんも優れた見識を持っていたが北原氏も今のグローバリズムの行きすぎからみたら正しい見識を持っていたというべきだろう。当時グローバリズムの強大な圧力をかけてきた米国も今や自国生産主義に舵を切った。
国家存続の核心になる生産技術においてグローバリズムと自国生産主義のうねりは自国生産主義に向かっている。おおきなうねりのなかで時節にあわなかったゆえに敗れた北原安定氏を再評価したい。わたしは当時NTTデ本に勤務していたが当時の上司を通して国産製品を使うことの国防上の重要性をひつこく説かれた。具体的にはIBMを絶対に使わず国産三社の使用を徹底したことだった。米国の軍産複合体の存在を知っていたのだろう。
詳しくは稿を改めて記したいが、感想のみをメモしておきます。
日本製鉄が呉製鉄所を全面的に閉鎖するという。いよいよグローバリズムが国を滅ぼしかねない徴が現れてきた。
県庁で取材に応じた湯崎英彦知事は、不信感をあらわにしたが不快感の表明ではいかんともしがたい。共産主義の赤い舌がもうまじかに迫っている。
日本製鉄が呉製鉄所を全面的に閉鎖し、和歌山製鉄所も2基ある高炉のうち1基を休止すると発表した。呉製鉄所は戦艦大和を建造した海軍工廠の跡地に建つ製鉄所であり、かつての鉄鋼世界ランキング2位の栄光を誇ったところだ。
(1980年の世界の粗鋼生産高は、1位のソビエト連邦の約1億5千万トンに続き、2位日本が約1億1千万トン、3位アメリカが約1億トン)
今では中国が約10億トン、2位のインドが1億1千万トン、3位の日本が約1億トン、4位アメリカ約9千万トンと日本は3位ながら一位と10倍も水をあけられている(2019年時点)
中国政府は土地の無償提供、国営銀行からの超低利融資、補助金、税制優遇措置で中国の製鉄を世界一の製鉄にした。こんなことをされては一党独裁の国にはとうていかなわない。
2001年の中国のWTO加盟で、海外市場の関税率が低くなったことで 海外で販売が加速した。中国はWTO加盟時に製鉄業に対する補助金の実態を2年ごとに報告する約束をしたが補助金の全体像はいまだ十分に明らかになっていない。この間に中国の製鉄産業はモンスター化した。あきらかなアンフェアだ。欧米諸国、日本、インドネシア、マレーシアはWTOのルールで一部鉄鋼製品に反ダンピング税をかけて対抗しているがこの程度の抵抗では中国にとって痛くもかゆくもないだろう。
自由主義諸国間だけでは価値観の共有があり、グローバリズムは有効に働くだろうが価値観の異なる一党独裁国が巨大な力で市場を占有することはたやすい。自由主義経済の市場に共産主義国家を仲間にすること自体が間違っているのだが今やそんなことを言い出す国はない。せいぜいトランプがアメリカファーストを唱えて抵抗しているだけだが、それも面と向かっての共産主義一党独裁の批判ではまだない。
そのうち面と向かっての共産主義一党独裁の批判へと進んでいくだろうが果たして世界の共感を得ることができるかも左傾化するEUやアフリカ諸国などを見ていると心もとない。