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♥ 啄木がじっと見たのは左手か右手かあるいは冬の妻の手 松井多絵子
冬になるとなぜか啄木が私に近づいてくる。寒さが極まる2月は啄木が私の傍らに、今日の朝日歌壇 {うたをよむ}は 三枝昂之の ✿ 「石川啄木の磁力」 このコラムの書き始めの段落を引用してみる。
「今年は石川啄木生誕130年の節目にあたるから、今回はこの歌人について立ち止まってみたい。啄木は不思議な男だ。満26歳という短い人生だったのに今でも人々に愛され、国際啄木学会まである。昨年12月6日に早稲田の大隈講堂で開かれた緊急シンポジュウム「時代の危機と向き合う短歌」にも実は啄木の磁力が働いている。
2か月前の緊急シンポジュウムは大隈講堂が満員の盛況。私もそのなかの1人だった。団体主催名は「強権に確執を醸す歌人の会」について、私は昨年12月7日、このブログで書いている。2か月前のブログだがお読みになっていただけたらアリガタイデス。
呼吸(いき)すれば、/ 胸の中にて鳴る音あり。/凩よりもさびしきその音!
眼閉づれど、/心にうかぶ何もなし。/さびしくも、また、眼をあけるかな。
啄木は明治末年の4月にこの2首を残し世を去った。嚝野の果ての荒涼を思わせるこの2首を谷村新司が摂取していることを、今朝の✿「うたをよむ」で私は初めて知った。
啄木の仕事で大切な一つが大逆事件の詳細な記録を意図した「日本無政府主義者陰謀事件経過及び付帯現象である。亡くなる前の年の1月24日、彼は身体の不調に耐えながらこれを書いた。三枝昂之は啄木の研究でも知られている。私は生誕130年の今年は啄木について書かれたこと読みたくなってきた。啄木の磁力だろうか。
2月8日 松井多絵子