8月にいただいたのに読み終えたのは昨夜、『架空線』という歌集からこの5年間の石川美南さんの試行錯誤が伝わってくる。私は毎晩少しずつ読んだ。軽いような重いような作品392首、ときどき小舟のなかで揺られているような感じだったり、坂道を上っているような気がしたり、私が気になった作品を記してみる。
★ 石橋は熱持たぬ橋 両脚のあひだ優しく舟くぐらせて
★夜の淵にへばりつくとき脚のある亡霊だつた橋もわたしも
★光るもの光らぬものを引き連れてオリンピックがまた来るといふ
★松林越しの日差しよ遠くから太る痩せるの話しが聞こゆ
★背表紙の丸みに指をかけながら秋のさなかに読む蝶のこと
★鏡よ鏡、戸棚の奥の思ひ出を持ち去る者が死者だとしたら
★月蝕の夜の小骨はしぶとくて息を吸っても止めても痛む
★心細さは明るさに似て秋の日のわたしの骨がわたしを支ふ
今夜は星を見ながら美南さんの歌を。
★ 石橋は熱持たぬ橋 両脚のあひだ優しく舟くぐらせて
★夜の淵にへばりつくとき脚のある亡霊だつた橋もわたしも
★光るもの光らぬものを引き連れてオリンピックがまた来るといふ
★松林越しの日差しよ遠くから太る痩せるの話しが聞こゆ
★背表紙の丸みに指をかけながら秋のさなかに読む蝶のこと
★鏡よ鏡、戸棚の奥の思ひ出を持ち去る者が死者だとしたら
★月蝕の夜の小骨はしぶとくて息を吸っても止めても痛む
★心細さは明るさに似て秋の日のわたしの骨がわたしを支ふ
今夜は星を見ながら美南さんの歌を。