日本人に生まれて

前期高齢者の仲間入りをしました。昭和、平成、令和を振り返りながら、日常の出来事を綴ります。

技能実習生と金の卵

2019-08-29 00:21:43 | 政治
 
 
 「金の卵」とは、地方から就職するために上京した新卒中学生の名称です。高度成長期、製造業、サービス業にはかかせない単純作業の役割を担いました。「技能実習生」は、海外、フィリピン、ベトナム等から来日、人手不足の業種の担い手として期待されています。「金の卵」と「技能実習生」、時代を隔てて生産者人口の不足を補うのは同じ役割です。しかし、時代背景により印象は正反対です。猫の手も借りたいほどの好景気にわいた時代とデフレで経済が停滞している時代明暗がくっきり分かれています。そんな時代に外国人労働者を受け入れざるを得ない状況におかれた日本、単一民族から多民族国家へ移行する過渡期になりました。
 下記の記事で一番注目するのは「登録支援機構」約1800機関が誕生する点です。新しい制度を立ち上げると、そこに利権がからんできます。いつも搾取されるのは、外国人実習生、ズバリ「ピンハネ」です。日本人はいつからいやしく成り下がってしまったのでしょう。
 忘れやすいのが人間です。出入国管理法改正案の制度の意義を呼び起こします。「どの分野でどれだけの外国人労働者を受け入れるのか、在留期間を何年にするのか、重要事項は法案制定後に策定させる。基本方針や省令で決めることになっており、法案制定後に的確な管理を行い支援していく。低賃金で労働条件が悪いため、国内で人材確保が困難な業種で、労働条件の改善、具体的な内容は政府に白紙委任。初年度受け入れる就労者4万人決定」
 従来の求人は、職業安定所を通じて、求人票を提出、募集、応募、そして採用、会社員として職場に配属されました。求人票と違う待遇をしたら即アウトそれぐらい働く人の権利が守られていた時代がありました。小泉政権からがらり一変しました。派遣社員の登場です。社会保険等、会社が負担することなく、いつでも解雇できるシステムになりました。そして、外国人実習生です。
参考記事載せました。
 
朝日新聞直朝刊8月26日

新たな在留資格「特定技能」を持つ外国人労働者の生活を支援する「登録支援機関」が続々と誕生している。政府は今後5年間で最大34万5千人の受け入れを見込む。支援業務が商機になるとみて、企業を中心に各地で1800を超える機関が誕生することで、支援の「質」が保てるのか懸念もある。

 特定技能の外国人に対して、受け入れ企業は出入国時の送迎や住居の確保、銀行口座の開設、携帯電話の契約などで支援することが法律で義務づけられている。登録支援機関は、そうしたノウハウがない中小企業に代わって外国人支援を「代行」し1人当たり月数万円が相場とされる委託費を受け取る。
 すでに8月22日時点で全国1808機関が登録した。うち、関東、甲信越の10都道県を管轄する東京出入国在留管理局には738機関が登録。同管理局の福山宏局長は「半分弱は株式会社。外国人の受け入れ会社から委託費を受け取れるので外国人支援を『業』として展開できる好機、と踏んで参入している」とみる。
 登録支援機関になったTBS・ケア・アカデミー(東京都調布市)が6月に開いた説明会には、外国人労働者の受け入れを検討している介護事業者ら約40人が参加した。
 アカデミーの親会社は電子部品の商社で、中国や東南アジアに製造・販売ネットワ-クをもつ。すでにベトナムに3校、フィリピンとラオスに1校ずつ人材養成学校をつくっており、早ければ年内にも日本へ送り出しを始めたい考えだ。
 外国人技能実習生の日本側の受け入れ窓口である「監理団体」が登録支援機構を兼ねる例も目立つ。実習生として3年の経験がある外国人は事実上、特定技能の資格が自動的に得られるからだ。
 主に造船業の実習生をフィリピンなどから受け入れる監理団体「ワ-ルドスター国際交流事業共同組合」(愛媛県今治市)もその一つだ。代表理事の橋田祥二さんは「企業から『実習終了後も引き続き、特定技能の在留資格で外国人に働き続けてもらいたい』という声があり、手を挙げた」と話す。
 大手も動き出した、人材派遣のパソナ(東京都千代田区)は8月9日に登録支援機関になった。企業からの支援依頼が見込まれるためだという。
 個人も名乗りを上げる。なかでも行政書士は、外国人の在留資格の申請手続きなどに必要な書類を作成しており
登録が相次ぐ。神奈川県のある行政書士は「いまの仕事量だけでは生活が厳しい」として、外国人ビジネスへの参入を決めた。
 支援機関になるためのハ-ドルは高くない。日本語学習支援の取り組みなどを確認する申請書を法務省に提出する。だが、「ほとんどがチェックボックス式の回答なので簡単。拍子抜けだ」と東海地方の人材派遣会社の幹部は言う。申請書類には、外国語でできる担当者名を明記する必要があるが「記した人物がどれだけ外国語会話ができるかなど詳細は聞かれない。架空でも通る」(幹部)
 一方、法務省は、「必要に応じて警察当局をはじめ関係省庁に照会している。ハ-ドルを低くしていない」(出入国在留管理庁在留管理課)と強調する「大量生産」に伴って懸念もふくらんでくる。
 支援機関は、契約先の企業で働く外国人と定期的に面談するが、この場で「残業代をもらっていない」などと訴えられた場合、労働基準監督署などの関係行政機関に通報しなければならない。
 だが、支援機関にとって受け入れ企業は、委託費をくれる「顧客」でもある。その顧客の不正を自ら明るみに出せるのか。法務省は「まず通報しないといけない。できる、できないの問題ではない」(在留管理課)と言い切る。
 劣悪な労働環境が批判を浴びている技能実習生の場合、受け入れ企業から集めたお金で運営される監理団体が甘いチェックで不正を見逃す例が数多く指摘されてきた。支援機関の立ち位置も監理団体と同じだ。現状では、特定技能の資格を得て在留している外国人は7月末時点で44人と少ないため、トラブルは表に出ていかいが、大量にできた支援機関が十分な「質」を伴わず、チェック機能を果たさない事態が相次ぐ可能性がある。
 外国人受け入れ制度に詳しい弁護士の杉田昌平氏は、企業は「我が社の外国人従業員の生活をきちんと支援してくれる支援機関を選ぶ。」という意識を持つべきだ、とい指摘。支援機関に関する情報を業界で共有することなどを提言する。(榊原謙、滝沢卓、機動特派員・織田一)

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