植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

趣味の飼育からメダカブリーダーへ

2020年08月22日 | 動物
屋上でメダカを飼うなどという酔狂な人はそういるものでもなかろう、と思っていましたが、ネットで検索すると、沢山いらっしゃるようです。世の中、いろんな趣味があって、屋上を活用しようなどというのは別に珍しくもなんともないんですね。
 数日前、ビオトープを断念したところまで、書きました。以降は、屋上は熱帯性の植物・多肉を中心にした鉢・プランタ栽培とメダカの養育になりました。
 メダカは、生きて3年程度、その間には病気もありますし、とにかく繁殖させていないと徐々に減っていくわけです。メダカを飼い始めた頃は、朝プールの前にしゃがみ込んで、新生ベビーメダカを見つけて別の水槽に移し替えるのが日課で楽しみでもありました。それはそれで、すこしづつメダカの数を増やしていたのですが、ある時期からそれはやはり得策でないことに気づきました。親と一緒のプールで孵化すれば、数日中に食べられてしまうので、その前に救出させるというのは、効率が悪いのです。やはり、教科書に書いてある通り、卵を産卵床に産ませたら、そのまま引き上げて別容器で孵化させる、という当たり前のやり方に改めました。

 それからというもの、13匹でスタートしたメダカはどんどん増えて、翌年には数百匹にまでなりました。友人に分けても、増加の勢いは止まらず、この春には2千匹を超えていました。

 で、口減らしで花屋のカナちゃんのお店に置いて貰う様にしたら、すぐに売り切れ、恐らく千匹ほどは減らすことに成功しました。ところが人間の性は悲しいもので、減って来ると寂しくなるんですね。で、また卵を集めては孵化させ、増えたら売るというループにハマっています。加えて、ブランド品種集めと新種改良という新たなステージに突入しております。

 最後にヤフオクで落札したMIXメダカの卵50個はほぼすべてが孵化し、その前のMIXと合わせて100匹ほどの赤ちゃんメダカが順調に成長しています。一方、6月の一期生の三色錦などは、早くもすでにご懐妊であります!

 そして過去最高の温度を計測するこの猛暑の中での屋上のメダカ飼育は、ワタシにとっても初体験であります。お昼ころには気温40℃以上になります。直接日光が照り付ける床面は50℃以上になっています。メダカは水温が38℃を超えると、危険であります。
 
 第一の対策は、20以上あるプールの大型化、水量増です。日中に水温が急上昇するのを防ぐためには、深く大きな水槽・プールが必要で、出来るだけ多めに水をためるようにいたします。
 
 次に、散水と注水です。屋上のホース内の水は熱湯になっていますから、まず床面に向けてジャージャー流します。次に、鉢・花壇の植物に水をやります。ホースの水温が下がったら、すべてのプールに少しずつ水を足します。出来れば水替え効果がある位時間をかけてプール内の水が溢れるようにします。(プールには上部の縁よりちょっと下に小さな水抜き用の穴をあけてあります。)水打ちすると、気化熱で3,4℃は温度が下がります。これを日に最低三度!
 更に、それぞれのプールには風が通るようにしながら70%以上遮光します。床用ウッドパネル・園芸用トレーなどを被せたり立てかけたりするのです。遮光シェードをつけるというのは、以前試しましたが何せ風が強いために吹き飛ばされたり外れたり破れたりいたしました。猛烈な強風が吹く屋上で屋根をつけるというのは実は至難の業なんです。

 すべての水槽に温度計を設置するのは面倒なんです。とにかく、それぞれのプール・水槽に手を突っ込んで水温を感じるのがいいように思います。ひんやりしたら最高。ちょっとあったかいと思うのはまだ大丈夫ですが、お風呂の温度くらいになったらアウト、すぐに場所を移すとか水で水温を下げるとかしないと死んでしまいます。

 これもあと2週間の辛抱、まもなく暑さも和らぐと思います。その頃には、待望のブランドメダカの次世代が誕生するでしょう。次は、この夏以降に生まれた子メダカたちを、ミックスでの販売用と、純正種の繁殖、交配・改良用に分別いたします。
 ヤフオクでやってきた卵たちは正直どれがどれやらわからない状態、つまり額面通りの一種類のメダカではなく、個体差が激しい混種なのです。また、まだ子供なので模様や形状もはっきりしません。これを、とりあえず外見で似たようなもの毎に集め、別々に飼育する。それこそが、メダカブリーダーの第一歩なのです。ウチに以前からいる先住メダカを含め、その稚魚だけで2,3千匹はいるようです。プール内を必死に逃げ惑うこの子たちの分別・仕分けはなかなか骨の折れる作業ですが、実に楽しいのです。

 そうして来年の今頃は、新種誕生、あるいは特選人気メダカが繁殖し、ネット上で開いたメダカ屋さんが大繁盛しているのではないかと。

 まぁ、本気ではありません。お金儲けにはあまり興味もありません。
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ビオトープからメダカ飼育へ

2020年08月19日 | 動物
屋上を緑化しようというアイデアは、当然建物を建設するときから温めていたものであります。3階建てのコスト負担が無理だと分った時、サンルーム的な構造物を作り、花壇を設けようと思いました。それまで、都会のヒートアイランド対策、都市部の緑地確保には屋上緑化しかないと考えていたのです。考え方だけはいっぱしのエコロジストでありました。設計段階で、水道の蛇口と電気のコンセントをつけて貰いました。

 2階建の店舗が出来上がってから、屋上で最初に着手したのがプラ舟や、枕木を用いた花壇作りでした。実はそれまで園芸など全く興味もなかったのです。ただ漠然と空中庭園というちょっとリッチな空間を手にしたいとイメージしていたのです。ウッドデッキがあって、幾つかの樹々が風にそよぎ、芝生の脇にしゃれたリゾートホテル風のソファやテーブルをしつらえる、みたいな。

 全くノウハウも道具もないので、最初は専門業者に頼もうかと思いましたが、存外高いのです。坪当たり10万円以上かかるんです。20坪ほどの屋上面積ですから最低2百万円!お金なんぞ、すでに建設費で払底しております。自宅でもない事務所兼貸店舗、誰も来ない屋上にそんなお金はかけられません。
 そんなわけで、ぽつぽつ自分でDIY、自作庭園を造ることにいたしました。人工芝を敷き3カ所に花壇を設け、幾つかの木製テーブルやら、プランターやらを作りました。温室兼サンルームあわせて60万円位かかりました。

 そこで、九州に住む兄から教えてもらった「ビオトープ」が次の目標となりました。ビオトープは出来るだけ自然に近い環境のもと、池(沼)と生き物、植物を人間が手をかけないで生態系を作るというような概念です。ちっぽけな建物の屋上に再現するなんて言うのは、どだい無茶な試みもいいとこなのです。

 とはいえ、プラ舟に、小砂利を敷き水生植物を植え、浮草を浮かべて、メダカと石巻貝を投入いたしました。一応ビオトープもどきであります。餌をやらず、水替えをしないというのは、ちょっと厳しいですね。屋上では温度が高く水質が悪化しやすいのです。強風・乾燥と高温で自然界の環境にはなりません。
 石巻貝は、コケを食べてプラ舟を掃除してくれるのですが、単独では繁殖できません。二枚貝に卵を産むのだそうです。二枚貝を買いそびれるうちに半年でみんな死に絶えてしまいました。
 代わりに現れたのが、サカマキガイ・アラマキガイというスネール達でした。水草やメダカの水に紛れ込んで繁殖します。最初の内はいくらかメダカの糞とか水苔などを食べていたようですが、繁殖力が半端なく、そっちの排泄物で水が汚れます。最初は見つけると掬ったり指でつぶしたりしていました。しかし、きりがありません。プールがスネールだらけになるのです。なにより目障りなのです。

 さらに、秋になるとトンボが卵を産みます。ヤゴになると片っ端からメダカを捕食するのです。こうなると、しょっちゅうメダカプールの水替え、スネールなどの退治などで、ビオトープどころではなくなりました。

 いつの間にか、掃除に邪魔な砂利は撤去、ホテイアオイなども捨て、睡蓮などの水生植物は別のたらいに移して、メンテナンスしやすいメダカだけがいるプールとなりました。結論から言うと、金と時間の余裕のあるかたなら、大きめの人造池を作り循環式にして水流を作ってろ過しながら管理してください。となるとやはりビオトープとは言えなくなりますね。

 そこで、ビオトープ計画はあえなく頓挫し、さっさとメダカの飼育と繁殖に切り替えたのであります。

サンルーム(笑)


以下は続きます、乞うご期待


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だるま(めだか)さんが転んだ

2020年08月14日 | 動物
依然としてメダカフィーバー(激熱)中のワタシであります。

 ヤフオクでお取り寄せのブランドメダカ第一集団は、すでに2か月経過し、屋上に置いた個別の小プール5個の中で順調に育っています。すでに、大人用の餌を食べ、外観もいろいろ特徴が現れてきました。
 3週目に入った第二集団は、まだ目が離せない稚魚でありますが、昨日から成魚用の餌を少し与えています。いわば離乳食でしょうか。いつまでも、べビーメダカ用の粉末の餌だと成長が遅く、水質が悪化しやすいのです。普通の餌に寄ってきてがっつくようになれば、もう一安心です。

 メダカの稚魚は、ある時期から急に大きく育ちます。これはひとえに「生餌」によるものだとみています。つまり、早く大きく育ってくると、周りの小さな赤ちゃんメダカを捕食するのです。同じような時期に生まれたメダカでも個体差が大きくなるので、抜きんでて成長した稚魚は掬って他に移すようにします。そうしないと、赤ちゃんメダカがどんどん減るのです。

第三集団(MIXメダカ)は、ブランドメダカ勢ぞろい作戦の最終章で950円で落札しましたが、すでに1週間ちょっとでほぼすべてが孵化したようです。
黒いのから透き通っているもの、細長いのや寸足らずの子まで一杯いますが、ちょろちょろと泳ぎ回るので正確な数は数えられません。少なくとも45匹は居ますが。52個のうち、3,4個は孵化しなかったようです。また、誕生直後から全くその場を動かなかったオロチ系の仔は、一日で死んでしまいました。弱い個体はいずれ淘汰される、それが自然の掟であります。

 本当は、「最終章」のつもりだったのですが、孵化が順調で、どんなメダカに生長するかのワクワク感が楽しくて、番外編で、つい「ミックスメダカの有精卵50個+α」を1250円で落札してしまいました。前回の出品者と違っていて、品種とのダブりがほとんど無かったのです。中身は「ハワイアンマリンブルー・シャンパンゴールド、ひれ長カブキ・ダイヤモンドダスト」等々、あぁ胸が躍りますね。

 ところで、第一集団で何匹かが「ダルマ系」であったことをこのブログで書きました。ダルマ系は、そもそもが奇形で誕生したので、体が弱く繁殖も難しいのです。ずんぐりとした体型で、愛嬌があって人気も高いのですが、ひれが短いので泳ぎが苦手、稚魚の段階でも大きなメダカに食べられ、餌をとりにくいため数が増えません。

 うちには、既に数千匹のメダカに増えましたが、純然としたダルマ体型は10匹足らずです。
 
そして、生後2か月のダルマちゃん2匹が、お腹を上にする様になりました。泳いでもぐるぐると回転してしまいます。だるまさんが転んだ、そのまんまなのです。動かないので「死んだか?」と思うのですが、そうなってから1週間以上経っても、とりあえず生きています。

「転覆病」と呼ぶそうです。水面の餌しかとれずに、空気を吸い過ぎるとか、お腹にガスが溜まるとかいろいろ原因はありますが、早い話が、食いすぎと肥満で身動きしずらくなったのです。短いひれで、寸詰まりの胴に内臓を詰め込んで膨らんでいるので運動不足でもあります。図体が大きいわりに、ひれがちょっとなので、すぐにバランスを崩してひっくり返るのですね。

 これには、きちんと直す薬や療法は無いのです。出来ることと言えば、隔離して「絶食」させお腹をへこます、太り過ぎを改善するぐらいです。あとは自然に体力をつけるために塩浴させました。これで1週間ほど様子を見たいと思います。

 いずれにせよ、ダルマメダカだけは、虚弱で繁殖力が劣るので、メダカの飼育家は、ダルマだけを別扱いで育てるようです。メダカは、一般的に3年が寿命と言われます。石の上にも三年、達磨大師さんは9年壁に向かって座禅したそうです。ダルマメダカも、別プールで大事に管理して3年生かしてあげよう、と思いを強くしております。

 屋上は軽く40℃に達します。激暑であります。赤ちゃんから成魚まで、数千匹のメダカたちの命が、このワタシにかかっています。一日何回かは散水して、気化熱で温度を下げ、20個ほどのプールにはすこしずつ水道水を足します。それぞれ8割程度の遮光をして、メダカたちが煮魚にならぬよう汗だくで世話をいたします。
 
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ブランドメダカの頂点がここにある かも?

2020年08月10日 | 動物
昨日の新規は9、本日の新規数は8であります。
 
 コロナの感染者数ではありません。4日前に届いたヤフオク落札分の「メダカMIXの卵」が孵化し始めたのです。落札価格950円、卵50個でその内訳は「鉄仮面、 天女の舞 、小町、 オーロラブラックラメ 、ダルマ 来光、 オロチヒカリ 、青幹之 、楊貴妃 紅帝 サタン」であります。もうこれは額面通りならオールスターです。
 「ブランドメダカの福袋やーー」と誰かが言いそうです。

 この2か月にわたって10回ほどブランドメダカ・新種メダカの卵をヤフオクで入手しました。

 これまでも屋上に置いた沢山のプールで、好き勝手に繁殖させておりますから卵を集めて孵化、養殖することはなんの問題もありませんでした。どんどん産卵します。元来丈夫なのもですし、何しろ数が多いのでいくらか途中で死んでも気にならない(気が付かない)わけです。
 ところが、オークション・ブランドメダカとなるとそうは参りません。卵一個あたり数十円から数百円元手が掛かっております。1件あたり10~20個の少数なので、そう簡単に死なせるわけにいかないのです。

 室内に小さな容器に分けて孵化させ、今のところ50%位が育っております。これは、ワタシにとっては失敗の部類です。いろいろなことを経験し失敗もし、気づきもしました。
 ダルマ系、オロチや楊貴妃系など純粋な原種から増やしたものは、近親の交配を繰り返している分、奇形種だったり虚弱になっている可能性が高いのです。一般のメダカに比べて歩留まりが悪いのです。
 それで過保護にしたのですが、部屋の出窓に出した時に水温が上がり過ぎたようです。オロチの半分が死んでしまいました。それ以外にも容器が小さくて水質が悪くなった可能性もあります。スポイトで不純物を吸いだしたり、しょっちゅう世話焼きしてストレスになったのかもしれません。

 また、出品時の写真の通りに育つとは限らない、すべての卵が同じような形態になるとも限らないということです。例えば「三色錦」という錦鯉のミニチュアメダカなども、今のところ稚魚を見ると数種類のメダカの卵の詰め合わせです、と思えるほどそれぞれの外見、個体差が大きいのです。

 そこで、今回ヤフオクメダカの総決算として「MIXメダカ」を落札しました。どうせごちゃ混ぜになっているんなら、安い方がいいに決まっています。卵の数を数えましたら52個ありました。冒頭の商品(品種)名だけ見たら、コミック系かゲームキャラと見間違いますね。正直それらがバランスよくすべて入っているとは思えません。人間界で言えば、外国人のモデルさんとハーフイケメンだけ集めた乱交パーティで出来た子供達が沢山集まったようなものです。違うか

 とにかくびっくり箱、どんなメダカが生まれてくるかがわからないというのが楽しみなのです。いままでの経験を生かして、ちょっと大きく浅めの容器を使いました。底には白いトレーを敷きました。観察しやすくするためです。
 普通ならブランドメダカは発色をよくするために黒い容器を用います。自然界で保護色が個体を守る有力な武器になります。メダカも飼育環境によって少しづつ体色を変えるので、きれいで濃い色を出したかったら黒い容器に入れるのですね。これです。 
通常オークションで送られてくるものの容器(お弁当に入っているソースなどの小分け容器です)には「メチレンブルー」という抗菌剤の希釈液が入っています。ごく薄いものなら問題はありませんが、濃度が濃いとやはりメダカの新生児にとっては有害です。産湯を消毒液にするようなものですから。
 到着してすぐに溜めておいた水道水のプラスティックケースに容器ごと浮かべ水温がなじんだら、容器を空けて、きれいに残さず入れます。卵は粘着性があって容器にへばりついたままということがありました。少しカルキが残っているくらいがちょうどよろしい。しばらくは無菌に近い状態にしておくのです。
よく拡大して見ると、有精卵で生きているものは黒い点(目)などが確認できます。無精卵は白く濁ってきて最後には白いカビがつきます。
で、今朝は累計で17匹が誕生いたしました💛
黒いのやら体色が薄く透き通ているのやらいろいろであります。

 今回は、ワタシにとって集大成なので、52個の卵のうち最低50個孵化させたいと思います。歩留まり率100%mつまり一匹も死なせること無く成魚に育てたい、と気合十分であります。
 今、数えたら計19匹に増えていました。朝チェックしてから更に2匹生まれたんですね。
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汝殺すなかれといわれましても

2020年08月03日 | 動物
先日ゴルフ場まで、同乗したご近所さんに聞かれました。
「松◯◯(ワタシ)さんは、ゴルフ以外にご趣味はあるの?」との質問、どうやらこの方は釣りがご趣味の様で、あわよくば、ワタシをお仕立て船の仲間に引き込もうという魂胆であったようです。
 ワタシは、田舎の出身ですから釣りぐらいはやりました。粗末な手作りの竹竿で、鮒釣などをいたしましたな。父親が、やはり田舎の出らしく、刺し網(立て網)やら投網などで川魚を取りに行くのに伴われました。ある時、まだ子供であったワタシは「魚は生き物なのに取って殺すのはいいの?」と尋ねました。教師であった父親は、ちょっと困った表情をしましたが「食べるために取るのはいいのだ、美味しく有難くいただけば。」と答えました。無益な殺生をしなければ許されるという考えでした。

 それから、高校生になるころまでに、何度か動物を死なせたことが今でも自分の記憶に残っています。例えばカブトムシ、指に爪を立てられて思わず地面に打ち付けたこと。例えばメジロ、いたずらで親の空気銃を面白半分に撃って死なせました。壁に止まった大きな蛾を叩いて殺したこと。父に言われて鶏を「潰した」こと。
 ある時は、家の中に迷い込んだ野良猫を追い出すのに棒を持って追い回した時には、死なせるわけもないのに、得も言われぬ恐怖と不快感が残りました。

 以来、動物を積極的に殺すこととは無縁の生活が長かったのです。サラリーマン生活では、ゴキブリ、蚊やハエなどの害虫を退治すくらいのことは、やむを得ずですけれど。それで、殺生になる釣りには気が進まず、子供たちの誘いにも乗ることはありませんでした。釣りに限れば、食いつくかどうかはあなた任せ、日がなのんびりと釣り糸を垂れているのが性に合わないと言えばその通りです。

 仏教の教えには「不殺生戒」という言葉があり、盗みや邪淫とともにやってはならないと規定されております。人間も、哺乳動物も魚も昆虫もなにもみんな命は平等である、輪廻で生まれ変わっていくものだ、と「火の鳥」(手塚治虫先生)では諭されております。殺生をすると、地獄に落ちるのだそうです。仏陀さんのお言葉通りなら、この世のすべての人間は例外なく地獄行きでありましょう。

 これがキリスト教になると全く様子が違いますな。殺していけないのは「人間」だけで、それ以外はどんどんやって構わないそうであります。

 もっとも、仏教でも、狭義にはお坊さんの戒律とされており、ワタシら一般の俗人にまで禁じているとは言えません。ただ、殺すなかれというのは、人間はほかの動植物を殺して食べることで生きている罪深い存在であることを自覚し、他のものに対する感謝を忘れず、動植物を大事に無駄なく食べましょうという戒めのようなものでしょうか。

 ところが、園芸を始めると殺生は日常的になります。殺生なしでは成り立ちません。今朝も大量のナメクジと蟻を駆除しました。コガネムシを潰し、殺虫剤を撒き。蚊取り線香と殺虫スプレーは欠かせません。虫を平然と殺せるようにならないと、少なくとも野菜や果実をちゃんとは作れません。これから、複数の殺虫剤を撒きます。すでにワタシは、殺生という大罪は数限りなく行ってきてこれからも続けるより外にありません。

 そこで、心の呵責から逃れ、平穏な日々を送るためにワタシなりの解釈をいたしております。それは、殺生は慎む、但し昆虫類駆除は殺生からは除くといたします。こちらの生活や楽しみを脅かす小動物(例えばカラス・ヒヨドリなどの鳥類、タヌキ。野良猫)は殺すわけには参りません。近づけないようにするしかありません。

勿論、フィッシングはやりませんよ。メダカに書道、園芸でそんな余裕はございません、と答えました。

 
 

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