植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

いかがわしいものを見極めるむずかしさ

2023年09月27日 | 篆刻
以前ヤフオクで時代物の小引き出しを落札したことがありました。石印材や書道用の硯に水を垂らすための「水滴」が沢山になっていたので、収納用にと思ったのですたしか、4千円位だったか。すると出品者から「対象商品が倉庫に見つからないので、別の同等の商品を送りたいのでいいか」とメールが来たのです。元の品物はおそらく大正や昭和初期の木製の引き出し・小物入れで銅の留め金などがついて赤茶色に古くなった感じが良かったのです。ところが、承諾して届いたものは似ても似つかぬ粗悪な品で、安い洋材を張り合わせただけの中古の小物入れ、引っ越しで真っ先に捨てるような安物でありました。その時はさすがに評価点を5段階の2にしました。こういうインチキは許されませんよね。

すると先日ヤフオクで12千円で落札した「蟹の紐が施された寿山石」の出品者さんからメールが来ました。「ご希望の商品が品切れとなった。ついては代替品をいくつか提案するのでそちらから選んでもらえないか」という内容でした。

品物は寿山石で上部が薄茶色に変わっていて、そこに蟹の紐(飾り彫)があります。これが素敵だと思ったのです。本体部分は赤茶色に薄く白黄色の模様が浮かび、寿山系の石としては時代物で良質であろうという印象でした。側款に「上虞徐三庚刻」の文字がありました。浙江上虞県出身の中国の著名な篆刻家であります。


ワタシの知っている徐先生の側款とは違うし、下手に見えました。また肝心の印面の彫も、技巧に走ると言われる、徐三庚特有の複雑流麗に組み合わさった印とはかけ離れていて、とうてい真作には見えませんでした。もしこれが本物ならば、最低でも5万円今なら10万円の落札となってもおかしくないのです。
ワタシの所蔵品はこれ、これとて本物か否かは定かでありません.


ワタシはこれまで一件の出品もしていないので、詳細は分かりませんが、①出来るだけ品物の由来や名称・種類・状態を子細に説明する。②現物が手元にある ③写真を数点撮って商品案内につける ④最終期限までは現物には一切手を付けず、傷が付いたり汚すことが無いように大切に保管する、くらいのことは大前提であろうと思います。大量に売られている品物を在庫として抱えていて、注文を取って販売するなら、販売しているうち注文に応じるだけの品物が無くなって品切れです、というのはあるでしょうが、一点ものの品物が品切れ、というのがどうにも解せないのです。

考えられるのは2つのケースであります。一つは最初から売るつもりが無くて入札してくる人間を集める「コマセ」として目立つ品物をアップし、適当な最低落札価格を入れて落札させ、別の安物偽物を押し付けるというパターンであります。これは上に書いた引き出しの事例に当てはまります。

もう一つの仮定は、本当はもと高値が付くはずだ、徐先生の名刻ならば何件も入札があって吊り上がっていくだろうと思っていたのに、ワタシだけが単独で落札して、あてが外れたのです。もしかしたら、仕入れ価格を下回って損になることかもしれません。徐先生の本物かどうかは別にして、早い話「売り惜しみ」となった可能性もあるのです。

この業者さんは、一見して古くて手の込んだ印材を30点近く出品しています。なかなか魅力的な印材もあって、中には最低落札価格が77万円という緻密な細工物の品物もあります。50万円以上の印だけで10数点ありますが、これが田黄石などの名石に刻まれた骨董品だとすると、こんなに大量に集まるのは不自然なのです。他の印材もそんな先入観があって、「胡散臭さ」を感じるのです。現に昨日そのうち3点いずれも最低1万円前後の石が最終期限を迎えましたがいずれも入札0でした。さほど悪いものに見えなかったのですが海千山千のコレクター・転売ヤーさんからはそっぽを向かれたのですね。

最終的な決め手は「評価点」であります。落札者が届いた品を確認して、間違いないと、受取連絡の作業を行います。同時に相手に対する「評価」を5段階で行い、下から二つの評価が付くと、100%から減点されます。普通の出品者さんはほとんど100%がついていますし、数千のオークション成立の常連でも悪くても99.5%内外になっています。しかしながら、この業者さんは累計出品(取引成立)が29件で、93.1%の評価点ということは2件は「非常に悪い」という評価がついている、という計算になりますね。

結論から言えば、今回の落札は無しにしてもらう「キャンセル」で返金して貰うことにしました。他にもっといい代替品を提供します、との申し出でありますが「触らぬ神に祟りなし」「君子危うきに近寄らず」といたします。相手の業者さんが、本当にたまたま、欠品となりもっと魅力的なお品を用意いただける「良心的な」方であるという可能性は否定しません。これが最後、というわけではありませんから、欲をかかず、なかったことにして良かろうと思います。

あのビッグモーターは、全国的な展開と派手なCMで「信用」「集客力」を得て、様々な詐欺的な商法を日常的にやっていたことが暴露されています。いずれもっと悪事が露呈し、最終的にはせっかく築いた大会社を失うことになるようです。ジャニーズも然りでありましょう。目先の利益・自分たちの欲得だけで社会に権勢を張った輩は、いずれその報いを受けるのだ、と改めて思うのです。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昔の仲間と会いたくなるのは... | トップ | 税金メガネとマイナン・イン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

篆刻」カテゴリの最新記事