「新しい資本主義の実現」と大上段に振りかぶった割には切れ味に疑問符の付く所信表明だった。
新しい資本主義の中身は、「成長と分配の好循環」だという。
この方向性自体間違っていない。
問題はどうやってその具体策を展開するかだ。
しかし「新しい資本主義実現会議」を作ってこれから議論するというから何とも気の長い話である。
分配の原理は「持てる者」から「持たざる者」へ政府が差配するところにある。
「持てる者」に寄り添ってきた「安倍・菅政権」から脱却することが出来るか?
(大企業は500兆円近くの内部留保をため込む一方、働く人の実質賃金は30年間上がっていない)
大企業の法人税を上げ高額所得者の税率を上げることなどできるだろうか?
(安倍・菅政権は法人税を減税したが穴埋めを消費税増税でまかなった)
小泉政権までの自民党は建前上「資本主義」と称していたが、中身は「社会民主主義」政策を取り入れていた。
だから欧米からは「日本型資本主義」などと揶揄(やゆ)ー皮肉っぽくからかわれるーされていたのだ。
「新しい資本主義」などと言う前に、「政治と金」の問題を糺せ。
安倍・菅政治の醜悪なゴミ箱に蓋をしたまま(高市・甘利が蓋の役目だ)岸田首相は早い総選挙で逃げ切るつもりのようだが。
この問題に正面から向き合わずに逃げ切ろうとすれば「因幡の白兎」のように鰐に皮を剥がれる。
今のところ有権者はじっくりこの様子を見ているのだ。(鰐は有権者の目だ)
自民党の保守本流だったハト派の宏池会(岸田首相もその流れをくむ)は、安倍・高市のタカ派の監視下にある。
軽武装で経済重視が宏池会の旗印だった。(立憲民主党の枝野幸男も考え方は似通う)
しかし安倍・高市は自民党の右派だった清話会の中でも最右翼、国家主義で軍備重視。
タカというよりはコンドルに近いだろう。
岸田文雄がしたたかに動けばこのコンドルから逃げることが出来そうだが、まず無理ではなかろうか?