バイデン大統領は、日米会談後の記者会見で、中国が台湾に侵攻した場合に米国が軍事的に関与するかどうかを問われ、
「イエス」と明言し「それが我々のコミットメントだ」と語った。
これはかなり踏み込んだ発言である。
すぐに、「我々の政策に変わりはない」とオースチン国防長官が歯止めをかけたが、アメリカ政府の腹は決まっている。
ウクライナに関し、バイデン大統領が、アメリカは参戦しないと明言したために、ロシアのプーチンによる侵攻を許してしまった。
「軍事的に関与する」というのは含みのある表現だが、
「全く参戦しない」と言ってしまうと、習近平に間違ったシグナルを与える。
米国と日本にとって台湾問題は、中国との関係においてガラス細工のような論理構成になっている。
「中華人民共和国を中国の唯一の合法的政府」と承認(recognize)し、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」と表明する「中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重する(understannd and respect)」としている。
ざっと目を通しただけでは理解しにくい文章だが、このような文章をお互いが都合よく解釈する「玉虫色の文章」というのだろう。
中国は「一つの中国」が認められたとし、一方日本は「一つの中国」だということを理解し尊重はするが、支持するところまでは踏み込んでいない。
米国も同じ見解である。「理解し尊重する」ところを「認知する」(acknowledge)としている。
バイデンにしてみたら、ウクライナ問題はある程度めどがついたということから習近平に警告を発したつもりなのだ。
プーチンを壁際に追い詰めたという高揚感からの発言か?
しかし中国はロシアより経済力があり、この地域ではNO1の軍事力がある。
あまり追い詰めると、目を覚ました獅子は何をするか分からない。
注意深く扱うべきだ。獅子の髭を引き抜くようなことは控えるべきだ。
中国自身が「自給自足的な半睡状態」になることがこの地域にとっては望ましいのだろう。