日本の建物や庭は、ヨーロッパのものとは違って非対称が多い。
あまりに整っているものを必ずしも好まない。
「可愛い」という言葉は、成熟した美しさになる前の未完の美をあらわしている。
次の歌などはまさに「かわいい」と感じるのだが。
春の苑 紅(くれない)にほふ桃の花 下照る道に出で立つ少女(おとめ)
大伴家持
これは北陸富山の国守の館で、1枚の絵を見て作った歌だという。
クラブアップル(りんご)
北海道では5月から6月にかけて花を咲かせる。
桜の花のような成熟した美というよりは、その手前の未完の美を楽しむ感じだろう。
大伴家持は万葉集を編纂したのだが、もともとは武門だったという。
まさに文武両道ということか。
だが次のような歌の中にやや厭世的な匂いが感じられるのはなぜなのだろう?
うらうらに照れる春日にひばり上がり心悲しもひとりし思えば
卯の花(ウツギ)
純白で鐘型の花を咲かせる。この花を見ていると少し感傷的になる時がある。