Ring-A-Ding 日々ロック,R&B,そしてゴスペル〜💋

おばちゃんがココロに浮かぶ由無し事を、気ままにつぶやく。ロックな時間。

忘れ路のユーカリ

2017-08-13 07:40:37 | 散歩の途中で
懐かしい木に会ってきた。
これは昔、息子が通っていた学校の すぐ側にあるユーカリの大木だ。初めて会った時、「何だろうこの木?枯れてるのかしら?」と思うほど不思議な姿だった。他ではあまり見かける事のない木なので、調べてもなかなかすぐに何の木か判らなかった。


やがて、どうやらユーカリの巨木である事が判った。葉は柳の様に細い。
よく花屋さんで売っているユーカリは花束などにも利用されるシルバーダラーとかポポラスとかいう葉の丸い(ハート型とか)ガーデニング向きの可愛いタイプが多いが、オーストラリアなどでコアラの食べるのはこの巨木タイプのようだ。外皮がスルスルと剥げるのは、山火事の多いオーストラリアの環境に適応するために身につけた性質のようだと。

この木が立っているのは東電の敷地内の1番はじで、門の片側の柵に囲まれた盛り土のようになった土地で、あたかも門番のように怪しくそびえている。
なんでこんな所に一本(二本のように見えるが、根元は1本だ)ばかり立っているのだろう…?ユーカリは成長が早いというから誰かがなんの気無しに植えた小枝のような苗木がズンズン大木になったのかもしれない。
誰か警備員さんでも居れば、ちょっと聞いてみたかった。でも、分かるはず無いね。

木は、東洋のこの国で、つい目立ってしまう外国人のようなその体格と容姿を 照れ臭そうによじり、遠慮がちに無口に空を見上げている。
もう少し位置を変えて引いて撮ろうかと車の入り口から表の通り沿いに出て見ると、門の柵に「建築計画」の説明書きの看板がくくり付けられていた。どうもここは取り壊されるらしい。どうりで建物にひと気の無い暗く静まった感じがする。建築計画の看板には地域住民の方への説明会の日時や、後に建つ集合住宅の規模などの説明がされていた。
まるで、引き寄せられるように私が今日ここに来たことが、もしかしたら最期のお別れになるのかもしれない。地域住民の方に、この木の存続を求める声が上がると良いが…。
息子が学校を卒業してもう4〜5年になるが、私は学校に寄る訳でもなく、この木の写真だけが撮りたくて来たのだった。この木の事だけがずっと木がかりだったのだ。

うちに帰ってファミ吉息子に木の写真を見せて「覚えてる?ほらあの曲がり角の…」と説明しても息子は頭をひねって「ん?あー?あぁ、そうねぇ…。」とボヤけた返事。
何年かしてまた行く事があるだろうか。その時この木は在るのだろうか、私以外に誰かあの木の事を、あの木があった事を覚えている人がいるだろうか…。

遠く手を振っているように見える、別れを惜しんで。