イザベラ バード という人を知っているだろうか?
今から約140年以上前に世界中を旅した英国夫人である。1878年(明治11年)に来日し、東京から東北さらに当時 蝦夷と言われた北海道まで足を延ばしている。
その様子は著書「日本奥地紀行」として平凡社ライブラリーから文庫化されている。
何年か前、夫が買ってきてからずっとあったこの本を今年になってやっと何気なく読みだしたのが、この夏の私の北海道旅行への動機だった。
140年前の日本。江戸時代から明治になったばかりの頃である。
まだまだ外人など見たこともない日本人ばかりのこの国の、それもさらに東北の奥地を旅するとは!それも単身、女性で!
140年前に英国には女性にもすでにこのような自由があることにまず驚きだが、バードの体力、精神力にも感服する。日本滞在の時は48歳くらいだったようだ。日本では平均寿命もさして長くない時代であったろうに。
すでにバードの住む文化的背景からすると、当時の日本の田舎など、ほとんど未開の地を旅するようで、衣食住すべてに苦労するが、彼女の場合、好奇心が全てを凌駕するようだ。天候や宿での事件にブツブツと文句を言いながらも旅を断念する気はさらさらなく、助手に雇った「伊藤」という日本人青年をお供に精力的に旅を続けて行く。
このようなカルチャーショックの連続の旅は、外国人というよりも現代の私たちに近く、あたかも現代人がタイムトラベルしているような感覚を与えて興味深く、私は日本人でありながら、当時の日本を第三者的な観点から観察するこの英国夫人に、「昔の日本」を教えてもらうことになるのだった。
今回の北海道はバードの辿った道を逆にさかのぼることになるルートだったが、残念ながらバードが心惹かれたアイヌの文化にはさして触れられずに終わってしまった。
やはり、夫と行ったのが間違いだった!
こういう文化的資料館とか、観光遺跡みたいなところに寄るのを面倒くさがって、ほとんどただのドライブなんだから!先を急ぐ旅でも無いのに
それに、あいにく白老のアイヌ民族資料館はリニューアルのため休館だったし、登別では面倒くさがる夫をなだめすかして、とても分かりにくい場所にある「アイヌ神謡集」で有名な知里幸恵さんの"銀のしずく記念館"にも行ってみたが、なんと!よりによって定休日アイヌ文化に拒まれているようなありさまだったのだ。
バードさんは、蝦夷の旅で出会ったアイヌの人々に痛く感動した。その純朴さ、正直さ、無欲さ、そして気高く、思いやりに溢れた人々であることに。
そして、それ故に、小賢しく、器用で、貪欲な日本人にどんどん侵略されてしまいつつあることを、静かな視線で観察している。
私の子供達が小さかった頃に、連れてこられていたならなぁ…そう思って切なくなるほど今でも自然が深く、濃く、大きな北海道。
そこにあった歴史の様々な出来事が、遠い夢の様に今は感じられる。
140年前の旅…。
写真は乙部の海岸部 奇岩の連続
今から約140年以上前に世界中を旅した英国夫人である。1878年(明治11年)に来日し、東京から東北さらに当時 蝦夷と言われた北海道まで足を延ばしている。
その様子は著書「日本奥地紀行」として平凡社ライブラリーから文庫化されている。
何年か前、夫が買ってきてからずっとあったこの本を今年になってやっと何気なく読みだしたのが、この夏の私の北海道旅行への動機だった。
140年前の日本。江戸時代から明治になったばかりの頃である。
まだまだ外人など見たこともない日本人ばかりのこの国の、それもさらに東北の奥地を旅するとは!それも単身、女性で!
140年前に英国には女性にもすでにこのような自由があることにまず驚きだが、バードの体力、精神力にも感服する。日本滞在の時は48歳くらいだったようだ。日本では平均寿命もさして長くない時代であったろうに。
すでにバードの住む文化的背景からすると、当時の日本の田舎など、ほとんど未開の地を旅するようで、衣食住すべてに苦労するが、彼女の場合、好奇心が全てを凌駕するようだ。天候や宿での事件にブツブツと文句を言いながらも旅を断念する気はさらさらなく、助手に雇った「伊藤」という日本人青年をお供に精力的に旅を続けて行く。
このようなカルチャーショックの連続の旅は、外国人というよりも現代の私たちに近く、あたかも現代人がタイムトラベルしているような感覚を与えて興味深く、私は日本人でありながら、当時の日本を第三者的な観点から観察するこの英国夫人に、「昔の日本」を教えてもらうことになるのだった。
今回の北海道はバードの辿った道を逆にさかのぼることになるルートだったが、残念ながらバードが心惹かれたアイヌの文化にはさして触れられずに終わってしまった。
やはり、夫と行ったのが間違いだった!
こういう文化的資料館とか、観光遺跡みたいなところに寄るのを面倒くさがって、ほとんどただのドライブなんだから!先を急ぐ旅でも無いのに
それに、あいにく白老のアイヌ民族資料館はリニューアルのため休館だったし、登別では面倒くさがる夫をなだめすかして、とても分かりにくい場所にある「アイヌ神謡集」で有名な知里幸恵さんの"銀のしずく記念館"にも行ってみたが、なんと!よりによって定休日アイヌ文化に拒まれているようなありさまだったのだ。
バードさんは、蝦夷の旅で出会ったアイヌの人々に痛く感動した。その純朴さ、正直さ、無欲さ、そして気高く、思いやりに溢れた人々であることに。
そして、それ故に、小賢しく、器用で、貪欲な日本人にどんどん侵略されてしまいつつあることを、静かな視線で観察している。
私の子供達が小さかった頃に、連れてこられていたならなぁ…そう思って切なくなるほど今でも自然が深く、濃く、大きな北海道。
そこにあった歴史の様々な出来事が、遠い夢の様に今は感じられる。
140年前の旅…。
写真は乙部の海岸部 奇岩の連続