メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

耳が弱いのはお互い様

2019-07-15 01:33:44 | アイアン
私が通っている美容院は腕がいい。
そこそこするけど、トリートメントからカラーまで一通り、
3時間弱かけてやってもらうと、ほぼ死亡していた髪が生き返った(笑)
アイアンに写真を送ろうかな、と思ったけど……



ポチポチポチポチ


ピロリロリーン



『アイアン、忙しい?
美容院終わったわよ。』



なかなか返事がなかったので、諦めて歩いて帰る事にした。
返事が来たら会いに行こうかと思っていた。
もうだいぶ経ってから何気なく携帯をチェックすると、
彼から返事が来ていた。



『終わったの?俺の写真はどこ?(笑)
会いに来るの?』


オット。
私は、暇なら行くわよ、と答えた。
そこからすぐにさっきの駅へ向かったけど、
途中に届いたメールを見ると、アイアンはもうすでにそこにいるらしかった。



『えっなんでもういるの!?』

『メイサ、早く来て〜!急いで急いで〜!!』



歩いてたら日が暮れちゃう!私は電車に乗り込んだ。
さっきまでいた駅に着き、改札を出たらそこにアイアンがいた。



アイアンは笑顔を見せたが、すぐに例のベンチへ向かってしまったので
私は小走りで追いかけた。
階段を上りながら私は彼を呼んだ。



「アイアン!待たせてごめんなさい。
私、あなたがそんなにすぐにオフィスを出ると思わなくて…」

「大丈夫大丈夫!気にしないでよ。でも俺すぐ行かなくちゃ。」



ま、座って座って!と、さっきとは違うベンチまで誘導された。
そこに座るまで、アイアンはしげしげと私を眺め、髪イイネ!と笑った。



「ごめんね、どれくらい待ってたの?」

「んー、15分くらいかな」

「ウッソ!ごめん!ほんとうに…」



謝る私を彼は首を振って制した。



「バカなこと言わないでよ。君は何にも悪くないよ。
俺、君がすぐ近くにいるんだと思ったから、ソッコー出ちゃったのよ。」




正直アイアンのこういうところは有り難い。
全然怒らないしすごく気を遣ってくれる。
ウソくさいと言えばそれまでなんだけど。
私と全然違う人種なんだろうな。
アイアンはいつもの調子で言った。




「にしてもありがとうね!まさか1日に二回も会えるなんてね!ははは!」

「そ、そうね…(笑)」



な、なんか居心地悪いな。
まるで私が会いたかったみたいじゃん……
アイアンは目を細めた。



「髪キレイだね!」

「(あっそうそう。それを見せに来たんだった)
YES!キレイでしょ?いい色になったわ」

「すごくキレイだよ!俺好きだよ」

「へへ、ありがと」

「美人が増したんじゃない?さ、ハグさせて」




と言って彼は私を抱き締めた。
う〜ん♡といつも通り唸るのを聞いて、私は笑った。
彼はちょっと私を離し、私の胸に頭を乗せた。




「心臓ドキドキしてるね」

「待ってると思ったから急いで来たんだもん」

「そっかそっか」



と言い終わるか否かのうちに、アイアンは私の唇をさらった。



「んっ」



私が彼の首に腕を絡ませると、彼も私の腰を抱き寄せた。
アイアンとのキスは気持ち良い。
キスにも相性があると思うんだけど、彼はまるでこのアラサーアジア女が愛しいかのようにしてくれるので、
それがとても良かった。
長いキスの後、彼はごめんよと謝った。



「メイサ。俺本当にすぐに行かなきゃいけないんだ。
俺そんなに長くデスク離れられないんだよ。」

「わかってるよ。大丈夫よ。」




と耳元で答え、私はアイアンの耳の淵を優しく舐めた。
途端に彼はワッちょっと!と声を上げ、私は笑ってしまった。



「ちょっとメイサ何してるの?!」

「何も?(笑)」

「ダメだって、うわ!」




今度はガジガジと耳を噛まれ、アイアンはまた声を上げた。
私は逃げようとする彼の頭を捕まえて、左耳を噛み続けた。
ついに私を引き剥がし、アイアンは私を睨みつけた。




「メイサ、ダメだってそういうことしちゃ!」

「(説得力ないなぁ…)何がー?私はなーんにもしておりませーん。」



と肩をすくめて両手を空に向けて見せた。
超外人ぽいポーズだ。
アイアンは頭を抱え、あークソ!ちくしょう…と何やら騒いでいたが、
隣で私は例のポーズのまま、全然わかんなぁーい、とアホっぽい声を出していた。
アイアンは八つ当たりのつもりか(いや私本人なんだからただの仕返しか)
グイと私の顎を引き寄せキスした。




「んんっ」

「俺のこと、その気にさせたな」

「んん?止めればよかったんじゃない?」

「あぁ止めるよ」



とか言いながらも彼はしばらくキスしていた。
息が上がったまま、彼はまた、俺行かなきゃと言った。




「うん。」

「さもなきゃ、同僚達にスゲー怒られるよ」

「わかってるよ。もう行こう。」




何とか立ち上がったアイアンは、もう一度私を抱きしめた。




「うーんメイサ!!君を行かせたくないけど…」

「いや、あなたが行かなキャ!?」



彼は抱きしめたついでに私を持ち上げたのだ。
彼はヒールを履いた私より20cmは背が高いので、
私は脚をブラブラさせながら彼にしがみついた。




「捕まってて捕まってて(笑)」

「ちょっと〜!」




こうか?と木登りみたいに脚を絡ませようとしたら、脚はダメだよ!と笑われた。
私を着地させると、アイアンはいつものように早口でこう言った。




「じゃ、明日はまた朝に連絡するよ。
俺のスケジュール的に大丈夫そうなら一緒にランチかコーヒーでもしよ。
分かり次第すぐ連絡するから。
それから土曜も車出せそうなら出すからさ。
君を迎えに行くよ。オッケー?」




私がオッケーと答えたのを聞いて、よし行こ!とアイアンは先ほどの階段は向かった。
うん!と隣を歩き出した私は、ふと自分が
アイアンと手を繋いでいることに気がついた。



ʕʘ‿ʘʔ



ちょっと待って何で私アイアンと手を繋いでるの?
えっおかしくない?
びっくりするくらいナチュラルに手繋いじゃったんですけど!



と戸惑っているうちに先に階段を降りていたアイアンが、振り向いた。
彼と背が同じになった私を抱き寄せ、唇を奪った。




「メイサ、土曜日楽しみ?」



アイアンはキスの合間にそう訊いた。
私はyesと答えた。



「ワンピース着てきて」


え、なんで?
今日デニムだったからか?と思ったが、おそらく便利だからだと考え直した(笑)
取り敢えずオッケーとだけ答えておいた。
アイアンは抱き締める腕に力を込めた。
うちに着いたら写真送って、と囁いた。



「何の写真?」

「何でも。できれば服を…」

「オッケーわかった。じゃぁ靴下の写真送るね」

「違う違う違うそうじゃなくて…」

「イヤだよーん。私、あなたのお仕事邪魔できないわん。」

「邪魔してよ。」

「やーだよ。」




じゃ!と去っていったものの、アイアンはまだ上気した顔をしていて、
振り向いて、手を振った。
可愛かった。


続きます!


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