メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

あなたを好きになるまで

2019-07-13 15:02:16 | アイアン
口を塞いだついでに、アイアンは私を引き寄せてキスした。



「車は?車でキスしたことはある?」

「ここで?ないわよ」

「オッケー。じゃ、初めての“車でキス”もしようぜ。
土曜日さ、車手配できたら迎えに行くからドライブしよう」

「(あ、覚えてたんですね)オッケー」



そう。
メールでのやり取りで、土曜日の夜に車で会いに行くと言われていたのだ。
もちろん元ネタは、先日の安ホテルでの口約束だ。




「混んでないといいんだけどねー。夜だね夜。
どこに行きたい?」

「えっ!?えっと…わ、私よりあなたの方が詳しいんだから決めてよ」

「んー、いいけど。ま、そこらへんドライブしようよ。へへ」

「いいけど、何時くらい?」

「んー、8時とか、9時とかどう?」



私は少し考えた。
彼はそれを見て、君にとって都合が悪かったら今度にしよう、とすぐに言った。
アイアンは争うのが嫌いだ。



「君は翌日仕事なんでしょ?」

「あ、うん、えーと、まだわかんない」

「オッケーオッケー大丈夫。とにかく俺また連絡するし、君も都合悪かったら教えて」



わかったわ、と答えながら、
あの日ベッドの上でテキトーに言っただけだと思った事を
アイアンが現実にせんとしていることに驚いていた。
まぁまぁ、物凄く確率の高い理由としては、彼は多分私を満足させたいだけだ。
そのためにちょっとデートっぽい事もし始めただけなんじゃないかなーと思うと
めちゃくちゃ納得がいった。
それに、どうせ車で何かするんだろうし。




「あと明日もね」



とアイアンは続けた。
この人は本当に本当によく喋る。



「明日忙しすぎなければ午後コーヒーでも一緒に飲もう。
朝会社行ってー、スケジュール見てー、大丈夫かどうか連絡するよ。いい?」

「オッケー」




なんだかよくわからないけど、今日会ったけど明日も土曜日も会うのね。
でも、会えるかどうかは未定っていう、このなんとも言えない感じね…。
とりあえず理由は何にせよ私に会いたいわけね。
今日も明日も、ヤラシイ事はできないけど。
私は携帯を見た。
ヤバい。



「私行かなきゃ」

「えーっダメダメ、行かないで〜」



俺も連れてって〜♡とアイアンは私の腰に抱きついた。
私はポンポンと彼の背を叩いた。



「もーダメよ。そんなに遅れられないわ」

「えぇ〜予約は何時なの?」

「15分後。」

「もうすでに遅いよ!(笑)」

「そぉーよ。でもあなたに会いに来たの。で、あなたと話してたのよ」



私は彼を抱きしめた。



「アイアン、ごめんね。仕事忙しいのに邪魔して…」

「問題ないよ、君が邪魔になることなんか一生ないよ」



と言ってアイアンは私をギューっと抱きしめた。
アイアンは優しい。
アイアンの言葉は薄っぺらい。
でも、薄っぺらいと理解してて会話するなら、誠実だけど優しくない人より良いのかもしれない。
ま、人によるんだろうけど。


私はスックと立ち上がり、携帯をカバンに突っ込んだ。
時間オーバーだ。
アイアンも一緒に立ち上がり、




「オッケーメイサ、もう一回ちゃんとハグさせて」



と言って強く私を抱きしめた。
いつものようにウ〜ン!と唸るのが、いつ聞いても面白い。



「終わったら俺に写真送ってね?」

「ハイハイ」



じゃぁね!と私は駆け足で改札を抜けた。
結局美容院には10分の遅刻で到着した。
席に落ち着いてから携帯を見ると、彼からメッセージが届いていた。



『Thank you thank you thank you thank you....
You made my day :)
Can not wait to see you again.
Enjoy your hair salon.』


あと、頼むからハゲて戻って来ないでね(笑)と付け加えてあった。
私は、ふふと笑みがこぼれた。
彼が喜んでくれたのが嬉しかった。
仕事、退屈してたのかな。
先週会えなかったからかな。



ポチポチポチ



『どういたしまして。あとでハゲの写真送るね〜』



ピロリン



送信後、本当にドライブするのかしらとか
明日会えたらいいけど今日会ったからモチベーション下がるんじゃない?とか
色んなことを考えた。


アイアンが私のこと、本気で好きじゃない事はわかってるけど
私もまだ本気じゃないから、それでも楽しいんだな


でももしアイアンが
本当に船に呼んでくれたら


ランチしたりディナーしたり


普通のデートをしてくれたら



好きになれそうだなぁと



思っていた。




続きます。


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