メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

思ってた通りになった話①

2019-05-25 13:56:33 | アイアン
「着きました」



と、メールを打つと、私はフゥと壁に寄りかかった。
ヤバイ。倒れそうだ。
空腹で。



今日はアイアンとお茶する日だ。
あれから一度も会っていない。
でもメールだけは毎日のようにしていて、彼はどうでもいい話を沢山していた。
何度か俺のオフィスに遊びに来てよと誘われた。
正確には、オフィスがあるビルに、だ。



「地下にジムとシャワールームがあって、無料で使えるのよ。
君とシャワールームに一緒に入りたいな♡
どう?」

「やだ」



というやりとりを数回した(笑)
アイアンは一向に怒らないし、諦めなかった(笑)
というわけで、今日はシャワールーム……
じゃない、カフェでお茶する運びとなった。



指定されたカフェのウィンドウを覗き込み、私はため息をついた。
あぁ、来るまで1時間以上歩いたのが効いた……
イヤ、だってあたし相当食ったのよ、朝ごはん。
甘党のラーラにつられて、ケーキにアイスを乗っけて食べたのは、私です。
そしてそのカロリーを消費するために、ラーラとのデートからここまで、歩いて来たのだ。



(気持ちだけ)げっそりした顔で大通りを振り返ると、
交差点でアイアンがニコニコと手を振っているのが見えた。
信号が変わると、アイアンはその長い脚で駆けてきた。
可愛い。(笑)
そう、アイアンはいちいち可愛げがある。



「ハーイ、メイサ!元気?待たせてごめんねごめんね!」

「ハイ、アイアン……大丈夫よ……」

「あっこれハイ!君にプレゼント!
見た目は札束だけど違うよ!ハハ!」




と言ってアイアンは、封筒を差し出した。
何の変哲も無いそれには、“お家で開けてね♡”と書いてあった。



「俺の字汚いからあんまり見ないで!へへ!
で、どう?今日は元気?」

「うん……たぶん……」

「えっどうしたの?!大丈夫?超元気なさそうだけど?!」

「だ、だいじょうぶ……」



私はクラクラする頭を支えながら答えた。



「ちょっと……お腹、空いてるだけ……」

「食べなよ食べなよ!とりあえずここ入ろ?何か買ってあげるよ!」



と促され、カフェに入店したものの、
ショウケースの中にはこれといったものがない。
私が決めあぐねていると、アイアンは、他の店にする?と聞いてくれた。



「それともどこかレストランの方がいいの?大丈夫?
お昼食べてないの?」

「食べてないけど、カフェでいいと思う……」

「オッケーじゃぁ出よう。確かそこにもっと良いカフェがあったと思うよ!」



と、アイアンは私を別のカフェに案内してくれた。
クールなその店は、一階は大いに混んでいたけど
アイアンに呼ばれるままに地下に降りると、狭いそこには
1組しか先客がなかった。



「あぁ……」


と、ソファ席に倒れこむと、アイアンは目を見開いた。


「大丈夫?本当に!君、今日はすっごく弱々しく見えるけど!?」

「大丈夫よ……本当に……ただお腹減ってるだけ……」

「早く注文した方がいいよ!何にする!?」



差し出されたメニューおを見て、とりあえずアサイボウルとラテを頼んだ。
アサイボウル?って何?とアイアンは首を傾げていた。
私がすぐにまたグッタリしていると、アイアンが言った。



「メイサ、俺のプレゼント開けなよ」

「え?なんで。家で開けるんじゃないの」

「いいからいいから。お金じゃないけど(笑)」

「いやそれ聞いたわよ」



ピリピリと封を開けると、そこには…………




「チョ、チョコレートだ!!!!」

「そうだよん。メイサ、チョコ好きって言ってたでしょ?ハハ!」



板チョコだ。しかも、私の好きなビターチョコレート。
たしかに、メールしているときに、ビターチョコが好きだと言った。
そして、覚えておくよと彼も言った。
アイアンは自慢げだ。



「俺サプライズ好きなの♡」

「食べていい!?」

「勿論!食べて食べて」



パキッと綺麗な音を立てて作ったカケラは、
舌の上で超〜〜〜いい感じにとろけた。
ググーン!と意識がハッキリするのを感じた。



「美味しい!美味しい!」

「ハハハ!喜んでくれてよかったよ!」

「ありがとうアイアン〜!あなた私を救ったわ!!」



と、彼のほっぺにキスした。
大サービスだったけど、
アイアンは、どうもどうも、と特別感動もせず答えた。



アサイボウルを食べていると、アイアンは珍しそうにそれを見ていた。
この国では結構見かけるけど、この人アサイボウル知らないのかしら。
やっと回復した私は、改めて彼を見つめた。
2人してソファに横並びで座ったので、マジマジと見るチャンスがなかったのだ。
ちっちゃい頭と、モジャモジャのヒゲ。
どう見てもハンサムなんだけど、たしかに鼻が大きい。
でも私、そこが好きなんだよね。
私はおもむろに彼の鼻を触り、いい子いい子し始めた。
アイアンは叫んだ。




「ちょっなんで俺の鼻で遊んでんの!?」

「え、なんで?何か問題ある?(笑)」



アイアンはパッと私の手を払い、私の顔に手を伸ばした。
そして鼻をつまんだ。
彼と比べると相当低いそれをつまむのは、大変そうだ。(泣いてないやい!)



「こーやって鼻をゴシゴシされてるんだぜ。いいのかよ?」

「ちょっやめてよ。私とあんたじゃ鼻の大きさが違うじゃんか」



と手を払うと、フーン、とアイアンは唸った。




続きます!










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