今日こそ美容院に行こう!!
そう思い立った日だった。
重いエントランスドアの閉まる音を聞きながら、私は足早にある所へ向かった。
コツコツとヒールの音をさせながらメッセージを打った。
『30分後、暇?』
ここから美容院までは徒歩で1時間。
そのちょうど間くらいにアイアンのオフィスがある。
いずれにせよ通り道なら、もし彼が抜けられなくても無駄足にはならない。
この2週間、くだらない話や、日本の話、
彼の子供の頃の写真を送ってもらったり、
今度いつ会えるか話し合ったり、
私はそこそこに、このしょうもなーく信用できない男との交流を楽しんでいた。
アイアンのノーテンキでマメで冗談好きなメールは
当然全部英語だったので、
この男とメールしているのは私の語彙回収にも役立った。
なかなか返事が来なかったが、私は取り敢えず道を急いだ。
フカフカのダウンは次第に暑くなり、私は途中で右手にバッグ、左手にコートを持ち直して歩き続けた。
ピロリロリーン
『うん。どこにいるの?』
と返事が来たときにはもう20分は歩いていた。
『近く。あと10分。』
『どこに居るの?どこへ行けばいいの?ちゃんと教えて!(笑)俺のオフィスにまた来るの?;)』
『(行かん!)この駅』
『オッケーすごい近く。ベンチがあるからそこで会おう』
“駅の上の広場に”、と書いてあるのを見落とした私は、駅の隣の公園にいた。
ベンチはっけーん。パシャ。
『ここにいる』
写真付きでそう送り、フゥと一息ついた。
歩くのは大好きだけど、やっぱダウン暑いな。
でもコーデ的に着ておくか。
ミラー越しの自分はいつも通りだ。
軽く髪を整えてコートを着て、携帯を見た。
やっとそこで『駅の上の広場に』という文言に気づいた。
あっヤベ!ここじゃねーべ!でも駅の上って…?
見回すと、駅の屋根の三方がフェンスで囲まれていることに気づいた。
上に何かある……?
公園の出口に向かうとすぐに、階段を見つけた。
おぉー、ここか!
なんかおもしろー。穴場じゃない?
階段を登りながら文言を見落としていたとメッセージを送らんと、
携帯を取り出したその時だった。
誰かが後ろから私の目を塞いだ。
「だぁーれだ」
「わぁっ!!」
大きな声を出した私をアイアンはハハハハ!!と笑った。
振り向くと、Hey how are you? と笑顔を見せる彼がいた。
「まぁーたビックリさせちゃった?(笑)」
「さ、さ、させたわよ!!」
「怖がらないで怖がらないで〜!俺怖くないよー♡ハッハッハ!」
な、何よ〜!!
冷静にカッコよく登場するつもりだったのにー!!
動悸でうまく喋れない私を、大丈夫?大丈夫?あ、ここ座ろ!ハハハ!とアイアンは笑い続けた。
とにかく軽快ってゆーか軽いのよね、この人は………
「で、落ち着いた?」
「…ついてないわよ」
「ウッソなんで?大丈夫?怖がらないでよ、俺またやっちゃった感じ?(笑)」
「いや、もう、ホント…(そうだよ)はぁ。もう大丈夫だから。」
「そ、よかったよかった。で、元気?」
「はぁ。元気よ。あなたは?」
「うんいいよ!ちょっと忙しかったけどね!どうやって来たの?今日美容院行くんだっけ?」
「そうよ。歩いて来たの」
「そっかそっか、美容院はこれから?」
「そう」
「で、ここで何してたの?」
何してたも何も今ついたとこなんですけど…と返答に困っていると、
いつもの軽い笑顔で、俺に会いに来たの?(笑)と言った。
「え、そうよ?あなたが私に会いに来て欲しがってたから……」
「えっ、マジで?ありがとありがと!いいジーンズだね、可愛いよ」
「あ、ありが…」
とお礼を言い終わらないうちに、彼はデニムの穴をつついて
「おっと!穴から君の脚が見えるね。ハロー♡」
と挨拶した。私は思わず笑ってしまった。
アイアンはえ?何?どうしたの?俺何か変なこと言った?とまた笑っていた。
「はぁあ…アイアンは本当に変…」
「ん?何、HEN?」
「あなたはstrangeって言ったのよ」
「俺が?どうして。俺超フツーよ」
どこがよ、と私はまた笑った。
続きます!
そう思い立った日だった。
重いエントランスドアの閉まる音を聞きながら、私は足早にある所へ向かった。
コツコツとヒールの音をさせながらメッセージを打った。
『30分後、暇?』
ここから美容院までは徒歩で1時間。
そのちょうど間くらいにアイアンのオフィスがある。
いずれにせよ通り道なら、もし彼が抜けられなくても無駄足にはならない。
この2週間、くだらない話や、日本の話、
彼の子供の頃の写真を送ってもらったり、
今度いつ会えるか話し合ったり、
私はそこそこに、このしょうもなーく信用できない男との交流を楽しんでいた。
アイアンのノーテンキでマメで冗談好きなメールは
当然全部英語だったので、
この男とメールしているのは私の語彙回収にも役立った。
なかなか返事が来なかったが、私は取り敢えず道を急いだ。
フカフカのダウンは次第に暑くなり、私は途中で右手にバッグ、左手にコートを持ち直して歩き続けた。
ピロリロリーン
『うん。どこにいるの?』
と返事が来たときにはもう20分は歩いていた。
『近く。あと10分。』
『どこに居るの?どこへ行けばいいの?ちゃんと教えて!(笑)俺のオフィスにまた来るの?;)』
『(行かん!)この駅』
『オッケーすごい近く。ベンチがあるからそこで会おう』
“駅の上の広場に”、と書いてあるのを見落とした私は、駅の隣の公園にいた。
ベンチはっけーん。パシャ。
『ここにいる』
写真付きでそう送り、フゥと一息ついた。
歩くのは大好きだけど、やっぱダウン暑いな。
でもコーデ的に着ておくか。
ミラー越しの自分はいつも通りだ。
軽く髪を整えてコートを着て、携帯を見た。
やっとそこで『駅の上の広場に』という文言に気づいた。
あっヤベ!ここじゃねーべ!でも駅の上って…?
見回すと、駅の屋根の三方がフェンスで囲まれていることに気づいた。
上に何かある……?
公園の出口に向かうとすぐに、階段を見つけた。
おぉー、ここか!
なんかおもしろー。穴場じゃない?
階段を登りながら文言を見落としていたとメッセージを送らんと、
携帯を取り出したその時だった。
誰かが後ろから私の目を塞いだ。
「だぁーれだ」
「わぁっ!!」
大きな声を出した私をアイアンはハハハハ!!と笑った。
振り向くと、Hey how are you? と笑顔を見せる彼がいた。
「まぁーたビックリさせちゃった?(笑)」
「さ、さ、させたわよ!!」
「怖がらないで怖がらないで〜!俺怖くないよー♡ハッハッハ!」
な、何よ〜!!
冷静にカッコよく登場するつもりだったのにー!!
動悸でうまく喋れない私を、大丈夫?大丈夫?あ、ここ座ろ!ハハハ!とアイアンは笑い続けた。
とにかく軽快ってゆーか軽いのよね、この人は………
「で、落ち着いた?」
「…ついてないわよ」
「ウッソなんで?大丈夫?怖がらないでよ、俺またやっちゃった感じ?(笑)」
「いや、もう、ホント…(そうだよ)はぁ。もう大丈夫だから。」
「そ、よかったよかった。で、元気?」
「はぁ。元気よ。あなたは?」
「うんいいよ!ちょっと忙しかったけどね!どうやって来たの?今日美容院行くんだっけ?」
「そうよ。歩いて来たの」
「そっかそっか、美容院はこれから?」
「そう」
「で、ここで何してたの?」
何してたも何も今ついたとこなんですけど…と返答に困っていると、
いつもの軽い笑顔で、俺に会いに来たの?(笑)と言った。
「え、そうよ?あなたが私に会いに来て欲しがってたから……」
「えっ、マジで?ありがとありがと!いいジーンズだね、可愛いよ」
「あ、ありが…」
とお礼を言い終わらないうちに、彼はデニムの穴をつついて
「おっと!穴から君の脚が見えるね。ハロー♡」
と挨拶した。私は思わず笑ってしまった。
アイアンはえ?何?どうしたの?俺何か変なこと言った?とまた笑っていた。
「はぁあ…アイアンは本当に変…」
「ん?何、HEN?」
「あなたはstrangeって言ったのよ」
「俺が?どうして。俺超フツーよ」
どこがよ、と私はまた笑った。
続きます!
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