![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/32/60c56adfe840728f28b5a6127679fea4.jpg)
(8月22日)歌手・藤圭子が高層マンションから転落死
この日の朝、西新宿にある高層マンション13階のベランダから転落、死亡しているのが見つかる。
争った形跡などがないことから、自殺と推定される。
享年62。
(特徴的なボーカルスタイルを含む)その歌の内容から、演歌ならぬ「怨歌」と作家・五木寛之が命名、1970年代に大ヒットをとばす。
アルバムの連続チャート1位記録はいまだ破られず、娘・宇多田ヒカルのアルバム売り上げ1位と共に、親子2代で、日本の音楽史上に燦然と輝く記録を打ち立てた。
その反面、私生活の方は順風満帆とはいかなかった。
デビュー前の極貧生活はつとに知られるが、結婚・離婚を幾度となく繰り返したり、アメリカで手持ちの大金を一時没収されるなど、色々と話題を振り撒いた。
そして、特に家族関係では複雑な問題を抱えていたようだ。
宇多田ヒカルがブレイクした頃、某ラジオ番組でこんなエピソードが、業界の裏話として紹介されていたのを思い出す。
これからプロ・デビューを目指す娘を売り込もうと藤は東奔西走するが、演歌歌手の娘、しかも、その時点で藤圭子というブランドは「昔の名前」的な印象をもたれ、どこからもいい返事はもらえない。
が、苦労の末、漸くデビューした後の結果は御存知の通り、メガヒットを連発するトップ・アーティストに一躍躍り出た。
彼女の才能を見抜いた東芝EMI(当時)は万々歳、採用しなかった他のレコード会社は、当然ながら相当悔しがったという。
藤にしてみれば、だから言ったでしょ!と文句のひとつも言ってやりたかったのでは?
そんな溺愛した娘と、様々な要因が絡まり、ここ数年会えずじまいだったことも、元来の情緒不安定な性格に一層拍車をかけたのではないだろうか。
歌手として成功し、称賛も浴び、大金も手にした。
世間一般の尺度からすれば羨ましい限りの人生だが、それで幸せだったのかというと、必ずしもそうとは言い切れない。
幸せとは何かを考えさせられる、そんな一生だ。
心配なのは、娘の宇多田ヒカル。
彼女も、藤ほどではないが、その言動にどこか危うさを感じる点が以前より気になる。
今回の一件が彼女の心に影を落とすことは避けられないが、それを自身の作品に昇華させる強さが、彼女の中に芽生えることを願って止まない。