めるつばうのおもうこと

めるつはミーム機械としてばうを目指します。

『歌う船』

2008-10-27 10:27:32 | book
サイボーグ繋がりで読んだもの。
幼児期にボディを捨て去らざるを得ない場合、果たして
性的志向はどこへむくのだろう。

これについては、様々な考えやケースがあるだろうと思う。
そもそも性別というものは生来のものでもあるが人間社会に
大きく影響を与えられるものでもあると思う。
訳者がよくないのか、主人公ヘルヴァの語り口調は鼻につく
なんというかわざとらしい女らしさ?とでもいう感じがする。

小説全体としては設定は面白いと思う。
身体を失ってはいるが、その代わりスターシップとしての
身体を与えられている。それに対する葛藤や違和感などは
描かれていない。マルチで見えるはずの映像や音声の処理
状況などもあんまりきちんと描かれていない。

また主人公は眠らないと言う設定にも違和感を感じる。
たしか人間の脳は眠らないと壊れたと思うのだけれど・・・。

心理的駆け引きの部分を読むのが面倒に感じるのはああいった
回りくどさをわたし自身が厭うからかもしれない。
読み飛ばし気味でスルーしてしまった。
頭脳船を得るために筋肉たちが我先に押しかける場面は
なんというか、高嶺の花の恋人を得んがためのパフォーマンス
なんだけれど、なんてステロタイプ!って叫びそうになった。

そういった設定全般がどうしても凡庸さを感じさせてしまった。


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