いつもお世話になっているオンライン書店のキャンペーンでお勧めされていて、面白そうだったので手に取ってみたら、本当に面白かったです。主人公が美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」というだけでもなんだか変わった設定なのに、その殺人鬼が3番目の犠牲者として狙いを定め、調査していた女子高生が何者かに殺されてしまい、しかもその手口は「ハサミ男」のそれとそっくりだったので、誰に先を越されたのか気になって調べ始める、というストーリー。
視点は主人公に固定されておらず、調査する側の警察の様子も神の視点的な感じで描写されており、わざと読者を混乱させるような文章も仕込まれていたりするので、「騙された!」という奇妙な快感を味わえます。オチは、「それでいいのか?」と倫理的な意味で少々疑問に思わなくもないです。でもその皮肉さも本作品の味わいの一つなのかな、とも思います。
この作品が面白かったので、他の作品も読んでみたいと調べてみたら、なんと殊能将之氏は2013年にお亡くなりになっていたのですね。実に残念な才能の損失ですね。